私には幼馴染みで2つしたの妹みたいな存在の知里ちゃんって娘がいます。
私は優美。
知里ちゃんは、いつも私の後ろをくっついてきました。
私はどちらかと言うと人と接するのが苦手で思ってる事は中々言い出せないタイプ。
知里ちゃんは、ものすごく美少女で、なんか、いつもキラキラ輝いてた。
私が市内の女子高に入学すると知里ちゃんも
「もーっ!!猛勉強して、入学したんだからねー!!」
そう言ってニコニコ喜んで後輩として入学してきたのです。
それまでは、なんだか姉妹みたいな二人でした。
知里ちゃんが変わりはじめたのは、高校一年の夏休み。
知里ちゃんは、ガーデニング部に入部していて、そこの部長と噂になり、学校のあちこちで噂が持ち上がり、知里ちゃんは段々、私の元から距離を広げていったんです。
知里ちゃんの相手が女性だからとか、女性同士だとか。
それを理由に私も知里ちゃんには、無理に距離を縮めようともしませんでした。
それに、知里ちゃんは、段々、髪を茶色に染めたり、キツいメイクしたり、制服もどんどん短くなって、私のしらない知里ちゃんになっていってしまいました。
その年の暮れ
冬休みに入る寸前のクリスマスイブの夜。
知里ちゃんからのメール
「優美ちゃん なんか、最近、話してないよね?知里、ちょっと寂しい。少し会いたいな」
そう言われてみれば、夏休みあたりから、知里ちゃんとはまともに会話してなかった。
わたしも「久々にケンタッキーいこうか?イブだもんね!!」
ケンタッキーに表れた知里ちゃんは髪こそ茶色でしたが、昔のままの知里ちゃんで、広がっていた距離がグンッて縮まった気がしました。
それでも時折みせる寂しそうな知里ちゃんの目を見逃しませんでした。
「ねぇ?知里ちゃん?本当は何か、お話があったんじゃない?言ってよ。ただ、お喋りっ顔じゃないよ」
「あはは…やっぱり優美ちゃん、お見通しだね…。私ね今の部長にコクられて…軽い気持ちでOKしたんだぁ…でもね…部長にキスされたり、手を繋いだりすると、違うって思っちゃう。どうしてだか分かる?」そう言って突き刺すような視線で私をみた知里ちゃんが何を言いたいのか、わかってしまいました。
「ち、知里ちゃん…。そんな目で見られたら、怖いよ…」
「ごめん…」
そう言ってテーブルの向かい側に座ってる知里ちゃんは、私の手をギュッて握ってきて、小さな声で
「優美ちゃん…優美ちゃん、優美ちゃん、優美ちゃん。すき…本当は、優美ちゃんがすきなの。優美ちゃんじゃなきゃ、嫌なの。優美ちゃん!!」
私も困って俯いて聞いていた知里ちゃんの声が段々かすれ泣きはじめてしまったのがわかった。
心のどこかでホッとした。それでも、女の子同士なんて可笑しいわよとも思った。
口に出せないまま、ケンタッキーを出て歩き出していて、手を繋いだままだった。
ふいに知里ちゃんが
「優美ちゃん…家にきて。今から。」
前は断る理由があっても知里ちゃんの家にいっていたし、知里ちゃんだって同じだった。
「優美ちゃん、今日ね…パパもママも帰ってこないんだぁ…」
知里ちゃんは口を開く度に泣き声になっていた。
おおよその見当はついていた。
少しばかり、覚悟をきめてなんだか高い敷居を跨いだ。
「我慢してたんだよお~」って知里ちゃんが思いっきり泣き出して、抱き締めて慰めていて…。
胸のあたりから、大粒の涙をポロポロ溢して哀願するような知里ちゃんの目は、愛おしく思えない筈がなかった。
知里ちゃんがそのまま、私に細くて白い腕を巻き付けると、知里ちゃんはヒックヒックしながら、ゆっくり目を瞑り、いつの間にか、唇をゆっくり重ね、少し開いた唇に知里ちゃんの舌がはいり込んできた。
私もゆっくり知里ちゃんの甘くて柔らかいマシュマロの様な知里ちゃんの舌に答えた。
思わず、降って湧いたような状況で私のファーストキスは幼馴染みに捧げる事になってしまった。
日が沈みかけた茜空もすっかり暗くなって、キスしていた時は、私を抱き締める知里ちゃんの腕には力もこもっていたし、息も荒くなっていたけど、今は、おちついたみたいだった。
私は、知里ちゃんがすきなの?
そう思ったら急に恥ずかしくなって笑いだすと知里ちゃんも可笑しくなったみたいで2人で笑った。
次の日。
知里ちゃんと部長が別れた。
その次の日から、毎日、知里ちゃんは私の側にきて、くっついてくる。
冬休みが始まる頃には、今度、私と知里ちゃんが噂になり、広まると、それこそが問題の火種となった。