夜10時過ぎ、近所の銭湯に徒歩で出かけました。
職場ではコンタクトレンズをしていますが、自宅にいるときや近所に出かけるときはメガネです。
番台に座る馴染みの女将さんに入浴料を払って、他愛もない会話を交わしながら服を脱ぐと、洗い場に入りました。
遅い時間帯のせいか、女湯は入ってから出るまで「貸し切り状態」でした。
入浴を済ませて洗い場から出ると、脱衣場の床に滴を落とさないように湯上りマットを敷いた上り口で、股間を含むカラダ全体を絞った擦りタオルで丹念に拭いました。
私が店の最後の客のようで、男湯の方からも物音は聞こえて来ません。
カラダを拭い終わると、前も隠さずロッカーに向かいました。
女将さんと話しながら服を脱いだので、バスタオルと着替えは番台に近いロッカーの中にあります。
お風呂の道具が入った籠をロッカーの上に置き、番台に目を遣った私はギョッとしました。
番台にはいつの間にか男の人が座っており、全裸の私をジッと見ていたからです。
この銭湯は以前から時々利用しますが、番台はいつも女将かパートの中年女性で、男の人が座っているのは初めてでした。
私はメガネを外しているし、相手はマスクをしているので顔の表情までは分かりませんが、舐めるようなネットリした目つきだけは感じました。
上り口で股間を含むカラダ全体を丹念に拭い、前も隠さず番台の方に近づいてくる全裸の私をずっと見ていたのでしょう。
一糸纏わぬ姿を男の人に見られるのは、亡くなった主人以来です。
でも、それは灯りを暗くした寝室の中で、今回のようにカラダ全体を隈なく照らす蛍光灯の下ではありませんでした。
私は乳房の膨らみがほとんどなく、乳首だけが飛び出ています。
また閉経以降、ヘアのほとんどが抜け落ちてしまったので、プックリしたデルタ地帯と縦筋が露わになっているのです。
男の人の露骨な視線は、私の胸と下腹部に注がれているようでした。
私は思わず胸と下腹部を手で覆って身を屈め、背中を番台に向けましたが、そんな恥じらいに満ちた仕草も、却って男の人の欲望を刺激するだけだったかもしれません。
大急ぎでロッカーからバスタオルを取り出してカラダに羽織り、下着を着けて服を着ると、一刻も早くその場を逃れたくて濡れ髪のままお店を出ました。
番台の横を通り過ぎるとき男の人は無言でしたが、異臭を感じました。
上がり口では上体を深く屈めて股間や太腿の裏側をタオルで丹念に拭ったので、男の人に陰部まで見られたのではないかと帰り道で心配になりました。
「番台までは距離があるので、お尻を向けたときも見えなかったはず」と自分に言い聞かせました。
通い慣れた近所の銭湯ですが、裸をガン見された男の人がまた番台に座っているかもしれないと思うと、今後とても利用する気にはなれません。
職場の先輩E子さんから聞き取った、隣町の銭湯での恥ずかしい体験談です。
二人で郊外の天然温泉を利用したときに話してくれました。
E子さんは50歳代半ばの美しい未亡人で、職場でも中高年の男性客に圧倒的な人気があります。
銭湯での一件を聞いたら、さぞかし番台の男を羨ましがるでしょうね。
E子さんの裸をガン見した番台の男について情報が入りました。
道で出会った銭湯の女将にE子さんが訊ねたそうです。
E子さんが利用している隣町の銭湯では、毎日の簡単な清掃に加えて定休日前日の閉店後に本格的な清掃作業を行うのですが、そのために雇った40歳代の独身者で、清掃作業を行う日には閉店前の遅い時間帯に番台に座ることもあるとのこと。
女将は「イヤだった?ごめんなさいね。普段は座っていないから、安心して」と謝ったといいますが、店を出るとき感じた異臭の正体が、番台で男が放出した精液の臭いだったことはE子さんも分かっているはずです。
女体に接する機会がない独身者なので、全裸のE子さんを番台からジッと見ているうちにガマンできなくなり、オナニーしてしまったのでしょう。
男はそれ以降、記憶に焼き付けた美しいE子さんの裸を思い出しては、二人切りの店内で無防備なE子さんを犯すシーンを想像しながらオナニーしているに違いありません。
E子さんとしては、見ず知らずの中年男に裸をガン見されたばかりか、その場で射精されてしまったのですから、精神的ショックは大きかったと思います。
私も以前、やはり行きつけの銭湯で店主に際どい行為をされましたので、E子さんの気持ちはよく分かります。
昔ながらの番台式銭湯で、私たちのような被害に遭ったという女性は結構いるのではないでしょうか?