もう二十数年も前の話。
車の営業の仕事をしていて、キャンペーンノルマ達成のご褒美に、某国への旅行が、会社からプレゼントされた。
ノルマ達成報奨金付きで。
俺は初めての達成で、先輩達に連れて行ってもらうことに。
初の海外旅行。
とにかく暑い。
でも海外からの客がほとんどというホテルだったため、ホテルは快適だった。
先輩達から一度行ったら二回三回行きたくなるからと、行く前散々言われた。
飯食いに行くぞ、先輩達が呼びにきてロビーに。
その光景はホテルに入ったときと変わっていた。
女、女、女がうようよしていた。
どう見ても宿泊客じゃない、地元民みたいな女が大勢いた。
先輩達とエレベーターからロビーへと歩き出すと、あっと言う間に女達に取り囲まれる。
何かを喋る女達、でも言葉がわからない。
ホテルのボーイさんが教えてくれた。
ガイドとして雇え、そうゆうことらしい。
続いて先輩が教えてくれた。
ガイド、と言っても夜のご奉仕付きガイドだからな、と。
言葉が通じないなら、ガイドなんかいてもな~と思ったとき、俺の背中にしがみついてる女、いや女の子がいた。
私、日本語出来る、私、使って。
いやいやちょっと待て。
どう見ても日本でいうとこの、中学生くらいでしょ。
あちこちで宿泊の人が囲まれていて、先輩達は気にいった女を、選ぶ体制に入っていた。
このままではらちがあかない、俺はその女の子の腕を掴んだ。
す~っと人は引いて、次々と出てくる、またはホテルに着いた客に、群がっていた。
「なんだお前、ロリコンかよ?」
先輩達から冷やかされた。
先輩達もやはり、ある程度言葉が出来る女を選んでいた。
先輩達、女達と食事に出て、ホテルに戻る。
先輩達は女ずれでエレベーターへ向かう。
日本なら宿泊客以外、客室になど上がれないはずなのに、フロントの人は何も言わない。
堂々と入っていく。
女の子も俺のあとを、とことこ付いてきた。
部屋に入ろうとしたら、ある先輩が俺を呼んだ。
「いいか、財布は二つにわけろ。たくさん金が入ってる財布は、絶対金庫だぞ。あの子に財布取られてドロン、なんてことになるな」
俺がその子の元に戻る。
部屋に入った。
日本語を誰に習ったか聞いた。
昔、近所に日本の人が住んでいて、そこの人から教わったらしい。
次に年齢、18と答えたが嘘だと思った。
でも言わなかった。
どう見ても日本の中学生、または下手すれば小学生の幼さにしか見えない。