彼は一息つくと、眼鏡をかけた。
『寝ないの?』
『もう少し起きてる』
私は背中を向け目をつぶった。
『ねぇ、最後にエッチしたのいつ?』
『覚えてない。お前は?』
『私も』
嘘。本当は4ヶ月前に遊び友達としてた。
どうせ彼も嘘だろう。
『あの時の彼女は?』
『…すぐ別れた』
私と彼の別れの原因になった彼女とは破局してたのかぁ。
どうせなら頑張ってて欲しかった。
じゃないと、私が泣いた意味がなくなる。
『いいきみ?』
『そんな事ないよ。それより愛撫なかったのショックだったよー』
『我慢できなかった』
『愛情がないからしたくないのかと思った』
『そんな事ないよ』
『本当に?』
『本当に。こっち向きなよ』
顔を見たら泣いてしまいそうで、振り向けなかった。
ゴソゴソと近づいてくる気配がして、背中から抱き締められた。
そのままずっと無言の私達。
根負けした私は振り返った。
言葉が見つからない。
『何て言ったらいいのか…』
『私もだよ』
私からすり寄りキスをする。
話しよりキスの方が楽。
キスだけを何分もしていた。
『わかった!私達友達になればいいじゃん』
『友達?』
『うん。やだ?』
『嫌ではないけど』
『たまに会ってご飯食べたり』
『エッチしたり?』
『それは任せる。あなたがしたいならいいよ』
『何かズルいよ』
『ズルくないよ』
声をワントーン下げて囁いた。
『無理強いはしない』
彼は軽く頷くと私を強く抱き締めた。
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