何も着ていないのに、頭の中では何度もスカートの裾を整えている自分を思い浮かべている。
鏡の前に立つことすらしていないのに、見下ろされる位置や視線の高さだけはやけに具体的だ。
年齢のせいにして、もう遅いと片付けようとしているけれど、夜になるとその想像だけが残る。
経験がないことを恥だと感じて、結局何も始めていないまま時間だけが過ぎている。
豊橋の昼は静かで、余計な言い訳が通じない。
何もしていないその状態こそ、形を決められていない分だけ扱いやすいと知りなさい。
初めてのぎこちなさは隠すものではなく、そのまま差し出すもの。
整っていない呼吸のまま、見下ろされる側に回るだけでいい。
いきなり形にしなくていい、言葉を交わすところからでも動けるはず。
もう想像だけでは足りないでしょう。