結婚前は銭湯など利用したことのなかった私ですが、新婚時代を専業主婦として過ごした北国で冬場、雪の中を熱めのお湯をたっぷり湛えた銭湯に通ったことで、すっかりその魅力にはまってしまいました。
現在は兼業主婦として、首都圏のベッドタウンで仕事をこなしながら、夕方には近隣の町の複数の銭湯に週二~三回ほど車で通っています。
女性版「銭湯フリーク」といったところでしょうか?
私が住んでいる町にはスーパー銭湯しかなく、近隣の各町にも昔ながらの銭湯はそれぞれ一軒しかありません。
幸い、何れの店でも銭湯ならではの熱めのお湯、静かでレトロな雰囲気、ゆったり過ぎていく時間を堪能することができます。
ただ、新婚時代に利用した銭湯と違って、近隣の町の銭湯では番台に男の人が座っている時間帯によく出くわします。
初めの頃は抵抗感もありましたが、通っているうちに「昔ながらの銭湯でしか味わえないスリル」と割り切れるまでに、慣らされてしまいました。
また最近では、出張先で地元の銭湯を利用できるよう、旅行カバンの中には携帯用の乳液と化粧水、洗顔、ボディーソープ、シャンプー、リンス、ハンドタオル、バスタオル、お風呂道具を入れるためのポリエステル製の袋、サンダルをいつも入れています。
この初夏にも出張先で、ホテルから徒歩10分くらいの銭湯を訪ねてみました。
商店街の一角にある比較的大きな建物で、リフォームも施され、外観はとてもキレイです。
入口の扉を開けると、番台に座っている女将さんらしき女の人が愛想良く迎えてくれました。
ロッカーは壁に面して設置され、脱衣場は広くてガランとしています。
洗い場に入ると中央に浴槽があって、お客さんは年輩者だけでした。
そして、乾式と湿式の二つのサウナが完備し、奥にはもうひとつの浴槽と水風呂。
お湯は残念ながらぬるめで、私には物足りませんでしたが、水風呂は冷たくて心地良く、サウナと水風呂を交互に出たり入ったりしながら、結構長湯してしまいました。
脱衣場に出ると、「あらヤダ、番台が男の人に交代してる!」ではありませんか。
平日のまだ明るい時間帯ということもあり、番台から丸見えのガランとした脱衣場には、私以外に誰もお客さんはいません。
でも、番台の男の人はそんな私に配慮してか、女湯の方を一切見ないようにしていることが一目で分かりました。
趣味で銭湯に通っているのですから、番台に座っている男の人に対してもナーバスではありませんが、それでも細やかな配慮は嬉しかったですね。
というのも、初めて利用する銭湯では番台の男の人に裸をジロッと見られることが多いからです。
女の裸なんか見飽きてるはずなのに、それでも「初物」だと、つい食指が動くんでしょうか?
三十歳代前半ですので、そこそこ「鮮度」も保たれてますし、そろそろ「脂」も乗ってきて「食べ頃」でしょうから(笑)!
店を出るとき、細やかな配慮に対する感謝の気持ちも込めて「ありがとうございました」と挨拶すると、丁寧なお礼の言葉を返してくれました。
番台に座っているにしては若い、優しそうでイヤらしさを全く感じさせない男の人でした。
「番台に座るのは年輩者」という暗黙のルールもあるようですが、私としては、中年や初老の男の人よりも、清潔感のある若い男の人の方がずっと気分的に楽です。
実際に見かけたことはありませんが、同年代や二十歳代でも抵抗感はないと思います。
ホテルに戻る途中、商店街の魚屋さんで新鮮な魚のタタキとすり身の天麩羅、酒屋さんでビールの500ml缶と冷えた日本酒の2合瓶を購いました。
酒屋さんでは、少しスケベっぽい感じの中年の店主に「お姉さん、風呂上がりに一杯とはイイね!ここで飲んでいかない?」と口説かれました。
仕事も片付き、本当に気分の良い夕方でした。