三年前に親父が他界してから、市営住宅での母との二
人暮らし。
母は六十八歳で今も老人ホームの下働きとして勤めに
出ている。
俺は四十二歳で今は無職。
今年の初め頃にそれまで長く勤務していた電子部品工
場が突然の倒産。
今は毎日ハローワーク通い。
結婚は一度もしていない。
俺の母の体型は身長百五十センチそこそこで、体重は
四十キロ前後の小柄で華奢だが、これまでに病気一つし
たことがなく、結構働き者である。
子供は俺一人だ。
先週のある日の夜のことだった。
その日の朝、母が仕事に出かける前に、まだ寝ていた
俺に、
「お母さん、今日は職場の歓迎会にお呼ばれしてるか
ら遅くなるからね。お昼と夕ご飯は用意してあるから食
べてね」
と言い残していった。
再就職がなかなか決まらず苛々感が溜まっていた俺は
昨夜家で深酒してしまい、完全な二日酔い状態だった。
昼前にどうにか起きて、昨夜は風呂にも入っていなか
ったので湯を沸かしに浴室へいった。
ガスのスイッチを入れふと横にある洗濯機を見ると、
何か黒くて小さい布のようなものが引っかかていた。
手に取ると母の下着だった。
何の気なしにそれを両手で持ち開くようにして見てみ
た。
若い女の子が穿きそうな小さなショーツだった。
おふくろもあの年でまだ女かよ、と呟きながらそれを
洗濯機の中へ放り込もうとした時、その布の一部に付い
た汚れか染みのようなものがふと俺の目に止まった。
黒い布地の細いところに黄土色のような汚れか染みが
線状に付いていた。
不意に俺は高校時代の頃を思い出した。
母親の下着を盗み出しては自慰行為に耽った時期があ
った。
母が生理の時の便所のゴミを漁り、細長い綿混じりの
ものを広げ、母の生理の血を見て異様に興奮した時もあ
った。
でもそれは麻疹みたいな一時期的なもので、あれ以来
は母親に女を感じたことは一度もなかった。
どうして今唐突にそんな思いになったのか俺にもわか
らなかった。
自分の鼻先にその布に付いた線状の染みのあたりを近
づけてみた。
甘酸っぱいような匂いがした。
俺は徐にそのまま母の寝室に向かった。
直情的に下半身が勃起しているのがわかった。
襖を開けると化粧品と香水のような甘い香りが俺の鼻
腔をつき、妙に身体の内面から血が滾るような思いにな
った。
壁に面した箪笥の小引き出しをいくつか開けてみた。
下着とブラジャーが小さく畳んで並び置かれている小
引き出しを俺は凝視した。
地味な色のものが大半の中に、真っ赤に近い色のブラ
ジャーとショーツが奥のほうに隠すように置かれていた。
そういえば職探しもあって長く女を抱いていない。
恋人はいなかったが風俗を俺は適宜に利用していた。
改めて自分の母親の顔を思い浮かべた。
おかっぱ風のショートカットの髪を薄く栗毛色に染め
ている。
顔の作りは小さく肌の色も白い。
皺が増えたのは隠しようもないが、小柄で華奢な体型
と色白の肌で、外見的にはかなり若く見える。
用ができたのでこの続きは後日に…。