ナオさんとの契約が終わった僕は、今までと同様の日常に帰っておりました。
朝起きて仕事に行って、そして帰って映画なんかを見てツレとラインして1日が終わり。そんな平々凡々たる毎日が帰ってきたのです。
そんなありきたりな日常生活の合間、ナオさんが働ていたスーパーや、団地の近くを徘徊するのは、もしかしたら偶然を装ってバッタリ会ったとき、また「じゃ、少しだけね♪」とイイ事してくれる展開になるんじゃないか?なんて心のどこかで期待していたのかもしれません。
ですがその期待が満たされる事はありませんでした。
そして日曜の公園でのトレーニングとハトの餌やりはやらなくなってしまいました。トレーニングはジムでだけ。なぜなら公園でトレーニングすると後ろを振り返ればナオさんが現れそうな気がして・・・。そんな気持ちもあったのかもしれません。
そんな事をしているうちに、仕事の繁忙期がやってきました。
当時の仕事は建築現場に家具を納品したり、または組み立てしたりする仕事を続けていました。だいたい1月、2月頃になるとラストスパートといいますか、納期に間に合わせるために無茶も承知で仕事をする期間がやってくるのですが、これから話すお話はそんな頃の出来事です。
とある高層マンションの現場に入っていた時の話。
その都会とも言えない、田舎とも言えない現場の近くのコンビニ。いつもどおり僕は昼飯を買いにコンビニに来たら、コンビニの中で少し声を荒げているオッサンがいたのです。
見た感じ、僕と同じ現場に入っている作業員。電気屋か、設備屋か、、、っていう風貌をしていました。
オッサン「だからよぉ、これは温めなくていいって言ってんだろ!」
ファン「ハイ、コレは温めなくてイイですのね」
オッサン「何だよその顔は? あぁ? ったくよぉ、不愛想なガイジンだよな」
ファン「・・・・・・ドウゾ」(淡々とレジ袋に商品を詰めている)
どいやらレジの段階で何か客が気に入らない事をやってしまったが、謝罪もなければツン!とした顔でいる事に現場作業員が気にくわなかったらしい。。。という事だけはわかりました。
そしてレジは僕の順番が回ってきたのです。
僕「あんなオッサンの言う事気にしないでねww」
ファン「あのヒト、いつもあんなカンジだよ。私のことイジめてる」
僕「へー、初めてじゃないんだ」
ファン「そうヨ。ずっとマエから」
その日、会話したのはそれだけでしたが、そのベトナム人店員の風貌が、正直いってかなり美人だった事。うん。ほんと美人さんなんです。
まぁ日本人なら芸能人の誰それに似てるとか例えもあるんですけど、ちょっと難しいですね。せめて言うなら身長、体形は(日本人を含む、)細見の普通のアジア人。顔は可愛い系か、キレイ系で言えば可愛い2割、キレイ8割っていう感じ。
現場作業員のオッサンが、愛想が悪いと思ったとおり、確かにキツネ顔というのか、ツンとしたクールな感じの女の子だったのです。
さらには髪の毛は茶髪でした。ただ素人が薬剤つかって脱色したような変な茶髪じゃなくて、美容院に通ってトリートメントで仕上げてもらった綺麗な茶髪。メイクパターンも韓国人女優のような、そんな雰囲気を持っていました。(ベトナム人だけど)
それから僕はその現場にまだ暫く通わないといけないのですが、そのファンさんとの会話がきっかけで、その日以来、ちょと意識してしまう展開になったのです。
人生の中でこういう事ってたまにありますよね(笑)
ただ、僕の文章はただでさえ長くなるので、ハショっていいところはハショっていこうと思います。
(ナオさんの時の話も公園で仲良くなったプロセス自体は書いてませんし)
それから暫くコンビニで接しながら、互いの年齢も20代前半という事で近いというか、若者特融の勢いのようなモノも持ち合わせていて、僕はさほど緊張せず相手の連絡先を聞き出したのです。
毎日、現場のコンビニで挨拶をし、他の客がいなければ世間話を繰り返し、仕事が終わればプライベートでラインでチャット。そんな毎日になっていったのです。
そこで知ったファンさんの情報を書いていこうと思います。
ファンさん(24)留学生 ホーチミン市出身 その建築現場がある場所から少し離れたところにある大学に通っているとの事。趣味はおしゃれ。特に日本の最先端のファッション(ちょっと勘違いしているところもあるが・・w)が大好きとの事。現在、日本語1級検定に向けて猛勉強中との事でした。
住まいは同じホーチミン市出身の留学生と、いわゆるルームシェアという形で二人暮らしをしているという事でした。
僕がファンさんに接近した理由、それはただ単に「目の前に美人がいたからw」それだけです。それに無駄に策などを弄さず、自然と仲良くなれたというのも大きいかもしれません。
そして、ファンさんが僕からの接近を許した理由。それを僕が代弁させていただくと、「日本語検定の為に、実際に日本人と会話する時間が欲しかった」そして・・・・。女はこの点は誰もが同じかもしれません。この時の僕は羽振りがよかったんです・・あくまでこの時は(笑)
こんな感じで、けっして不自然とは言えない出会い。そして少しづつ積み重ねていった会話。そんな日々の努力を積み重ねているうちに、ちょっとした切っ掛けがやってきたのでした。
ファン「家のエアコンから水がでてくるのヨ」という話を聞いたのです。
僕「ほう、暖房いれたらエアコンから水が出てくるのかな。うんうん」
ファン「修理できる?」
僕「それは見てみないと分からないな」
そんな感じでファンさん達がルームシェアしているっていう住まいに点検に行くことになったのでした。
持って行った道具は仕事でも使うインパクトドライバーやレンチ類のセット、だいたいこれだけあればエアコンの中を確認する事ができるし、エアコン自体はちゃんと効いているとの事なので、冷媒系統ではない事は確か。
(おそらく、ドレン板が傾いてるんだろうな・・・)と、おおよその原因は突き止めていましたが、かといって女の子たちに修理が出来る部分でもないので、直接、僕が行くことになったのです。
とある休日、朝の10時に家を出て、今度はプライベートの仕事という事で現場周辺までたどり着いた僕は、例のコンビニでファンさんの到着を待っていました。
すると、さっそく出てきた異文化。10時に待ち合わせているのに、到着したのは10時20分。
来ていた服装がワインレッドのロングコートに、中は白のタートルネックセーター。そしてヒザが見える黒のタイトスカートでした。
(ああ、、こういう系ね・・w)と相手を品定めしている僕がいたのですw
ファン「お待たせ」
僕「はいはいwじゃ、行こうか」(遅刻してくる事くらいは予想してました)
そうして僕はファンさんの家に向かったのです。
家自体は建物自体は2階建て。入っている部屋は4世帯分。東側と西側があって、その真ん中に階段が入っているタイプの建造物でした。中は2LDKという事で、2人で暮らすにはまぁまぁな感じのとこでした。
が。。。入った瞬間、、、
(散らかってるwwwwwwwww)
まー、、若い女の子の二人暮らしなのでこんな感じなのかもしれません。当然のようにナオさんの家とは違うパターンなのですが、玄関にはヒールやサンダルやブーツなどが散乱し、チラっと見えた脱衣所の中は風呂のところにはバスタオル、肌着、靴下系が散乱w
キッチンは鍋やフライパン、ヤカンなどの調理器具が置いてあって、テーブルの上にはインスタントカレーやシチュー、チャーハンの素といった簡単に作れる食料品が並んでおりました。
そして、2LDKの「2」の部分、入って突き当り右側がファンちゃんの部屋であり、左側が、その相方の部屋との事でした。
が・・・。こういうところが外国人と日本人の差なのかもしれません。その相方が室内干ししているブラやパンツが引っ掛かったタコ足が、カーテンレールに堂々とかかっており、(せめて男くるんだから、友達の分隠してあげろよwwww)と思った矢先・・ww
ファンちゃんの部屋のベッドの片隅にもパンツやらブラやら、もういったい何なのかわからんカラフルな衣類が山積みになって置いてあったのです(・・・・w)
僕「じゃ、とりあえずエアコン見てみるねw」
ファン「何わらってるの?」
僕「いやいや、大胆だなってwww」
ファン「ダイタン?なにが?」
僕「なんでもないw」
そういってエアコンの下を適当に片づけて、それから椅子を脚立代わりに使ってエアコンの外装をはがしてみたのです。すると案の定、ドレンホースにつながっているドレンパンが傾いており、本来、ドレン水が流れるのとは逆の方向に流れがいくような感じになっていました。
僕「これをちょと強引に、、、こうやって傾けたら大丈夫」
ファン「それでなおった?」
僕「まぁ、、大丈夫でしょう。とりあえず試験的につけてみますかね」
そういって、念のために今までポトポトと水が落ちているのをすくっていた青いバケツを置いたまま、エアコンの電源を入れてみたのです。
エアコンの送風口の羽根がウィーンと上がり、暖かい風が吹いてきましたが、、しばらくたっても水は落ちてきませんでした。
ファン「やったーw なおったww」
僕「中の部品が傾いてただけだよ。これで大丈夫」
ファン「カタムイテタ。ってどういう意味?」
僕「ああー、そうね。傾いてるというのは、(手でジェスチャーをする)本来、こういう感じのものが、こうなって斜めになる事を傾いてるっていうんだよ」
ファン「なるほどな」
ファン「じゃ、次はね、コッチ。きて」
僕「え?他にもあるの?」
ファン「コッチのコンセントがつかないから」
僕「どれどれ」
そういって案内されたのが、さっきチラ見した脱衣所の中の洗面台でした。そしてファンちゃんがいうには、洗面台についているコンセントが、昨日からドライヤーを使うときに使えなかったというのです。
結局、それも他の電化製品を試したところ、ヘアアイロンは使えたので、故障の原因はドライヤーの電源コードの接触不良。新しいのをかいなさいという話で終わったのですが、
(よくもまぁ、、、こんなプライベートなところまで男を平然と入れてくるよな)という異文化というか、そんな外国人特融のずさんさ?というのを感じた僕でした。
もちろん、脱衣所に案内された僕は、ファンちゃんが検証用のヘアアイロンを探している時に、洗濯機の中をチラ見w この時はまだ、ファンちゃんのものか、相方のものかわかりませんでしたが、
(ふふw ゲットw 20代ベトナム人留学生の生ぱんつ~~♪)と軽くクンクンしてしまいました。
そして、ここの匂いは世界共通だな。なんて思いながらもその日は無事に終わっていったのです。