昨年の夏至の夜に体験した、ちょっとHな出来事を二日後に記したものです。
一昨日、ご近所のお風呂屋さんに行きました。
スーパー銭湯ではなく、住宅街にある昔ながらの銭湯です。
一昨日は仕事がすごく忙しかったので、お風呂屋さんの広い浴槽にゆったり浸かって疲れを取ろうと、夜の9時頃に出かけました。
アパートから僅か100m程度の夜道ですから、ノーブラです。
先月まで住んでいた都内でも、心身のリフレッシュのために週末はお風呂屋さんに通っていました。
そのお店は待合室のフロントを通過して男湯と女湯に分かれる造りでしたが、昨日行ったお店は男女左右に分かれて建物に入り、男湯と女湯の間に番台がある造りです。
浴槽のお湯は少し熱いのですが、入浴後はとても爽快な気分を味わえます。
私がお風呂屋さんに通うようになったのは、郷里の大学を卒業して都内に本社がある企業に就職し、一人暮らしを始めてからのことです。
支社に異動となり、引っ越してきてから週末に2度利用したのですが、そのときの番台はお婆さんでした。
ところが、一昨日は行った時間が遅かったせいか、入り口の引き戸を開けると番台には何とお爺さんが座っているではありませんか。
「エー、男の人の前で裸になるの!」と思うと、愕然としました。
先月まで利用していたのはフロントタイプで、ただでさえ番台タイプには不慣れだというのに、その番台にお爺さんとはいえ男の人が座っていて、裸を見られてしまうのです。
一瞬、Uターンして帰ろうかとも思いました。
でも、そんな真似をすると「今後使いづらくなるかもしれない」と思い直し、「男の人とはいっても、お爺さんじゃないの!」と自分に言い聞かせながら、中に入りました。
脱衣場は私一人で、番台からなるべく離れた位置のロッカーを選び、お爺さんに背中を向けて服を脱ぎました。
男の人の前で裸になるのは思春期以降初めてだったので、すごく緊張しました。
最後にショーツを脱ぐときは、心臓がドキドキしました。
背中を向けているので、胸や下腹部は見えなくてもお尻は丸見えでしょう。
気恥ずかしいので番台の方には目をやりませんでしたが、お爺さんにずっと見られているような気がして、そそくさと洗い場に向かいました。
洗い場には二人の先客がいました。
一人は小さな女の子を連れた30歳前後の、水商売風の方。
色黒ですが割とキレイで、ふくよかなカラダ付きをしています。
もう一人は40歳代くらいに見える、とてもキレイな方。
胸も大きく胴も括れていて、「自分も20年後には、こんなふうでありたい!」(胸も括れもない私には無理ですが…)と思わせるような方でした。
カラダを丁寧に擦って顔と髪を洗い、熱めのお湯を湛えた広い浴槽に二度ゆったり浸かると、もう脱衣場に上がる時間です。
「ひょっとしたら、お婆さんと交代しているかもしれない」という一縷の望みをもって様子を窺ったのですが、依然として番台にはお爺さんが座っています。
仕方がありません、覚悟を決めて洗い場のガラス扉を開けました。
タオルで前を隠そうか少し迷いましたが、そんな真似をすればお爺さんを異性として意識しているというメッセージを暗に送るようなものだと考え、そのまま脱衣場に出ました。
脱衣場に出たとき、番台のお爺さんと目が合いました。
お爺さんは、前も隠していない全裸の私をジロッと見ました。
好きでも何でもない男の人に裸を正面からモロに見られてしまったことに、強いショックを受けました。
「やはりタオルで前を隠しておくべきだった!」と反省しましたが、後の祭りです。
前屈みになってロッカーまで辿り着くと、大急ぎでバスタオルを取り出してカラダを覆い、ドライヤーで髪の毛を乾かし始めました。
ふと前方に目をやると、利用客が荷物を置いたり湯上りに腰を下ろしたりするための広い木製の台が番台の前に設置されているのですが、そこに私より先に上がっていた水商売風の方が座っていました。
しかも、お爺さんの目の前だというのに、全裸で番台の方を向いて座っているのです。
連れの女の子も素っ裸で脱衣場を動き回っていました。
そこへ私よりも遅れてキレイな方が上がってきたのですが、やはりタオルで前を隠したりはしていません。
その方も番台の方を向いたまま、湯上りのカラダをバスタオルで拭っています。
お二人のあっけらかんとした態度を近くで見ていると、女もお風呂屋さんでは、たとえ番台が男の人でも素っ裸で堂々としているのが自然で、「自分は自意識過剰だったのかな」とも思えてきました。
それでも、カラダの正面をお爺さんの方に向けてバスタオルを外したり、ショーツを穿いたりするような真似は恥ずかしくてとてもできませんでした。
閉店の10時が迫り、お爺さんがお店の入り口の電気を消しました。
水商売風の方は相変わらず全裸で腰かけたままです。
私と綺麗な方はほぼ同じタイミングでお店を出ました。
外では一足先にお店を出た様子のご主人が待っておられ、一緒に車で帰っていきました。
「あんなにキレイな奥様の裸を番台のお爺さんに見られて、ご主人はヤキモチを焼かないのかしら?」と不思議に感じました。