いつの頃からか、尺八上手と呼ばれるようになった。
はじめてしゃぶったのは中一の頃で、相手は同じ柔道部で中三の先輩だった。
中学に入学して仲良くなった先輩でよく遊んでいた。
ある日話していて部室に二人きりになった。
二人でエロ話をしていて、尺八が気持ちいいとかされてみたいとかいろいろと話していると。
「しゃぶってくれ」
先輩が言ってきて、興奮した先輩が俺を押し倒してきた。
勃起して大きくなったチンポを俺の口に突っ込む。
俺は戸惑いながらも無我夢中でしゃぶった。
生まれて初めて自分の口の中に熱い精液が放出されたときの感覚を今でもまだ覚えている。
その後に先輩からは謝られたが、その行為をまた頼まれて、先輩が卒業するまで続いていた。
この行為に嫌悪感が湧かなかった理由は当時は分からなかったが、次第に自覚していくことになった。
亀頭の舌触り、股間の蒸れた匂い、我慢汁や精液の味、雰囲気、相手の顔や声などの尺八する行為が心地よく、相手が同性だとという事は気にならなかった。
その先輩を皮切りに、尺八にハマった俺は、付け入る隙を見せた相手を片っ端から喰っていった。
おそらく、自分が男にする尺八がとても気持ちがいいのだろうということに、気づいてしまった。
その頃はただ、自分のテクニックによって、男があっと言う間に果ててしまうことが、単純に面白かったのかもしれない。
それが尺八をする行為が無上の喜びだったのかもしれない。
俺は男に犯されたいという願望はないし、男を犯したいと言う欲望も無い。
男性同士の性交行為自体に全く興味がない。
アナルセックスとかを興奮した相手からもよく求められるもあったが、自分は体格がよくごつい。相手から無理矢理犯されることも無いので、犯されることもなく貞節を守り続けてこれた。
それに俺にしゃぶられ果てた相手は気持ちよさで腰が抜けてしまうから、尺八後にはなにもできなくなる。故に自分の尺八の攻撃力の高さだと思っている。
ただ、しゃぶることで相手が感じる快感と喜びを与えるだけの特化した存在でありたい。
別に女性は嫌いでもなく、普通に女性と交際はして性行為は普通にしている。
でも、俺がしたいのは、ひたすら尺八をしたいだけだ。
自分が尺八をする趣味があることが拡散しないように相手をよく選んで、細々と経験人数を増やしていった。
大学を卒業して社会人になるころには、30本ほどは咥えただろう。
社会にでれば学校の仲間をたらしこんでしゃぶるという閉鎖的な狩猟環境を捨て、新たなチンポの狩場を探さなくてはならなくなった。
会社関係は限界もあった。
ただ、出会い系SNSは実に効率よくチンポを喰らうことができた。
いつしか尺八上手の噂がSNS上で届きはじめることになる。
それまでは自分から獲物を見定めて、他言無用を条件に探し求めてこだわらずにしゃぶってきたが、SNSを使う事で俺にしゃぶられたいと名乗りでる人間が増えてきた。
もちろん、俺もチンポであればなんでもいいわけではないので、相手を吟味しつくしたうえでの決断をしていた。
そんな時、そいつと出会った。
用意されたホテルの部屋で出会うと奴が名刺を出してきた。誰でも知っている大手大企業に勤める既婚者だった。
しゃぶってやると3分も保たずに果てた。そいつは息も絶え絶えにこういった。
「あなたの尺八は男を狂わせる。あなたのファンは確実に増えていくだろう、是非とも任せてくれ」
要は男相手のデリバリーの尺八屋をやらないかと言う事だ。
その時は断ったが、ある日ふとした気の迷いで奴からの一件のオファーを受けてみた。
会った相手をじっくり見聞し、事前の交渉に嘘がないことを確認した俺は、たっぷりとしゃぶってやった。
淡々と話が進んでいき、尺八だけで濃厚な男同士の性行為を求めていない俺にとってはそれがピッタリとハマった。
一時の気の迷いと思っていたが、そいつの信用のもとに新たなチンポを俺に紹介するようになり、しゃぶってやる人間を増やすと予言は的中することになった。
己の欲望のためにしゃぶってきたが、いつしか人に雇われてしゃぶるようになった。
そんなことは想像もしていなかった。
己のためだけにしていた行為が仕事になるとは思っても無かった。
さてはともあれ、男を自ら探すこともなく、安心してしゃぶることができることと、仕事としても俺に少なくない利益をもたらすことになった。
社会人としてやりすごす表の顔と、裏の顔で尺八屋という新しい肩書を手にした。
俺はこれからも自分の喜びのためにしゃぶり続け、俺にしゃぶられることに喜びを覚える連中は、お行儀よく自分の順番を待つことになった。
これは、俺が尺八屋として出会う一本一本のチンポと吐き出された精の数だけ記される切なくも可笑しい記録だ。
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