先月末に某女装系SNSで知り合った女装子さんとお出かけした時の話です。
僕は女装外出をよくしますが、基本的に単独行動か本物の女性と行動する事が多く、女装子同士でお出かけした事は、一度もありませんでした。
そして、一緒に外出する本物の女性は、僕が女装でお出かけしてる時に女性の方から声を掛けられて仲良くなった人ばかりで、彼女達とは女同士の関係で遊ぶだけの人や、その後に男女の関係を持つ人まで、様々なタイプの女友達がいました。
しかし、その日はA子さんとメールのやり取りをする中で、押し切られる形で女装子四人でお出かけすることになってしまいました。
仕事の定休日が水曜日の僕に合わせて、有給休暇を取って大阪から会いに来てくれる事になったA子さんと女装姿で、京都の繁華街の地下駐車場で待ち合わせをしましたが、一緒に来る予定の二人の女装子さん達は急遽来れなくなったとの事で、結局、待ち合わせ場所にやって来たのはA子さん一人だけでした。
初対面のA子さんの女装は、お世辞にも綺麗とは言えない状態で、どう見ても男がカツラを被って女物の洋服を着てるだけにしか思えない状態でした。
女装をする人にも色々なタイプがいて、どう見ても女性にしか見えないのに、女装外出を躊躇する人もいれば、A子さんの様に全然女性に見えないのに、堂々と女装外出する人まで様々なタイプがいる事を改めて知りました。
車から降りて来たA子さんの格好は、流行や季節感やファッションの基本を無視した格好で、見た事の無いお婆ちゃんが着る様な秋冬物のトップスの上に春夏物のカーディガンを羽織り、ピンクと黒のチェックのフレアミニにニーハイソックスを合わせ、何故かピンヒールのサンダルを履いていました。
勿論、ファッションとしてワザと外す事はありますが、基本的に春夏物と秋冬物を合わせたり、ソックスとサンダルの組み合わせは避ける物で、何より年配の男性にしか見えないA子さんに下着が見えそうなくらい短いヒラヒラのミニスカートとニーハイソックスの組み合わせは全く似合っていませんでした。
しかも酷いのはファッションだけではなくスタイルも女性らしくなく、がっしりとした上半身なのに、本物の女性よりも高い位置に巨大なバストの膨らみを作っていて、まるでアメフトの選手の様な印象で、上半身に比較して小さな下半身が不自然さを更に強調していました。
実際に計測をしていませんが、A子さんのスリーサイズはB120・W100・H90と言った感じで、凸凹の肌の上に派手なメークをして、劣化したウィッグを被っていたので、不潔な印象しかありませんでした。
やはり僕とA子さんとは女装の考え方が根本的に違う様で、なるべく本物の綺麗な女性の容姿に近付ける様にしているノンケの僕と、男とのセックスを目的とした、ただ単に女物の洋服を着ているだけのA子さんとは趣味が合いそうにありませんでした。
車から降りた僕にメールの時と同様にグイグイとオカマ口調で話しかけてくるA子さんは、当初一緒に繁華街でお買い物をする予定を変更して嵐山に行きたいと言い、その後に僕が予約していたお店でご飯を食べようと言い出しました。
僕は昼間の繁華街をA子さんと一緒に歩かなくて済みそうなので、A子さんの提案を受け入れ自分の車に乗ろうとすると、A子さんは自分の車一台で行こうと言い、僕を自分の車の助手席に誘いました。
本当は別々に行動したかった僕でしたが、またA子さんに押し切られる形で、A子さんの車で嵐山に向かう事になりました。
幸い乗り込んだA子さんの車は女装姿と違い清潔でしたので、僕は少し安心しました。
僕はノンケでしたが女装をすると精神状態も女性に近くなり、性格も女性に近くなるので、車中の会話もA子さんの容姿について本当の事は言わずに「可愛い」とか「セクシー」と言う便利な褒め言葉を使って彼女を褒めてあげました。
するとA子さんは僕の言葉を否定することなく「なつみさんも可愛いわよ」とオカマ口調の上から目線で僕の事を褒めてくれました。
A子さんは男とよくセックスをする様でしたが、心は男のままの状態で、僕の嫌味で言った褒め言葉の意味を理解出来ていませんでした。
その後もA子さんは、自慢話の様に男とのセックスの経験を喋り出し、運転中なのに自分のスカートを捲って下半身を僕に見せて来たり、僕に性器を触らせようとしました。
しかし、時折掛かって来るA子さんの仕事の取引先らしき相手からの電話に中断されたお陰で、僕は気持ち悪いA子さんの体を触る事はありませんでした。
やがて嵐山に到着した僕達は散策を始めましたが、平日で人が休日よりも少なく、観光客のほとんどが他人に興味の無い国民性の中国人だったせいか、A子さんの女装がバレて注目される事は、ほとんどありませんでした。
僕は、A子さんの様なレベルの低い女装でもバレない事に驚き、本当に他人は他人に興味がない事に気付き、返って自分の女装に自信がつきました。
しかし、やはりA子さんの女装は酷く、たまに日本人の若い女性から大声で笑われたり、年配の女性からゴミを見る様な目で睨まれたりしていました。
僕は恥ずかしくなりA子さんから少し離れて歩きましたが、A子さんはそんな事を意に介さない様子で堂々と歩いていて「別に悪いことや人に迷惑を掛けてる訳じゃないから」と言いましたが、A子さんの女装は見る人に不快感を与え十分に他人に迷惑を掛けている状態でした。
しかし僕は、A子さんメンタルの強さだけは見習う必要があると思い、僕も堂々と女装すればいいのだと思いました。
そして、A子さんは食事までまだ時間があるので、金閣寺に行きたいと言い出し、また車で移動する事になりました。
金閣寺までの移動中、A子さんは頻りに男とのセックスの良さを僕に力説し、良かったら男を紹介すると言い出し、実は僕の写真を見て僕を抱きたいと言う男がいると言いました。
僕は女装をしますが、本当に男とのセックスに興味が無く、むしろ男に抱かれると考えただけで鳥肌が立つ状況でした。
そして、僕はA子さんの目的が、僕を餌にして男と会う事だと分かり愕然としましたが、企業によっては年度末にあたるその日は、仕事を急に休んでやって来たA子さんに取引先からの電話が鳴り止まず、どうやら納期の事でクレームが来てる様子でしたので、僕はA子さんの申し出をやんわりと断り、今日は仕事の処理をして、また後日会う約束をして、その日は別れる事にしました。
名残惜しそうに謝るA子さんの車から降りた僕は、自分の車が停めてある繁華街に戻る為に、タクシーを拾おうと思いましたが、A子さんのお蔭で女装外出に自信が付いていたので、市バスに乗る事にしました。
そして停留所でバスを待っているとA子さんから「なつみさんに急用が出来て、そっちに連れて行く事が出来なくなりました。ごめんなさい。また別の日に会う約束をしたので、楽しみに待っていてね。今夜は私で良かったら会いに行きます」と言うメールが届きました。
僕は最初A子さんからのメールの意味が分かりませんでしたが、メールの文面から僕以外の人に送るメールを僕に誤送信した事に気付きました。
どうやらA子は僕を騙して、男の所に連れて行くつもりだった様で、惚れてる男に僕を貢いで、機嫌を取るつもりでいた様子でした。
僕は男にレイプされる危機的状況だった事に怒りを覚え、A子に教えていたフリーメールのアドレスを捨てて、前々から女装子同士が褒め合うだけの某SNSに飽きていた事もあったので、そのSNSを退会し、A子とは二度と連絡が取れない状態にしました。
ノンケの僕は、そのSNSで直接誘ってくる男は無視していましたが、僕と同じ女装子を使って誘って来る男がいた事に驚き、男の為に簡単に僕を売ったA子の存在に呆れました。
しかし、結果的に何もされなくて、逆にA子に女装外出する時の勇気を貰えたので、その日のお出かけは満足の行く結果になりました。
やがて繁華街行きのバスが到着し、僕は女装した状態で初めて乗るバスに少し緊張しながら、バスに乗り込みました。