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2010/04/09 19:56:55
(K3.HRrc.)
ある日、当時社会人になって間もない24歳の俺は、上司から個別に呼び出された。そしてとんで
もない業務命令を受ける事となった。
その頃、内の会社は同業種のある会社との間で、事業提携に向けた話が進んでいた。景気低迷の
中、会社も厳しい経営下にあっただけに、何としてでもまとめなければならなかった案件であり、そ
のプロジェクトには俺も使い走りの様なものだったが関わっていた。
そんな俺に命じられたのは、先方の交渉担当者であるT部長の接待であった。上司が言うには、T
部長が俺をいたく気に入っているという話だった。
俺は最初不思議に思った。先輩に同行する形で、T部長との間で交渉の席に着いた事は何度かあっ
たものの、気に入られる程の関わり合いはなかったからである。どうも解せないでいた俺に対し、上
司は急に深刻な表情で言いにくそうに言葉を追加してきた。
「気に入ったっていうのはだな・・・その・・・君の容姿をだよ・・・」
上司の言葉に、俺は我が耳を疑った。
やがて上司とのやり取りで、俺が先方のT部長へ行わなければならない接待というものの意味を理
解した時、俺は愕然としてしまった。ようするに、俺の身体をT部長は求めていたのである。
さすがに上司としても、これが理不尽極まりない事だと自覚していたのだろう。俺に対し、命令と
いうより必死に懇願するといった様子で、俺に受諾を求めてきた。ついには、会社の今度の運命は俺
の接待にかかっているとまで言ってきた。
普段の威厳など面影すらなく、ひたすら頭を下げ懇願してくる上司を前に、ついつい流されるがま
ま、俺は了承してしまう形になってしまった。
この時、俺は会社から先方への貢物として差し出されるのかと、打ちひしがれる気持と絶望で一杯
だった。
退社後の夜、俺は上司から指示されたビジネスホテルへと向かった。
すでにホテルでT部長は待っていた。受付で教えてもらったT部長のいる部屋の前にまで着くと、
さすがに足が竦んでしまい、俺はしばらくドアの前でオロオロしてしまう状態だった。しかし今さら
辞職覚悟で会社に逆らう勇気もなかった俺は、これも仕事なのだと割り切り、覚悟を決めるしかなか
った。
意を決し、俺はチャイムを鳴らした。
すぐに中からドアが開かれ、T部長が俺を出迎えた。
「ああ、よく来てくれたね。さ、入りなさい」
俺の到来に、T部長は上機嫌だった。そして俺を部屋の中へと誘うと、すぐにまたドアを閉め、ご
丁寧に鍵まで掛けてきた。
俺とT部長の二人だけの密室が成立してしまうと、覚悟をしていたとはいえ、俺は今すぐにでもこ
こから逃げ出してしまいたい恐怖と衝動に駆られてならなかった。
しかしそんな俺の気持ちなどまるで考慮されず、二人きりの状況が作られると、T部長はすぐにそ
の本性を剥き出しにしてきたのである。
俺の肩へとT部長は腕を回してき、しっかりと身体を密着させてきた。
「今日の事は、ちゃんと聞かされてるね?」
「はい・・・」
「よろしく頼むよ、期待してるからね」
俺の耳元で、T部長は囁く様に言ってきた。
言葉と共に発せられるT部長の吐息が、肌から全身へ一気に駆け巡り、ゾクゾクと鳥肌が立った。
さらに俺をまるで愛でる様に、T部長は身体のあちらこちらを撫で回してきた。
T部長の腕の中で、抗う事の許されない俺は、されるがまま立ち続けるしかなかった。この時点
で、すでにもう俺にとってはかなりの忍耐を要するものだった。T部長の密着する身体とあちらこち
ら動き回る手の感覚を鮮明に感じながら、俺は激しい嫌悪感で一杯だった。反射的にT部長を押し退
けてしまいそうな衝動を、俺は懸命に堪えていた。
やがて一通り身体を撫で回すと、T部長はようやく俺から離れてくれた。しかし俺に一息吐く暇は
なかった。
「服を脱いで」
すかさず、T部長は俺に命じてきた。
逆らえる訳もなく、言われるがまま俺は着ていたスーツを脱ぎ始めた。
そんな俺の脱衣動作を、T部長は一人用のソファーへと座りながら、しっかりと眺めてきた。
T部長の視線をひしひしと感じさせられながら、俺は服を脱いでいった。
ネクタイ、ワイシャツ、ズボン、靴下、次々と纏っていたものが俺の身体から離れていく。そして
ついに俺は、トランクスのみ残す姿となった。
「これも脱ぐんですか?」
「当然」
一応問うたものの、案の定の答えだった。
やむなく、最後のトランクスを俺は脱ぎ去った。そしてT部長の前で、俺は一糸纏わぬ姿を曝け出
した。
俺の裸体を、T部長が食い入る様に見つめてきた。
直立不動のまま、T部長の視姦ともいうべき視線を浴びせられ続けながら、俺はただ耐えるしかな
かった。俺は恥ずかしさ以上に、屈辱と惨めさで一杯になっていった。正直、俺は泣きそうな気分だ
った。なぜこんな事を自分はしなければならないのか、俺はこんな接待を強いた会社を恨まずにいら
れなかった。
「それじゃあ、シャワーを浴びようか」
やがて、T部長はそう言ってきた。
(続く)