【2009年読売新聞投書欄より抜粋】
ある日早朝の公園でミニチュアダックスを散歩させていたら
黒と鼠色のブチのお世辞でも綺麗とは言えない雑種の犬がこちらに猛然とダッシュ
し
てきた、
私は危険を感じたのでミニチュアダックスを抱き上げた、
その雑種の顔を見るととても穏やかで尻尾をふってこちらを見ている、
どうやら遊びたかっただけのようだ、ちょっと安心したのも束の間遠くの方から
「オーイ!みどり!だめじゃないか!」と大声で怒鳴りながらイタリアンなスーツ
を着こなした出で立ちで
こちらに走ってくる人物が、
よくみると百穴温泉のW禿げじゃないか、W禿げは「どうもすみませんリードを振
り
払って走っていってしまったもので」
と恐縮しきりだったので「いいですよ、でもこの犬はW禿げさんの犬じゃないです
よ
ね?どなたの犬ですか?」
と聞いてみた、なぜなら雑種の日本犬だったからだ、するとW禿げは笑顔でさらり
とこ
う答えた「僕の犬です、みどり、5歳のメスです」
私は失礼だとは思ったが思わず一言言ってしまった「えーW禿げさんが雑種飼って
るな
んて信じられない」
するとW禿げは大笑いしながらこう答えた
「みんな同じこと言いますね、そう、ただの雑種です、保健所から貰ってきまし
た、
僕にはそこにいたすべての捨て犬を家族にはできないけど」
そしてリードを手に取ると「どうもすいませんでした、みどりいくぞ!」
と言って走って行ってしまいました、W禿げさんとみどりが去ったあとほんのり春
の風
が吹いていました。
そう、人一人が出来ることは限られますが、大勢の人がW禿げさんのような人だっ
たら
もっと穏やかな世の中になるのかもしれませんね。
49才 港区 主婦
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