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2021/08/30 22:31:32 (lrb4jvcn)
またまた古い話しになるが、20数年前のことである。
女装子やニューハーフさんとチャットによってお話しできるサイトがあり、その当時、よくヒマな夜に顔を出して、主に女装子さんと、ネット上で会話を楽しんでいた。
(ちなみに、このサイトは今でも、当時とほとんど変わらない形態で現存している)
その中で、なかなか興味深い人物と会話を交わした。
年齢は37歳で、デザイン会社から独立し、フリーランスでイラストレーターの仕事をしているという男性なのだが、女装に目覚めたのは、ほんの3年前で、以来、日増しに女性化への願望が膨らんでいて、自身でもどうしてよいのかわからずに困っている、というものだった。
しばらく、やり取りした後、結局、翌日の夕方、池袋駅前の喫茶店で待ち合わせることになった。
とにかく、会って、直接、話しを聞いて欲しいという、その彼の要望に応えてあげることになったのだ。
ただ、私の中にも、いくばくかの期待感があったのも事実である。
女装初心者を女性に変えていくことは、私の、今でも続く、かなり根強い性癖なのである。
しかし、待ち合わせの喫茶店に現れた、その男性は、私に、少なからぬ失望感を与えてくれた。
身長は175cm程度で、中肉中背、背格好は、問題ないのだが、いかんせん、顔の骨格が、角ばった「男顔」なのだ。
髭の剃り跡も、かなり濃く、どちらかというと、「男らしい」タイプである。
更に、聞けば既婚者で、当然、奥さんは彼の秘密の性癖を知らず、常日頃は、男性としての生活を余儀なくされているという。
都内渋谷区にワンルームマンションを、仕事場として賃貸契約をしており、そこで、仕事の合間を縫って、女装しているということだった。
その際に自撮りした写真を何枚か持って来て、見せてもらったが、お世辞にも、美しさからは、ほど遠く、男性が化粧して、女性の服を着ているだけの姿だった。
私は、改めて、テーブルの向こうに座る彼の顔を、しげしげと眺めた。
「高野君ねえ、君が、そのマンションで、一人で女装している分には、君の趣味の範囲でやれば、誰にも迷惑はかからないし、それで、満足できるなら、それを続ければいいんじゃないかな。」
私の頭の中では、既に、この目の前の彼を、出来るだけ傷付けずに、この場から立ち去りたい思いにかられていた。
高野君は、そんな私の思いが伝わったのか、がっくりと肩を落とし、うなだれていた。
「やっぱり、私が、女性になるのは無理なんですね。」
気まずい空気感が、我々のテーブルを包んだいたその時、喫茶店のドアを、かなりの勢いで開けて入って来る、背の高い大柄な女性が、私の目に飛び込んで来た。
カッカッカッと、広い歩幅で近付いて来ると、ドカッと私の隣の椅子に腰を下ろした。
メイクアップアーティストのユカだった。
「もう、師匠、いつも急なんだから。私、今日は、三鷹で仕事だったんですよ。」
と、言うなり、私のコップの水を一気に飲み干した。
もし、「可能性のある子」だったら、ユカにメイクを手伝わせようと、あらかじめ呼んでおいたのだ。
私は、ユカに高野君を紹介しながら、彼の女装環境について、簡単に説明した。
ひとしきり私の話しを聞き終えたユカは、高野君に鋭い視線を投げ付けながら、
「それで、高野さん、奥さんとはどうなの?別れたいの?」
ユカの物言いは、いつも、ストレートだ。
高野君は、そんなユカの勢いに、すっかり怯えてしまったように、下を向いたまま、
「いいえ、妻のことは愛しています。別れる気はありません。」
絞り出すように答えた。
ユカが、益々、エスカレートする。
「えっ、そんなこと言ったって、奥さんと、やってないでしょ?」
私は、あわてて、ユカの口を手で覆った。
彼女は、ここが喫茶店であることを、すっかり忘れている。
実際、すぐ隣のテーブルで新聞を読んでいた、初老の男性は、新聞を読むのを止めて、思わず、こちらを見ていた。
高野君が、消え入りそうな声で、
「はい、そうなんです。妻とは、この2年ほど、まともにやってないんです。」
ユカは、すっかり、あきれ顔になって、今度は、さっきより、かなり声のトーンを落として、
「高野さんね、あなたがもし、どうしても、女装を続けたいのなら、奥さんに、カミングアウトするしかないよ。」
諭すように話し始めた。
「あなたが、奥さんとの夫婦関係を壊したくないなら、奥さんに、包み隠さず、自分自身を話して、奥さんの理解を得ることだよ。」
高野君は、ほとんど泣き出してしまいそうな表情になっている。
「そんなこと言ったら、その時点で、離婚になってしまいそうです。」
ユカの声が、再び、大きくなり始めている。
「そんなこと言ったって、今のまま、行っても離婚になるよ。それだったら、いっそのこと、今の、高野さん自身を全部さらけ出して、奥さんに理解してもらうように、全力をあげるべきじゃないの。」
このまま、ユカの「演説」は15分ほど続いた。
可愛そうなくらい、肩を落として、喫茶店の席を立っていった。
「師匠、私、ちょっと言い過ぎた?」
「いや、ユカが言ったことは、俺もその通りだと思うし、彼には、そのくらい言って良かったんじゃないかな。ただ、お前、声が大きいんだよ。一瞬、俺は焦ったぞ。」
「ごめんなさい。じゃあ、ユカ、これからお仕置きだね。」
いたずらっぽく笑うユカの瞳に、妖しい炎が灯っていた。

ほぼ1か月が過ぎた頃、突然、高野君から電話があった。
どうしても、会ってもらいたいと言う、彼の言葉には、一種の覚悟めいた意思の強さが感じられた。
しかも、彼の奥さんも連れて来るという。
私は、一旦、電話を切って、ユカのスケジュールを聞いた後、翌々日の夕方4時に、私のマンションを訪ねるように伝えた。

(以下、その2に続く)
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