祭りのあと、初めて宴会に呼ばれてはいたものの、話し相手もおらず、手持ち無沙汰だった。
小さな頃から知っていた近所の勝子おばちゃんに聞かれた。
「幾つになったの」
「来年受験だよ」
「ふぅん。それじゃあ今年からでもいいんじゃないの?」 と勝子おばちゃんが母ちゃんに言った。
正直言って、言っている意味がわからなかった僕は黙っていると、母ちゃんは、「ダメだよ。カズはまだ子供だもん。」
おばちゃんも「そうか。そうね」と言って、二人して笑っていた。 それから俺は料理だけ食べて、家に戻っ た。
それから一年経った高校生になった。
集会場に入ろうとした僕を入り口で待っていた勝子おばちゃんが声をかけてきた。
「ねぇ、カズちゃん。あんたに話しとかないといかんことがあるんだけど…」
「?」
「いいから、ちょっとおいで……」
そう言われて、勝子おばちゃんの家へ行った。
「カズちゃんは今年も宴会に行くんでしょ?」 とおばちゃんが言った。
去年のことがあったのでそんなに行きたくなかったけど、
「うん」 と答えると勝子おばちゃんは一瞬表情が変わって 、
「カズちゃんも大人になったから…宴会の時に誰がいいか選んどき」
と微笑みながら言った。
「…あんたは知らんかったと思うけど、宴会が終わってから今夜は誰を誘ってもい いんやで」
「…誘うって」
僕が呟くように言った。
「誘えば今日来てる人なら誰とでもエッチできるんよ…」
とおばちゃんは言った。
どう言っていいかわからずまごついていると
「カズちゃんは童貞?」
と小声で聞いてきた。
おばちゃんはわかってるよ、という風に勝手に頷くと
「村のみんなはわかってるから…誰でもカズちゃんなら喜んで教えてくれると思うから…」
「もちろん私も宴会には出るから私でもいいからね、カズちゃんが良かったら…」
そう言うと笑った。
「大丈夫やて。心配せんとおいで」
そこまで言うと先に行ってるからとか勝子おばちゃんは出ていった。