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2017/02/06 14:29:39
(R6GwtPKg)
とある新興住宅街の一角に、私のアトリエ『地球屋』は在る。
アトリエと言っても大それた店舗ではなく、小ぢんまりとした工房で、妻のヴァイオリン教室の隣で弦楽器や簡単な電化製品、古時計等の修理を細々と勤しみながら、親が遺してくれたアパート経営で生計を立てている。
私の名は仁志司朗・42歳、妻は音大出身の38歳で、子供は小学校4年生の娘が一人居ます。
4年前…私の両親が立て続けに他界したのを機に、思い切って1階部分を私の工房と妻のバイオリン教室に改装し、今では小・中・高校の生徒十名程を教えている。
そんな、とある土曜日の事です。…翌日曜日に開催される年1回の音楽コンクールの為、妻と生徒数名が大阪の会場へ1泊2日の予定で出掛け、私は店番を兼ねて、ある所で回収して来た機器を修理する為、アトリエを開けていました。
そろそろお昼にしようかと思っていると…一人の少女がやって来た。
雫「こんにちは~♪」
司朗「やぁ~いらっしゃい。」
工房へ遊びに来たのは、私の所有するアパートに母親と住む星野雫・10歳・小学校5年生。
元々共稼ぎだった雫ちゃん家は…2年前に両親が離婚して、母親との2人暮らしで、時々工房で宿題をやったり、絵を描いたり…母親の仕事の関係で帰りが遅くなると、自然と私の工房に居る事が多くなり、彼女の母親からも…夜遅くまで娘独りで留守番させるより、アトリエに居る方が安心するとの事で、最近では私の工房に居る事が多くなっていた。
雫「凛(娘)ちゃん居ます~?」
司朗「ああ、ごめんね~今日明日とコンクールに行ってるから居ないんだよ。」
雫「あッ!そうかぁ~!…今度初めて出るんだって言ってたww♪」
娘が留守だった事に、雫は少し残念がっていましたが、すぐに切り替え…私の作業を見に来た。
雫「オジちゃん?…これ、何ですか?」
司朗「フフフ…出来上がってからのお楽しみ♪」
修理を終え、外カバーと座面を取り付ける。
雫「あッ!ロディオボーイだ♪」
司朗「そう♪…ある家で壊れたので引き取って来たんだが…全然動かなくてねぇ。」
フタを開けて見ると、故障の原因は接触不良だと分かり、先に注文してたスイッチをアッセンで交換し…スイッチを入れてみる。
…ウィ~ン!…ウィ~ン!…ウィ~ン!
雫「あはッ♪…動いた動いた!」
司朗「…雫ちゃん、乗ってみるか?」
雫「いいの?」
そう言うと雫は、嬉しそうに…