ある日、母親と久しぶりに海を見たくない?とか話をすると、母親は乗り気で、「父さんに言ってみる」と言っていた。
金曜日の夜は母親が、「今から海を見に行かない?私、一度で良いから朝日が昇る所を見たいんだ‥」と父親に言うと、父親は面倒くさがり、「行きたければ、お前達で行ったらどうだ‥」と返して来た。
その言葉で多少、ムッとした母親は俺に「支度しなさい今から二人で行くわよ」と言い始める。
車は母親が使っている軽自動車で、夜中前に家を出発。
深夜の道路を走るのは初めての経験で助手席に座り夜の風景を眺めて居た。二時間ぐらい走りファミレスを見つけ休憩に入る。
学校の帰りに立ち寄る雰囲気とは全く違い、店に居る客も何か異人種の様に感じる。
普段だったら殆んど眠って居る時間に、こうして起きてファミレスに居る、と言う事が新鮮な興奮を覚え目が冴えてしまっていた。
一時間ぐらいの休憩の後に再び車を走らせる、海岸通りに辿り着いた母親は‥「疲れた、腰や背中が痛い」と言い始める。かと言って免許証も無い俺が運転を代わる訳にも行かず「海まで着いたんだから、何処かに車を止めて休んだら?」と言うと母親も「そうね」と言いながら車を走らせる。
「ねっ!あそこで少し休んで行こう、あそこだったら手足を伸ばして休めるし」母親が言う方向を見ると、そこはラブホテルだった。「え~!あんな所に入るの?あそこは俺達が入る場所じゃないじゃん」
「親子だって身体を休めるのに入ったって構わないでしょう?」などと言いながら車は駐車場に入って行く。ガレージからドアを開け階段を上がるとドアが有り中に入る。
初めてラブホテルの中を見る、小さなソファーとテーブル。壁側に大きなベッド、足元には壁に半分、埋め込まれるように大きなテレビが枕元にはスイッチが並んで居る。
母親は大きなベッドに飛び込む様に大の字になり「あぁ~ぁ、背中が気持ちいい~」と両手を伸ばしながら言う。「夜明けまで未だ少し時間が有るから、あなたも暫く眠ったら、母さんが起こして上げるし」と言う。そう言われれば目は冴えてるのに頭は少しボーッとし始めていた。俺はジーパンと靴下を脱ぎベッドに入る。「母さんも少し休むわ」同じようにジーパンを脱ぎ上着も脱ぎキャミソールだけで横に入って来た。同じ布団の中でジッと目を閉じてると母親の体温が間近に感じ始め更に目だけは冴えてしまう。「眠れないの?」母親が言う。