22、23の頃の頃の俺。その時の俺は親から金を出してもらってたおかげで一人暮らしをしていたのはいいが、大した仕事もせず、月収もだいたい手取り14万~18万円がいいところだった。
そして月末になれば金が無くなり親に無心。「絶対来月返すから!」といって2~3万を援助してもらったり、今ではもう完済し終わったが消費者金融からも借金をしていた。
自分の収入が仮に20万円だとすると、実際のところ毎月、24万円くらいを浪費していた。毎月毎月、給料が入ったら(5万は家賃。3万が電気ガス光熱費。食費がいくらで・・・欲しいものがいくらいくらで・・・。よし!節約すれば今月は3万貯金できるな!)なんて皮算用しながらも、そんな理想が叶う事は一度たりともなかったんだ。
給料が入ればインターネットで数万する買い物をし、自炊はおろか外食や出前が基本。そしてほぼ毎日といって良い程のツレと電話しながらの晩酌。今思えば恐ろしいスピードで金を浪費していたと思う。
気が付いたら10年が経過し、33歳になっていた。そして33歳になってからも、月末がきたら「必ず返すから!」といって親から金をせびっていた。確かに23の頃よりかは月収も高くなったのは事実だったが、月収以上に金を浪費するという悪癖はそのままだった。ただ10年という時間も浪費していたんだ。
そんな時、高校の時の同窓会なるものに出席した。男女合わせて30名くらいは来たんじゃないかな。その時に、「みんな仕事なにやってんの?」との話題となり、男連中は「配管工、大工、リーマンw 営業」といい、女連中は「アパレル、販売業、営業、アミューズメント施設勤務」等と言っている時、俺の隣の席に座っていた「町田香織」(同い年)が、「銀行員」と答えたんだ。
周囲は「マジかよw 銀行屋かよww」「香織は昔から勉強してたもんねー」等と、一人際立ち銀行員と答えた町田は一気に周囲からの羨望と畏敬が入り混じった目で見られていた。町田が務める銀行とは、誰もが知る「〇銀行」だった。本来ならイニシャルでも入れたいが、イニシャルを入れた時点でバレるので入れるのは辞めて置く(別に大企業すぎるのでバレてもいいとは思うけど)
そして〇銀行で基本的な一般客相手の銀行手続きを行いながらも投資や信託といった部門の手続きもやっており、そういった業界にある程度の知識と経験を持っているという際立った存在となっていた。
高校の時は目立たない真面目っ子としての印象しかなかったが、銀行員効果っていうのか・・それともつぼみが華になったからなのか、、正直、細くてスラっとしてかなりの美人さんにもなっていた。有名どころでいえば吉高由里子っていう人に雰囲気が似ている感じ(この人も銀行のCMやってたと思う)
そして俺はワイワイ、ガヤガヤと周囲が酒を飲んで盛り上がっている中、すぐ隣にいた町田に質問をしてみたんだ。
俺「あのさ、どうやったら節約生活できるんかな。」
町田「節約して何したいの?」
俺「節約したら余った分を貯金できるだろ。」
町田「何のために貯金するの?」
俺「いや、、貯金してたら金の不安から解放されないか?」
町田「そりゃそうだけど・・・」
俺「何か変な事いってるか俺?」
町田「その思考だと1000年たっても貯金できないと思うよ」
俺「え?なんで」
町田「えーとね・・・w そもそも順序間違えてると思う・・w」
俺「順序?なんの順序?」
町田「いちから説明したほうがいい?」
俺「うんwww なんかいい方法あるんだったら教えてくれw」
そんな会話が進んでいったが、ここは俺と町田が二人で飲みに来ている訳じゃない。すぐに他のやつの勢いある話題に俺と町田との話題はかき消されていった。
俺「まじ真剣に聞きたいから、連絡先教えて。ライン交換しよ」
町田「うん・・。いいけど」
こうして俺は身分不相応にも、この同窓会にきた中での一番の際立った存在となっていた町田香織の連絡先をゲットし(後で他の男からはうらやましがられた)その日はその日で終わっていったんだ。
後日。ラインにて。
俺「あのさ、この前の話しなんだけど、、貯金の方法。あれ教えて」
町田「うんー。順序っていうところまで話したよね。」
俺「そそ。続き。」
町田「そもそも貯金がしたいなら最初にする事は節約じゃないんだよね」
俺「そりゃおれだって節約なんてしたくないけど、月収には限りがあるから節約はしないと無理だよ」
町田「それは分かってるw」
俺「なんだ、俺が安月給という事は最初から見抜いてるって?」
町田「そういう事じゃない(笑)」
俺「その節約をするなってどういう事なん?」
町田「節約をするな。とは言ってない。先にする事があるっていう事」
俺「それを教えてくれ」
町田「貯金w」
俺「は?www 言ってる事意味わかんねーぞwww」
町田「じゃ、聞くけど、節約しようとして出来た事ある?」
俺「うーん。。ないかもしれないな・・。なんだかんだ遣ってしまう」
町田「三日坊主にならない?」
俺「確かに給料もらって最初の数日はモチベーションあるけど、3日目なったら出前とるか外食するかってなるな」
町田「うんうん。そもそもストレスっていう概念を完全に除外して計算しているよね」
俺「ストレスなぁ・・・。」(ストレスという概念についての自己認識はなかった)
町田「ダイエットもなんでも全部同じ原理だと思うんだけど、私のとこに資産形成での相談にくる人って、だいたいの人がお金の貯め方を知ってる人で、その順序っていうものを弁えているんだ。」
俺「ほー」
町田「逆に、借金してたりやり繰りに苦しんでる人もいるけど、その人のライフスタイルっていうか。そういうのはキミと全く同じ」
俺「なんと・・・」
町田「んでね。。残念な事に世の中の80%以上の人がキミと同じ思考回路。だから経済が回るのかもしれないけどね」
俺「その中の20%は医者か弁護士なんだろうな」
町田「そうでもない。医者や弁護士であろうと、、キミと同じ思考回路の人は同じくお金に悩んでいる。でも、キミより収入が低かったとしてもお金の管理を出来る人はお金の心配から切り離されているんだよ」
俺「え・・・。俺より収入低いってなると、もう相当やばいぞソレ」
町田「つまり。お金の心配がないとか、貯金が出来る人っていうのは、収入に直結していないっていう事。」
俺「うん」
町田「そして、お金がない=不幸というのは共通しているけど、お金がある=幸せっていう訳ではないんだよね」
俺「金があるのは幸せだと思うけどなー」
町田「だって月20万の人が、毎月21万使っていたら1万の赤字だけど、200万の人が210万使ってたら10万の赤字になるよね?つまり収入が増えた事により借金が10倍になっているんですよ」
俺「そりゃ単純計算したら分かる事だけどw」
町田「だから、お金っていうのは持てば持つだけ、使いたい欲っていうのも同時に増幅する性質があるっていう事を忘れちゃだめなんだ」
俺「なるほどな・・・」
町田「だから、お金の浪費癖を持っている人が、このままじゃやばい。収入を上げよう!って誰もが考えるけど、収入が増えたら増えただけ不幸になっていくっていうシステムなんだ」
俺「確かに・・10年前と今とでは俺も収入かわったけど、今の方がやりくりしんどいわ」
町田「だよね。そして収入を上げるといっても限界がある。そこで思いつくのが次に、じゃ節約しようと思い立つ。無謀な節約プラン」
俺「まさに俺の事だwww」
町田「厳しい修行僧とかで節約生活が好きです。っていう人ならいいけど、そうじゃないよねー」
俺「うん・・・」
町田「三日坊主でストレスたまって、毎日300円の節約しても4日目に1500円のもの買ったりだべたりするよねー?」
俺「う、、、、うん」
町田「ぜんぜん節約なってないじゃん。それの繰り返し」
俺「そこなんだよ。それをどうすればいいんだって事だよ」
町田「じゃ、教えてあげよう。最初に強制的に貯金するんだ」
俺「強制的に貯金?」
町田「うん。そして強制的に貯金した後のお金はぱーっと使ってもいい。なんでも無駄使いしちゃって
。ストレスたまらないように」
俺「え、、どんな効果があるの?」
町田「そもそもさっきは、ストレスっていう概念を度外視してたし、もう一つ。モチベーションっていう概念も度外視してるよね」
俺「モチベーション・・ほう・・」
町田「強制的に貯金に貯金をすると何が変化するかというと、貯まっていく預金通帳を見て次は、もっと貯金する額を上げたい。スピードを上げたいって心理面が変化してくるんだ」
俺「それはあるかもしれないな」
町田「そして、モチベーションが高ぶった状態になれば。。。。そこで初めて節約が簡単にデキちゃうっていう訳。この人間の思考っていうシステムを知らない人は一生かかっても貯金なんて出来ないよ」
俺「じゃ、、じゃ、、その強制的に貯金ってどうしたらいいの?」
町田「今度、私のとこきて。〇銀行〇支店。銀行口座と同時に定期預金口座作ってあげるよ。お給料はいったら無理やり、一定額を定期預金口座に貯金するようにしてあげる。そして最低でも3年くらいはじっと我慢していなさい。5年後には計算通りの額じゃなくて、それ以上の額が貯金されてると思うから。それが出来ない人はもう無理。あきらめて」
俺「予想以上の額って、利息とか?」
町田「利息なんてもう何パーセントもつかないよ。私がいいたいのは、途中から貯金の額を上げたり、途中でボーナスはいったらさらに貯金したりして、金額とスピードが上がるから予想外になると言いたいの」
俺「なるほどなww わかった!」
町田「免許証と実印と持ってきてね」
俺「うん!!」
そして俺は数日後、町田に言われた通り、町田の務める〇銀行〇支店へとおもむき、、、めちゃくちゃ可愛い銀行員の制服姿の町田香織に全ての手続きをやってもらったんだ。
その日の夕方・・・・俺は同窓会で見た町田の姿だけじゃなく、実際に銀行で制服姿で働く町田の姿も相重なって、、完全に町田の事が好きになっていた。あの美貌と知性・・・・・でも今の俺なんかじゃ・・!!!!という苦しい想いに駆られていた。
で・・・でも・・いうのはタダだ!!!!
俺「今日はありがとな。・・・・なぁ町田」
町田「なに?」
俺「俺がもし、、予想外に早く貯金額が300万貯まったら、、俺と付き合ってくれないか?その時にもし、相手とかいなかったらの話しだけど」
町田「急になにを言い出すのかと思えば・・・w いちおうこれでも彼氏いるんですけど」
俺「そりゃそうだよな。。。ほっとく男がいる訳ないよな。。でも数年後の話し、その時はわからないだろ」
町田「別れてくれっていうんかいw」
俺「そうじゃねーってww とにかく俺頑張るから。300万。300万貯まったら今度は定期預金を下ろしに行くから。〇支店に町田さんいますか。って受付いくから。」
町田「はいはいw 頑張ってねw 今のペースだと300万円になるのは6年後?wくらいかなw もう結婚してたらごめんねw」
そして・・・3年が経過した。俺は36歳になっていた。
続く