その夜は、こうしたお店としては盛況だったようです。
前にこのお店で顔を合わせていたお客さんたちも、皆さんそれぞれにバラバラの時間帯ではありましたが来店してくれました。
以前にお会いしたサッちゃんと呼ばれる30歳代らしい人や、私より年長の女性たちも再びお会いしました。
どうやら、ママさんが
「今夜は真由ちゃんの初出勤でお店に来てくれるから、是非来てね。」
と、お誘いの営業連絡があってたそうです。
レズビアンの人たちは、やっぱり肩身の狭い?屈折したストレスもあるのでしょう・・・
このお店の中では寛いだ開放的な気分で、
ある意味アケスケな明るい会話がありました。
ある人は
「真由ちゃん、だったっけ・・何だか先日より色っぽくなったね。ひょっとしたら・・・ママさんに、もう仕込まれたかな?」
と、ニヤニヤしながら言われましたし、
あのサッちゃんも
「もう、可愛いおばさん、じゃなくて・・セクシーなお姉さん、だね。私は、どっちも好きだよ。」
と言われました。
口下手な私は、気の利いた会話も出来ずに
微笑むことしか出来ませんでしたが、元から私は接客用ではないので、裏方の仕事をしてました。
ただ、そのうちにボックス席のお客さん・・・
私は初めて会う二人連れのお客さんの一人が「新人さん、こっちにビール持って来て。」
と声をかけてきました。
無論、裏方と言っても給仕は大切な仕事ですから、私は慣れない手つきでお代わりのビールをボックス席に届けました。
そのお客さんは、そんな私をじっと見つめて「素人さんだね。うふふ・・・・でも、女が好きなんでしょ?・・私が可愛がってあげようか?
あんた・・どう見てもタチには見えないな。
この世界も・・最初はネコから始める人が多いからね。」
と言いながら、そっと私の腰の辺りに触れてきました。
私は思わず顔を赤らめて俯いてしまいました。
その夜は、そんなことの繰り返しでした。
サッちゃんにも手を握られ、他のお客さんたちにも体を触られて・・・私はママさんの見てる前なので恥ずかしかったけれど、こうしたお店での仕事とは、そうしたものだろう?
と少し理解しました。
それでも、お店の中はあくまで親睦と会話の場所で、皆さんそれぞれにお酒を飲んでホロ酔いで三々五々と帰って行かれました。
最後の一人(サッちゃんでした)が、
「じゃあね、真由ちゃん、またね。」
と言って手を振りながらお店を出て行くと、
ママさんの指示で閉店としました。
でも、それから・・・本日の精算や在庫の確認、食器等の片付け等々・・仕事があります。
ママさんが優しく微笑みながら
「真由、ご苦労さまでした。ありがとね。」
と言ってくれました。
私は嬉しくて胸がキュンとなりました。
「いえ・・ごめんなさい、私、素人で・・・。」
と、ママさんを見つめて小さな声で答えてました。
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