ここまで良いように騙されて弄ばれて、まだ目が覚めないのかと思うでしょうね。
それは、……
今でも昨日のように頭に焼き付いているからなんです。
あの始めて千佐子と出会った時の衝撃をです。
そう、ちょうど色さえ違うけどYouTubeのバイオリニストの少女のようにお尻が隠れる程の長い髪をなびかせて、姉と同じミニチュアのような制服を着た千佐子の姿と、はにかんだような笑顔を。
まるで小学生に高校のコスプレをさせたかのような風貌に一瞬にして恋に落ちてしまったあの瞬間が今でも生々しく甦るんです。
そこが千佐子の魔性なんだとわかっていても、まるで抵抗できない自分が居ます。
カロリーナちゃんより背は低いし、顔の可愛さも多分贔屓目を引けば勝てないかも知れないけど、未だにあの出会いの記憶がナマで残ってる理由は怖いことに千佐子は殆ど年をとらないかのように面影がそのままなんです。まるで10歳の時に人魚の肉でも食べたんじゃないかと思えるほどそのまま36歳になっています。
沙絵も、千佐子の父親も千佐子との性行為をやめられない最大の理由はたぶんそこなんだと思うんです。
確かによくよく見れば目元や口許に、首や手の甲などそれなりに年齢は隠せないところもあるけれど色んな場所で釣り上げたロリコンオヤジ共の中にはマジでドスケベなガキだと思って興奮してた奴も多いはずです。
ガキだと思って甘く見て店内を追いかけ回し、うまくすればイタズラできるかもと期待して。
ウクライナの美少女バイオリニストは36歳になった時にはおそらく見た目も年齢に相応しい風貌になってる事でしょう。
千佐子が妊娠して婦人科を私と初めて(そう本人は言ってる)受信に行った時、問診票と千佐子を交互に不審なめだ見た女医の顔をおもいだします。
受付の女性もカウンターに顔が隠れるほど背の低い千佐子に身を乗り出して一瞬無言で千佐子を眺めていました。
(子供?……妊娠?)そんな目を向けていました。そして私を見るんです。
(こいつ、マジかよ)そんな蔑んだ想いが目の奥に感じたものです。
お腹が大きくなると自然分娩はできないというのが医者の判断でした。
臨月が近くなるとそれは誰が見ても無理だろうと思うほどの姿になり見ていて毎日が切ないほどでした。
通っていた婦人科は小さな病院だったので手術の難航を考え設備の整った病院を紹介されて移動しなければなりませんでした。
10歳の体で普通の赤ちゃんがお腹に居るんですからそのお腹の大きさは怖いほどでした。
産休で家にいても心配で心配で、何度仕事を早退したか……
その頃の私は異例の若さで今の職場の責任者になっていて殆ど千佐子の実家の世話になっていました。
今にして思えば千佐子のオヤジは自分の種で自分の娘に孕ませた実の二人目の「娘」です。
お腹を切って取り上げた時も私と千佐子の両親と、産まれたあと直ぐに沙絵も駆けつけて来ました。
全く事情を知らないパパは兎に角千佐子と、優美の無事が嬉しくて泣いたもんです。
こいつらパパのものです。
絶対に手放すものかっ!
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