エレベーターを降りてからAさんの部屋まで会話はありませんでした。
りなが緊張した様子なのはそうだけど、複雑な気分のまま僕も凄く緊張していたんです。
「りなです
今戻りました」
インターフォンで会話するりなを見てから数秒後、玄関の鍵を開けるガチャガチャと言う音が聞こえてきました。
でもそれを掻き消すくらい大きな音で僕の心臓の音が聞こえていました。
「あぁ、そらさん
来ていただけたんですね
いやぁ嬉しいな
Aです」
「は、はじめまして」
あのDM、高級外車、りなの様子から、きっとVシネマに出てくる顔面凶器のようなオジサンが居るに違いないと身構えていたんだけど、僕を出迎えてくれたのは何処にでも居そうな50代男性って感じの人でした。
両手で握手されるもの凄い歓迎ぶりで、まるで接待を受ける大物議員にでもなったような気分でした。
中学の時の数学の先生こんな顔だったな、この人がSとか信じられないな、軽く縛ったりするくらいの論姦パーティとかって感じかな。
そんことを考えながら、野太い話声や笑い声が響く部屋へと入っていました。
「おぉ、凄い」
「これは当たりだな」
「今日は楽しめそうですね」
思い思いの感想を好き勝手に言ってる、スケベそうな40から50代くらいの男性達が7人も居るその絵面にも驚いたけど、それ以上に全く生活感のない異様な室内に驚いていました。
外観は普通のマンションだったのに、室内はよくネットとかで見るSMクラブみたいになっていて、僕の頭は軽く混乱していました。
普通はリビングであるはずの空間に、鉄パイプで柵みたいなものが作ってあったり、手足を拘束する枷がついた椅子があったり、大きい鏡が置いてあったり、部屋の隅にはロープや鞭や蝋燭などのSM用の道具と、沢山のバイブや電マやオナホやローションが置いてあって、そこだけ見るとアダルトショップです。
リビングと繋がってるダイニングであるはずの空間には、ソファーとローテーブルが置いてあって、男性陣はそこに座って見るからに高価そうな酒を飲んでいました。
日曜とは言っても朝から変な部屋に集まって酒を飲んでる男性達を見てると、異世界にでも迷い込んだような気分でした。
「A様の奴隷として仕えています
りなと申します
お忙しい中お集まりいただきありがとうございます
まだまだ未熟ではありますが、皆様が満足いくまでこの体を好きにお使いください
A様の奴隷として生きると誓いをたてた変態ですので、皆様が望まれることはどんなことでも喜んでお受けいたします」
部屋に入って数十秒、僕はまだ頭の中を整理できないでいたんだけど、その隣でりなは見事な土下座をしていました。
ついさっきまで普通に話してた同年代の人間とは思えないくらい丁寧な口調でとんでもないことを宣言してるりなを見てると、本当に大丈夫なのか心配になったけど、やっぱり僕もこっち側に人間なんですね。
抑えようのない好奇心と性欲に震えるゲスな自分が居ました。
「こちらは私が最近お気に入りの女装さんでそらさん
今日は無理言って見学だけってことで参加してもらってます
凄く可愛らしい子だけどこう言うのは未経験の子なので、くれぐれも手を出したりしないでくださいね」
「よろしくお願いします」
土下座を続けるりなをよそに、僕の紹介をするAさん。
りなの挨拶以降ずっと騒ついてる他の男性達。
「こっちの部屋で準備してきてもらっていいですよ
覗いたりしないので安心してください」
寝室と思われる部屋に通されたんだけど、ここも異様な雰囲気です。
一応ベッドとテレビはあるんだけど高級外車に乗ってる人が寝てるとは思えないシングルサイズのパイプベッドで四隅には枷がぶら下がっています。
そして、ここにも大きな鏡が置いてあって、奥にはメイド服やスク水や猫耳と言った定番のコスや、どうやって着るのか謎のコスがかかったハンガーラックが置いてあります。
「りなのなんですけどね、洗濯はしてあるから着たいのがあれば着てもらって大丈夫ですよ」
「い、いいです」
こんなの着てもどるなんて、生肉巻き付けてライオンの檻に入るようなものだよ。
でも仕切ってるのはAさんみたいだし、僕には手を出さないように言ってくれてたから少しは安心していいのかな。
Aさんは謎だけど、他は汁男優てきなモブキャラっぽいし。
そんなことよりあっちの部屋どうなってるんだろ?
りな大丈夫かな?
りなの恥ずかしいコスも着てみたい気持ちはあったけど、持参した普通の洋服に着替えて化粧まで済ませていました。
別に脱ぐわけでもないのに、下着まで履き替える必要あったかな?
てか、人前で女装晒すとか初めてだけどどうしよう?
りなと並ぶと僕なんて見れないよな、大丈夫かな?
加工してないリアルな僕を見てりなガッカリしないかな?
なんか恥ずかしい、加工したい、B面で参加できないかな?
鏡に映った自分を見ながら、そんなことをウダウダ悩んでいました。
「そらさん
入っていいですか?」
「ど、どうぞ」
あまりにも戻ってこない僕に早く戻ってこいってことでしょうか、りなが僕を呼びにきました。
「うわ、そらさんが居る
どうしよ、一緒に写真撮りたい
でもこれじゃ僕ただの噛ませ犬ですよね
そらさんみたいな人が居る横で僕なんかの相手しなきゃいけないとか、気の毒な話ですよね」
「てか、早く連れてこいって言われたんですよね?」
「はい」
女装を済ませた僕は、汁男優てきなモブキャラだから大丈夫と自分に言い聞かせながら、変態達が待ってる部屋へ戻りました。
もうすぐりなのチンポ見れるのかなってゲスな好奇心と性欲と共にに。
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