私は今29歳。女装を初めて10年近くなります。高校2年で初めてスカートを履きました。男の子なら誰もが一度は考えるほんの興味本位でした。普通の男子高校生ならそれでおしまい。でも私が沼に堕ちるには十分なきっかけでした。
小学校、中学校は野球部、高校はハンドボール部でスポーツ少年だった私。どちらかといえば男臭くて、女の子が苦手でした。
高校2年の春、部活のみんなで練習中にゲームをしました。本当に些細なゲーム。でも罰ゲームはあり。それは部活の女子マネージャーと制服を交換すること。皆面白半分で馬鹿なことしてた記憶があります。
私は負けました。当然、制服が着たくて負けたわけではありません。あー、負けたなーと思いつつ、当然友達からは罰ゲームを期待する声。ホントにするとは思っていませんでした。
その時、ふとマネージャーを見ると制服を持って部活用のジャージを着ていました。その時に覚悟した制服の交換。私は不貞腐れながらも、友達からは罰ゲーム回避は認めない雰囲気が出ていました。
まずは体操服に着替えるよう指示がありました。部室に一人で帰り、男子制服を脱ぎます。このときはまだ女子制服を着ることへの抵抗感があったことを覚えています。
渋々とはいえ体操服に着替えて、自分の制服を持って友達の元に戻りました。
戻ったあとはやっぱりかと思わされました。友達から、制服を交換して部室で着替えてくるようにとの指示。マネージャーから女子制服を受け取り、私も男子制服を渡しました。
ニヤつく友達、大笑いする友達。私はモヤモヤが募ります。意外なのはマネージャーです。自分の制服を着られることに抵抗感がないのか不思議なくらい、友達と同じように大笑いしていました。
受け取った制服を持って部室にマネージャーと戻ります。男女の部室は当然別です。ただ部室はひとつの建物に集中していました。私とマネージャーは二人で部室の建物に向かいました。
二人で歩いているときにマネージャーから言われた言葉を今でも覚えています。
スカート履くの初めて?女装が癖になったらごめんね。でもそれもおもしろいかもね。
笑顔で言われたその言葉は、私のこれからを予言していたのかもしれません。
マネージャーと別れて一人で部室に入りました。紺のブレザーとベスト、白のブラウス、青と緑のチェックスカート、紺ハイソックス、そして赤のリボン。
一人になった部室で急に襲われた恥ずかしい気持ち。でもなぜか感じた、着てみたいという衝動。これから女の子になる。これから女の子にされる。これから男の子をやめる。
なぜか分からないまま様々な感情が頭を巡っていました。