施設で暮らす子供たちに「罪」はない
もしも有ると言うならそれは「生まれた」事を指すのだろうか?
様々な理由で入所してくる子供たちがいる
俺は学歴もなく、相応に頭も悪いからその「さまざま」の一つひとつまでは分からないが
少なくとも小さな俺の女房とその弟に微塵の罪もない
神でも仏でも悪魔でも何に誓ってもいいしこの命を懸けてもいい
施設では不思議な習慣があるらしい・・・・・・
「幸せ」も感じない位に幸せな生活をしている普通の家庭には決して無い習慣だ
食事の前後に短い先生の挨拶があって「・・・・・に感謝していただきましょう、いただきます」
「いただきます」
「・・・・・・に感謝いたしましょう、ごちそうさま」
「ごちそうさま」 と、
誕生日会、バレンタインデー、クリスマス、などにはどこからかプレゼントが供与されるらしい
そのときにも盛んに「感謝」「かんしゃ」を繰り返すと言うのだが
長く施設にいる子供たちはプレゼントを喜ばない
そしてこの事ある度の「感謝」に反抗的になる子が多いと言う
そんな子供に対しては先生から教育指導が行われる
「かんしゃ」? 世の子供たちにこの「感謝」くらい縁遠い言葉もないだろう
でも女房をはじめとしてこの言葉を理解している子供たちがこの施設にはたくさんいる
そんな悲しいつらい世間の仕打ちに耐えて今の生活に感謝を覚えるような切ない子供たちに
「感謝しなさい」とは何事か!
クリスマス、誕生日・・・
プレゼントをもらって喜ぶ子供たち 欲しいものが手に入って嬉しいからおおはしゃぎだ
でも施設の子供たちは一人もはしゃぐ子はいない
大きなこえで「ありがとうございます!」 と言う
言わないと指導がはいる
よろこばない? あたりまえだ! 欲しいものなんか貰ったことがないからだ
辺りを見回して小声で女房は笑って言う
「だからさあ、 いっちゃあわるいけどさあ、 プレゼントなんかよりみんなでご飯作ったり
飾りつけをやったりするほうがぜんぜん楽しいのよねえ~(笑) 」
何かがまちがっているような気がしてならないのは俺のわがままなのか?
別れ際に寂しさを隠すように笑いながら言った言葉だ
「 おじさんの家にいれたらいいのになあ~・・・・ 」と
胸がキリキリと痛んだ
こみ上げるものを押さえながら笑って答えた
「 中学が終わったらな、 迎えにくるから ・・・ いっしょにくらそうな ・・・・」
最後の言葉は涙で声にならなかったが飛びついてきたその小さな背中を抱きしめて
俺を気遣い声を殺して泣く女房の頭を撫でて「またくるから、 がんばれ! ・・・ な?」
小さくなんども頷く頭を何度も、何度も撫でて離す事ができずにいた俺だった
※元投稿はこちら >>