Tが歩いてました。
Aのおバカさんとチェリーを襲ったやつ。
坊主頭で印象が変わってたけど、間違いない。
チェリーはベータの家に一直線。
社長、御無沙汰してます。
ちょっとで良いんです。
ベータとA君と3人で話したいんですが・・。
「いいよ、二人とも仕事場に居るはずだ。」
ありがとうございます。
日曜で他の社員さんが休みなのに、ベータとA君は資源ごみの選別をしてます。
「会長、どうしたんですか?」
二人に急に話さなくちゃいけないことが起きた。
Tがこの町に戻ってる。
「だって、半年は少年院にはいってるんじゃ・・?」
理由はわかんないよ。
でも、間違いない。坊主頭にしてるけど、あいつの家まで帰るのを確認した。
「俺、どうすればいいんですか?」
貴方は、自分からは何もする必要は無い
Tが少年院で更生してたら問題なし。
問題は、未だに前の通りのワルで、A君を誘いに来た時だ。
「大丈夫です。A君、もう絶対にあいつらの仲間にはなりません。」
ベータ、その通りだと思うよ。
ただ、あいつらがA君を誘いに来て、A君が乗らなかった時、素直に引き下がるかだよ。
「俺なら大丈夫です。社長さんに鍛えてもらってるし、テニス部主将に技も習ってるから。」
そこが、もう間違い。
あんたが実力行使して警察沙汰になってみなさい。
社長やベータ、それにあんたの周りの生徒皆の努力、全て水の泡だよ。
「じゃあ、どうすりゃいいんです?」
そいつらの前から、速やかに撤収しなさい。
「逃げろってことですか?」
早い話、そうだよ。
「でも、戦わずに負けるなんて・・。」
そこも、間違い。
あんたにとって、何が勝利か考えて御覧。
戦略的には立派な自衛官となること。
戦術的には、そのために自衛隊学校に合格するべく、悪い過去を捨てて成績を上げることだろうが。
戦力を維持しながら後退するのは、負けじゃないんだ。
あんたがあいつらと悪縁を断てば、あんたの勝利。
いいね。
次、ベータ。
「はい、会長・・。」
今日のチェリーは、いつもに増して怖いみたいだね。
ベータ、貴女はA君が大切だよね。
「えっ、それは勿論、父が世話してる男の子だし・・。」
理由はどうでも良い。とにかく大切でよね。
「は・・い。」
なら、聞いて。
あいつらがA君に手出ししようとしても、A君は前と比べ強力な人たちと連携してる。
その一番が社長、ベータのお父さんだ。
チェリーや学校の皆もだし、交番所長さんもチェリーを通じてA君を支援する側です。
そんなA君を攻めるとしたら、一番弱いとこを突くしかない。
それは多分、ベータ、貴女。
「「私を襲うかもしれないっていうことですか?」
「なんで俺を攻めるのに、ベータが関係するんだよ?」
おにぶさんは、後からベータの説明を聞いて。
とにかく、気を付けて。
「合気道とか習った方が良いんでしょうか?」
間に合わないと思うね。
私に言わせれば、相手の関節をより小さな力で制するために、タイミングを計る技だと思う。
今から習っても、そんな微妙なタイミングを計れる段階にはなれないだろう。
「じゃあ、どうすれば・・?」
走りなさい。叫びなさい。警報ブザーを携帯しなさい。
とにかく、相手から捕捉されないことだよ。
チェリーはそれで失敗して負傷した。
もし、捕捉されたら殺す気で戦って相手も手を振りほどけ。
手を直接振りほどくには女性の力は弱すぎる。
金的?だめだね。
あそこは、人間の構造上、狙いにくい場所だよ。
まず、目。指を入れてかきむしれ。
捕まっている姿勢のためにかきむしれない場合は、裏拳で目の上を叩け。
腕ごと抱きしめられて動けない時は、足の甲を思いっきり踏みつけろ。
一瞬だけでも、力が弱ったら、全力で逃げ出せ。
大声を上げるのを忘れるな。
そして、もし、もしもだよ。
捕まって酷い目に遭っても、自決はダメ。
ベータが自決すれば、A君はあいつらを殺してしまい、自分はあこがれの自衛隊に入れなくなる。
いいね。分かったね。
ああ、今チェリーが言って上げられるのはこのくらいかな。
チェリーの不安が外れたらいいけど・・。
人ごとじゃないね。
チェリー、自ら気をつけなくちゃ。
あいつら、失うものがあまりないから、何やらかすか分からんよね。
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