息子が部活の試合で遅くなる日を選んで出掛けた。
息子には夕飯代を渡して私もランチじゃなくディナーにした。
日曜日の夜だったせいもあり店は空いていたしムードがあって良かった。
そのせいか最初はいつもよりかしこまってしまったけど、だんだんと口が滑らかになり話も弾んだ。
やっぱりとっかかりとして息子の話になり、息子の恋愛事情とか探りを入れてみたりした。
ゴミ箱を見る限り、彼女がいないのはわかるというとすぐに意味を察して、
「やっぱりチェックするもんなんですか?」
と、やけに食いついてきた。
「する気がなくても片付けてたらわかっちゃうもの…その辺はおおざっぱな性格のせいか無防備にしてるし…」
私は彼に逆に聞いてみたら、掃除にかこつけて色々漁られたくないから自分で掃除してると言うので感心した。
彼にはレジのバイトの大学生の女の子がご執心らしく、歳も近いからいずれつきあうのではないかという噂があった。
パートの主婦といくら親しくなっても所詮は人妻なので公にはしにくい話題だ。
私なんかは仮に一緒にいるところを見られても、母親的にかわいがってるようにしか思われないだろう。息子の友達だってことも知られているからだ。
なので、ここぞとばかりにレジのバイトの子の話なども振ってみたが、周囲が盛り上がりを見せるほど進展もないらしい。ちょっと嬉しかったけど、やっぱりパートの主婦の影がちらついて落ち着かない。
私は話題を変えた。
今日の事は息子には話さない方がいいかと尋ねた。やっぱり母親くらいの女と出掛けるなんて仲間内に知られたら恥ずかしいんじゃないかと思ったからだ。
彼は別に恥ずかしいとかはないけど、またマザコンとか言われるから黙っていてほしいと言う。
「またって?」
なんでも学校の音楽の先生(私と同年代)と親しく話してたら、そんな風にからかわれたりしたことがあったそうだ。
もちろん既婚者だけどグラマラスでちょっと女っぽい先生らしい。
「なまじっかその先生が素敵だったからじゃないやの?…さすがにうちの子も私が相手じゃ変な想像もしないだろうけど…」
「えっ?…久松さんバイト先で一番かわいいと思いますけど…」
「?…?…!!」
一番かわいい…
私は耳を疑ったけど、彼はそんな当たり前の話みたいな平然とした顔をしていた。
「あっ、こんな年下の子供がかわいいなんて失礼ですね…かわいいっていうのはそういう雰囲気があるってだけで、ちゃんと年相応に魅力があるということです、はい…www」
私は頭がボーッっなって返答ができなかった。
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