「罠か、確かにちーを取り戻したいって思ってたよ
だけど、それとはまた別の話
あんたと姉ちゃんの話だよ」
「ごめん、ビデオのSDカードはわたせない、千佐子も手放さない、それ意外なら聞くよ」
「姉ちゃんが嫌いなの?」
「千佐子を奪い取る姉ちゃんは嫌いだ」
「だから、ちーの話じゃねえって」
「姉ちゃん、きのうの姉ちゃん、綺麗だったよ。可愛くて、優しくていい臭いがして女っぽくて素敵だったよ」
「は、それはありがとう、で?それがなに」
「姉ちゃんの弟はさ、そんな姉ちゃんが好きなんだよ」
反って来ないので続けました。
「ビデオのあのシーンを何度も見てるのはさ、あのシーンが姉ちゃんの完璧な女としてのシーンだからさ、千佐子に優しくささやいて、綺麗な女の体をしている姉ちゃんだからだよ」
「これでも一応は女だからね
じゃあ、少なくても嫌われてはいないって事でいいのかな」
「嫌いなわけないだろ」
「それじゃあ姉ちゃんを好きだと言ってくれる?」
「好きだよ、姉ちゃんの弟は、優しくて、頼りになって、綺麗な姉ちゃんが大好きだよ」
「そっか、姉ちゃんも泣き虫でよわっちくて、世話ばかりかける弟が好きだったよ」
「泣き虫でよわっちくなくなった俺は嫌いか?」
「今だって可愛い弟だよ、嘘じゃないよ純」
何だかこちらの腹を見透かしたように女口調になってるし、でももう少し聞き出したい。
「お前に抱かれたい」風な言葉を引き出したい。
「で?お互いの確執の誤解が解けたところで、俺に何の話なの?」
「会って話したいって言ってるでしょ」
「もう、千佐子にはこれは見せない。誰にも見せないと約束する。姉ちゃんを信じるための確証が欲しいだけ。読んだら消すから」
「あのビデオの時もちーにそう言ったって聞いてるけど」
「それは、千佐子を取られたくなかったから仕方なかったんだよ」
「まあいいけど、急ぐ話でもないんだ
また近いうちに皆で飯でもしようよ」
「わかったよ姉ちゃん」
「うん、またね純」
さすがに用心深くて思うようには行きませんでしたね。
でも、千佐子に細かな連絡や情報を引き出していることだけはハッキリしました。
ただ、どうしても千佐子が沙絵の指示に逆らえない理由は分からなかった。
千佐子に聞いても多分言わないと思います。
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