「きょうはママ、きれいだね」
姪っ子が俺の耳に手を当てながらヒソヒソ。
「ん、綺麗だね」そう答えると
「ママがキレイだとパパ、うれしーでしょ~」と茶化します。
「なあに?二人してコソコソ、なに話してんの?」と、妹。
俺んとこに来た頃は化粧も適当で身なりもいい加減なオバサンだったのに、最近は本当に美人さんになっていて嬉しい限りです。
それは姪っ子も同じなんですよね。
俺が不甲斐ないせいで幼くして不幸な娘盛りを生きてきた妹です。
妹が叔父の養女になって直ぐだったかな。
一人の叔母からその叔父の事で「あの人はねえ……できるだけ早くあんたが引きとってあげられるように頑張るのね」と、今にして思い出せば意味深な事を言ってたもんです。
そんな事を言う叔母だって妹を預かってはくれなくて、結局は叔父に押し付けて済ませたわけで、同罪です。いや、叔父の性癖を知っていながらという意味ではむしろ罪は重い。
叔父は……あの野郎は妹にイタズラをするだけの目的で妹を養女にしたようなもんです。
40にもなって独身で、……妹に飽きたらず、子供にイタズラをしたことが発覚すると逃げるように引っ越し、その度に引っ越して、最後には九州の山奥まで逃げた。
妹は中学を卒業するとその叔父から逃げだして働き、そして転々としながら妊娠。
DV亭主に母娘して散々な目にあって、逃げだしては捕まり、捕まっては逃げた。ようやく離婚したけど娘の給食費も払えない生活。
兄の俺に助けを求めてきた。
代償となる物を何一つ持ち合わせない妹は最後に残っているただ唯一の物を俺に提供すると言った。
俺はそれを受け取った。
そしてその結果、妹のお腹には新しい命が育まれている。
俺と妹の愛の結晶…………
その俺達の兄妹関係の殆んどを知っていながら、姪っ子も喜んでくれていて、来春に生まれてくる自分の弟か妹を楽しみにしてくれています。
決して誰にも知られてはならない兄と妹の間に生まれてくる子供。
でも、必ず幸せにすると二人で、いや、姪っ子とも肩を寄せながら三人で誓っているんです。
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