2019/12/20 19:17:58
(dDU0ZaA6)
<<カルテ室での初めての出会い>>
2011年7月5日午前8時45分。病院のカルテの仕分けのアルバイトに応募した俺は、始めてみる沢田めぐみ。という人物と、今ではもう名前も顔も忘れた同じくらいの年齢の大学生(以下、A)と一緒に仕事が始まった。
最初、俺は年の近いAと一緒に話をしており、メグミさんはどちらかというと聞き専というか、自らはあまり話さない人だった。だけど第一印象としてはかなり素晴らしい美貌の持ち主であり、あらゆるカラダのパーツが小柄。そしてカワイイだけでなくキレイな人だった。(この辺は既に書いたので割愛する)
俺たちは与えられた紙カルテの仕分けの仕事をするために、とりあえず1:脚立に上って棚からカルテナンバーを読み上げる役 2:下でリストを見ながら、読み上げられたカルテが破棄か保留か指示を出す役 3:最終的にダブルチェックして、実際にシュレダーにかける役の3つのパートにわかれて仕事をしていた。
ずっと同じパートでやっていると飽きがくるので、1時間くらいで交代をしていき、200件に1件あるかないかの「保留カルテ」を探し出す為の仕事といっても差し支えなく、とにかく退屈な作業であったと思う。
そんな仕事をしていた俺たちは、おしゃべりしてサボるための30分。いちおう真剣に作業する1時間。ということで飽きがこないようにメリハリをつけて仕事をしていたが、俺はその時、ちょっとした楽しみをその作業の中に持っていたんだ。
それは単純に言えば、視姦以外の何物でもないんだけど(笑) 女の子が脚立の上に乗ったり下りたりする動作って意外とエロいんですよ・・w 履いてるズボンにもよるんだけど、脚立に上る時はお尻からパンツのゴムやクロッチ部の太い線が丸みえになるし、ヨタヨタと上がる時なんかはブラウスから胸元がちょっと見えたりもするんですよね。
(こりゃーいい目の保養になるなぁ・・w)なんて思いながら仕事をしたのを覚えています。そしてこのまま3人で夏休みの2か月、みっちりバイト漬けで終わっていくことを覚悟していたんだけど、始まって3日目でAのほうが挫折。
急にバイトに来なくなって管理職がいうにも携帯に連絡しても電話にでないとの事だった。急遽、俺たちは3番目のパートを3:あとで二人で確認してシュレダーする。という具合にやりなおし、それから俺とメグミさんの二人での作業が始まっていくのであった。
最初、3人でいたときのメグミさんは自らは話すタイプの方ではないという印象だったけど、いざ二人になってみれば意外とべらべらとおしゃべりするタイプの人でもあったんだよね。まず最初にめぐみさんのつけているゴム手袋の話から始まって、メグミさんの潔癖症の話を聞かされ、それから世界史やら人類史といったメグミさんの十八番の話を今度は俺が、聞き役という事になっての作業になっていったんだ。
結果、俺はその時本命の彼女もいたし、変な感じでのアプローチというのがなかったというのが功を奏してか、俺とメグミさんは男女の壁を越えて仲のいい友達。そして(潔癖症の)理解者という感じで絆が深くなっていった。
俺からすれば当時のメグミさんは(もちろん今でも)尊敬できる人であるのには変わりはない。それは何といっても頭の回転が良すぎる人であって、俺からすれば軍師的キャラといってもいいような存在になっていった。
それは今でも忘れない。俺はちょっと質問してみた事があったんだ。あまりに仕事が退屈な作業の繰り返しなので、難題をふっかけてみたというほうが正解かもしれない。俺はメグミさんにこう聞いてみたのを覚えている。
俺「なんで人間だけ発展していったんですかね?動物はたくさんいるのに」
メグミ「それはね、人間だけが「私たち」と「あなた方」という概念を事細かく持つ生き物だからなんだよ。基本、動物には同じ群れの仲間とか、敵という概念があっても、めまぐるしく「私たち」と「あなた方」をコロコロと変化させていく複雑なコミュニティには生きていないんだ。」
俺「ほう」
メグミ「まず朝起きたとき、眠そうな顔で電車にのる。あなたも経験あるでしょ?その時、あなた側にいる人は何人いる?誰も居ない。私たちはあなた一人であり、あなた方はあなた以外の地球上の全員の事を指しているんだ。それが大学に来た時、私たちは、同じクラスの人たち、にかわり、同じ学年の人たちに変わり、同じ大学の人たちに変わり、これが家にかえったらすぐに、私たちは「地元の友達」にかわり、いままで私たちだった大学の人たちが「あなた方」のグループに所属させる生き物なんだよ」
俺「言ってることがわからんw」
メグミ「つまり、グループ、組織、なんでもいいよ。私たちのカテゴリーに入る人と、あなた方というカテゴリーに入る人が、めまぐるしく変化していっているのが人間社会だけの特徴なの。それが、結果として人類の発展へとつながっていったんだ。」
出だしからこんな勢いでマシンガンのように話しまくるのがメグミさんの昔からの姿であったんだ。俺はだいたい、困った事とか悩んでることをメグミさんに相談すると、意外とあっけなく解決してしまう事が多いというか、ほとんどの悩みをメグミさんに解決してもらっている。
最近でいえば、「女っていう生き物はなんで理屈で言っても分からないんですかね」と聞いたところ、「じゃ聞くけど、理屈の通用する女が今まで過去にいたか?いないだろきっとこれから先も永久に。だったら女に理屈を言う事をあきらめろ。それが一番賢いんだよ」なんて言われたのを思い出しました。
またある時は、俺が何か液晶テレビだったかな。買おうか迷っていた時にメグミさんに相談したとき、、、「人間は何をしても渇愛、渇望するのがベースなんだって。あんたが大きな画面のテレビを買っても、そのうちもっと大きい画面のが欲しいと思う。かといって妥協して小さいのを買えば買ったで今度は、やっぱ最初から大きいの買っておけばよかったと思うにきまっている。だから・・・何をしても満足することはないんだから、最初から何も買うな」なんて言われたことを覚えています。
そう。メグミさんはこんな人なんです。
そして俺たちはこのカルテの仕分けの仕事をやり切ったのか?それは覚えていないが期日が着て俺は大学が始まったので終了。もしかしたらメグミさんはこの後も一人でやっていたのか何なのかはわからないが(メグミさんも覚えていないという)俺とメグミさんは病院のカルテ室で会うという関係から、たまに電話で暇つぶしにおしゃべりするという関係に変化していった。
それから次に実際に会ったのは、季節が冬だったのでカルテのバイトから半年後くらいが妥当な線だと思う。俺は急にメグミさんから「ネットがつながらないんだけど。こういうの詳しい?」と珍しくメグミさんから俺にアドバイスを求めてきたのであった。
俺はルーターの再起動、インターネットオプションからの設定をいろいろアドバイスしてみたが、相手のパソコン画面がいっさいわからない状態なのでまったくの手ごたえなし。「じゃ、今度みにいきましょか?」という感じで急遽、俺は初めてのメグミさんの家への訪問が決まったのであった。
実際、ネットがつながらなくなっていた原因はアンチウィルスソフトを複数ダウンロードしてしまっており、それが原因でネット接続がタイムアウトするという状態になっていた(と思う)
当時のメグミさんの家は一人暮らし専用のワンルームマンションだった。部屋自体は10畳くらいの広さしかない部屋だったが、ロフトが付いていたのを覚えている。
部屋の中はいたってシンプル。余計なものでゴチャゴチャしたくないという強い拘りを持つ彼女の性格を部屋そのものが表しており、電化製品は全て白色。そして家具は全部ウォールナットだった。
そして電化製品だけでなく、使っている食器類も徹底していた。白色の抗菌素材で出来た4つ仕切りのランチプレート。汁もの用の抗菌素材の白カップ。100均で買ったというコップ。シルバーのフォーク、スプーン、そして箸という完全な必要最小限しか所持しないという、徹底したシンプルっぷりであった。
俺「なぜそんなシンプルさにこだわってるの?」
メグミ「性格?自分でもわかんない。ただの性格」と答えもシンプルであった。
余談ではあるが、付き合いが8年もたった今だからこそ知っている事でいうと、下着、肌着類も3着しか所持していないらしい。靴下、ストッキング、ぱんつ、ブラ、キャミソール、Tシャツ、考えられるあらゆるものが「×3」じゃないと気が済まないという。もはや潔癖症だけでなく、ここまでくれば神経質であるともいえる。
そんな中なものだから、俺用のコップや箸なんていうものが最初から存在していないのは当然の事であった。俺とメグミさんは冬のある日、インターネットが復旧した事で季節柄、「鍋でも食べましょうか」と行ってみたら、「なべ?まじいうてる?」と真剣ににらまれたので、(あ、、、潔癖的には無理な食材だったか・・・)ということで俺はすぐに「じゃ、弁当でも・・w」と言い直してしまうのであった。
他にもメグミさんの家に上がらせてもらう上で困難な事が沢山あった。床を素足で歩くな。(俺用のスリッパを予め用意されていた)そしてトイレに入る時は小でも座ってからしろ。
お茶が飲みたいときは私に言え。かってにポット使って茶を沸かすな。などなど。
様々なメグミルールの法の拘束が存在する空間であった。なるほど、これなら友人知人が(めんどくさ・・・)ってなるのも無理はない。
だが一方、その最低限のメグミルールさえ守れば、24時間、いつでも連絡さえすれば家に上がらせてもらう事も問題なかったし、宿泊もできる環境でもあったんだ。メグミさんはもともと外に出る事が億劫な人なので、仕事も自営業という感じで雑貨や小物販売のインターネットビジネスと、、月に2回支給される障がい者年金で生計を立てており、俺が家に訪問するときはだいたい家にいてくれるという便利な存在でもあったんだ。
そんな感じで俺からすればちょうどいい暇つぶし。相手からも暇つぶしの話し相手。という持ちつ持たれつの関係を続けており、俺は俺でなんだかんだ、うんちくかかったメグミさんの話を利くのも楽しかったし、メグミさんもこんな話を聞いてくれるのは俺くらいのものだったという需要と供給が成り立っており、俺とメグミさんは男女の壁を越えて、親しく友人としての関係が構築されていくのであった。
次回:彼女との別れ。メグミさんの胸に抱かれる>>>