時々立ち寄る職場と自宅のちょうど中間地点くらいの書店。いつもは、文庫本やコミック本のコーナーを立ち読みしながら、気に入った作家の本が出ていたら買う程度。
コミックのコーナーでよく本の整理をしてる店員さんが、タカハシさん。初めの頃は、なんか垢抜けないオタクっぽいちっちゃい子っていう印象だったんだけど。ある時、ちょっと買いたい本があったけど見つけられずに、タカハシさんに声かけて探してもらおうとしたんです。
「あのぉー、この文庫本の最新刊が出てるって聞いて今日来てみたんですが、どこに置いてますか?」
「失礼します。今、ちょっと調べてきますね。」
何気ないほんの普通の返事なのに、初めて声を聞いた瞬間、なんかビビって電気が走ったみたく、一瞬で恋に落ちてしまいました。こんな歳になって、こんな気持ちになるなんて、ほんの数秒前まで思いもしなかったのですが。小走りでレジに行く後ろ姿のタカハシさんが、思っているよりも華奢で、スタイルがいい子だって確信しました。
数分後、タカハシさんが調べてくれたその本は、人気で売り切れ中とのこと。系列店に在庫があるかどうか調べてくれるようで、それをこちらに回してもらえるか、確認をするので、もう少し待ってくださいと。こちらにこばしりで戻ってくるタカハシさん、エプロンでちょっと分かりづらいけれど、なかなかのボリュームと柔らかい揺れ…。小柄で華奢で、でもおっぱいはそこそこあるっていう、どストライクの身体。顔もいつもは自信なげに髪が顔を覆ってるけれど、黒メガネの下の小さな瞳が、まためっちゃオレごのみ。どうして、今日まで気づかなかったんだろう?こんなに身近にこんなに可愛くてエッチなスタイルの子がいるなんて(笑)そう気づいたら、もう色んな妄想が怒涛のように(笑)
ふと、われにかえるとタカハシさんがメモを片手になにか話しかけてる。
「系列店に、一冊だけ在庫があるようです。よければこちらに取寄せますが、どうしますか?」
「あ、はいっ!ぜ、ぜ、ぜひお願いします。」
タカハシさんの調べてくれたその系列店というのは、それほど遠くなく、方面は自宅とは違うけれどたまに立ち寄ることもあるし、今から車で行くことも出来る距離だったけれど、またタカハシさんと話が出来ると思い、取り寄せてもらうことにしました。
「じゃ、何日かして、またお店に寄ったらいいですか?」
「あ、もしよければ連絡先を教えていただければ、入荷したら直ぐにお電話差し上げます。」
ということで、自分の携帯番号を告げると、タカハシさんは手に持ったメモ帳にサラサラと書いてます。
「オレも、タカハシさんの番号聞きたいな…」
心の声がポロッと出る時って、ホントにあるんですね(^^)自分の声が周りの人には聞こえないけれど、タカハシさんにははっきりと聞き取れるほどの音量で漏れていたことに気づいた瞬間、漫画のように「はっ?!」とお互いに手を口に当て、見つめあってしまいました。
そのまま、タカハシさんは
「そ、そ、そ、それじゃ、またに、に、にゅ入荷したら、れ、れ、連絡差し上げますぅ…。」
と消え入りそうに、顔を真っ赤にしてレジの方へ逃げて行ってしまいました。
やばいお客だと思われただろうなぁ…
店長に、あの客からセクハラまがいのことを言われました!と告げ口されて、出入り禁止にさせるのかなとビビって遠くから伺ってたけれど、特にそんな様子もなく、レジ仕事をしながら時折チラチラこちらを見てるふうでもあるので、ほっとひと息着いてお店を出ました。
でも、この後まさかの展開が待ってるなんて、その時は思いもしませんでした。