あの日までなんとも思ってなかった会社の先輩。
人当たりのいい人だなぁって感じ。
ある日、私の上司がポカしてマグネットバーをノートパソコンの上に落とした。
あーーって叫びと共にお客様の住所録が消えた。
もうすぐDM出さなきゃいけないのに…結果、自分のミスでもないのに一人残業しながら入力のやり直し。
ブツブツ言いながら薄暗いオフィスでお腹の音が鳴った。
あーぁ、コンビニでおにぎりでも買ってくるかぁって立ち上がったら先輩の影。
「どうした?」
「お腹空いて…てか先輩は?」
「可哀想だから手伝いに来た」
「ありがとうございます…」
「飯買って来ようか?」
「悪いですよ」
「いいって、いいって」
先輩はそう言いながらオフィスを出ていった。
暫くしてコーヒーショップのサンドイッチと美味しいコーヒーを持った先輩が戻ってきた。
「すみません」
「冷めないうちに飲もう」
先輩と二人でコーヒーを飲む。
玉子サンドの具が先輩の唇の端についていた。
「先輩、ココついてますよ」
「うん?どこ?」
私は、自分の唇で場所を示したが先輩に伝わらない。
しょうがないので指を伸ばし
「ココですよ」
その瞬間、先輩が指を食べるような仕草をした。
慌てて指を引っ込めた私。
なに…?
私の胸がドキドキし始めた。