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1:月光の夢下り
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蟹
◆AU/OjWxByc
とある世界で世界の命運をかける戦いが行われていた。複数の男女が互いの愛する者のために望む望まざるに関わらずに得た力で戦っていた。
戦う相手はこの世の者ではないうえに神とも悪魔ともつかぬ存在を名乗っていた。そして、それは伊達ではなかった。 その名も魔蛇。魔蛇は災厄を以って世界を変える蛇の邪神を称し、とある次元の地球に攻撃を仕掛けていた。 それから数か月。戦う術を持った一部の人類は魔蛇と魔蛇が率いる眷属に絶妙なバランスをとっていた。 しかし、邪神もただ傍観していたわけではない。魔蛇は戦う力を持った戦士の中に自身を倒す可能性と将来、神にも等しい力を持つ可能性がある二人の男女を見つけた。女のほうは戦士として高い潜在能力を持ち、邪神の力を浄化できる力にも覚醒していたが、男の方は戦士としてその力が弱かった。 物理的な戦闘では天賦の才も持っていたが、超常の特殊能力は女の戦士に比べて未熟者だった。 二人は男女と言うが、まだ少年と少女の面影が残っていた。2人は昔からの顔なじみだった。 そんな二人に地獄を見せようと魔蛇は思案し、そして実行した。 魔蛇は眷属を介して集めた人間の悪意や欲望を青黒いイナゴの大群の形にして男の戦士もとい、未熟な少年に襲わせた。 少年を含めて戦う力を持った者は総じて奇妙な鎧の姿をしていた。果実を模した南京錠に世界各国の鎧に似た戦士達。それがこの地球で邪神と戦う者の姿だった。その力は異界の森と呼ばれる異空間を起源しており、この地球に大昔から伝わっていたものもあれば、現代で異界の森に迷う込む形でその力を手に入れるなど様々だった。その力は異界の果実の形をしていたが、しばらくすると地球の果実を模した南京錠になり、それを手に入れた者の腰には異界の植物の枝や蔦が絡まり、果実の錠前を装填する金属質なベルトに形を変えた。 このプロセスを経て錠前をベルトに装填することで生身の人間は果実の鎧の戦士となるのだ。 話を戻すが、魔蛇が操る異形のイナゴの大群によって少年は漆黒の鎧の戦士に変えられてしまった。
2022/01/24 17:58:08(vTCu6B48)
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蟹
◆AU/OjWxByc
漆黒の鎧の戦士になった少年は仲間の鎧の戦士達に牙を向けた。特殊能力が弱い代わりに物理的な戦闘力を持つ少年は圧倒的だった。
それに加えて少年は闘争心まで増幅させられ、少年よりも強いはずの鎧の戦士も圧倒された。 戦闘面で叶わないと判断した鎧の戦士達は特殊能力で暴走する少年を圧倒することを考えた。
22/01/24 18:10
(vTCu6B48)
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蟹
◆AU/OjWxByc
この特殊能力は超能力であると同時にある種の呪術だった。その術とは生物の集合的無意識、心象風景から作り出した空間、領域を作り出すもので鎧の戦士達が所属する各組織は少年をここに閉じ込めて魔蛇の異形のイナゴに盛られた毒を浄化する作戦を立てた。
毒の浄化をする役目は少年を想う女の戦士が志願した。女の戦士、いやまだ少女でしかない彼女は強い覚悟で浄化の任務を願い出た。 各組織と彼女の両親は彼女の覚悟に負け、これを承諾した。 さっそく作戦は行われ、漆黒の鎧の戦士の周囲を鎧の戦士達が囲った。空間を作る術の役目、少年の戦士への変身を解除する役目は、少年と厚い友情と絆を持つ戦友に任された。 作戦の前日、彼女は両親と術を行使する少年の友人にこう警告を受けていた。 「心象風景から作り出された空間は二人の知っているようで知らない世界になっている他、時間の流れも現実世界と異なり、2人の顔も名前も性格も変わっている可能性がある。魔蛇の毒も彼に憑りついた上に最後の抵抗として何を生み出しているかわからない。それでも行くか?」 彼女は迷うことなく答えた。 「行きます。必ず彼と帰ってきます。帰ってみんなに謝って、ぶつかりあって、この世界の道をまた歩かせます」 彼女は少年のために道があるかもわからない世界を歩く決意を改めた。 そして現在、少年は友人である赤と黄色の鎧の騎士によって変身を解除させられ、蒼と白銀の鎧武者が作り出した空間に閉じ込めることに成功した。そして彼女もまた戦士の姿でその空間に飛び込んだ。
22/01/24 19:20
(vTCu6B48)
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蟹
◆AU/OjWxByc
そこでは大小の白い雲が移動する青空が広がっていた。その下には青々とした緑が広がり、懐かしい雰囲気がある田舎の村があった。
季節は夏。ミーンミーンと言うセミの鳴き声が響き、透明度が高い清流には川のせせらぎが静かに聞こえていた。 日本に数少なく残された田舎の風景にはしゃぎまわる二人がいた。その二人は少年と少女だった。 少年のほうは裕、少女のほうはミカ。裕は11歳の小学生で、ミカは10代後半の女子高生だ。 二人は蝉取りやカブトムシ狩り、清流での水遊びを楽しんでいた。 楽しい時間は長いようであっという間だった。裕はおじの家が田舎に一人で泊りに来ていた。それが毎年の恒例だ。 しかしその夜、裕を変える衝撃的な出来事があった。 その夜、裕は一人で飲み物を買いに出かけた。そこを通るには神社の近くを通る必要があった。 その神社に裕が近づいた時、誰かの声が境内から聞こえた。それは聞き覚えがある声だった。
22/01/24 20:58
(vTCu6B48)
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蟹
◆AU/OjWxByc
そこで裕は目を覚ました。夢を見ていたのだ。
「今の10年前の夢か・・・たまによく見るけど、今までよりずっと長かったな・・」 ふと股間に目をやる。股間部がテントを張っていた。恥ずかしくなった俺は持参したリュックで隠した。 俺は今、田舎の村に通じている2両のローカル線に乗っていた。気持ちのいい青空の中、ローカル線はなにごともなく走行していた。 やがてローカル線は緑の山に向かい、大きな清流にかかる鉄橋のレールに乗った。鉄橋の上部を覆うワーレントラスを通過すると目的地はすぐそこだ。 俺は10年ぶりの思い出の田舎に着いた。ローカル線はパァンという警笛を鳴り、小さな駅で停車した。 俺は電車を降りた。液を歩くとまず、山間にあるおじさんの家を10年ぶりに訪ねる事を考えた。しかし、そのおじ夫婦は10年の間に亡くなっていた。 でも今は・・・ 「裕くん!」 俺を呼ぶ美人の声が聞こえてきた。 「久しぶり!」 齢の離れたイトコだけがここに住んでいる。このイトコが俺の一番の目的だ。彼女の名前はミカさん。 ミカさんは長い黒髪を今でも伸ばしていたが、後頭部でお団子にしていた。服装は薄い長袖に長いスカート。 夏にも関わらず、肌は白く、10年という月日もあって彼女はさらに美しくなっていた。とくに胸はどんなグラドルにも負けない大きさと形だ。
22/01/25 11:42
(IL14oZz8)
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蟹
◆AU/OjWxByc
彼女と歩きながら俺は10年前から初めてここに来た日までの事を思い出していた。俺にとってここは一番大切な場所だ。
ミカさんと子供らしく虫取りに夢中になった事、俺は海パンでミカさんはスクール水着の上に半袖で川ではしゃいだ事・・・ そして、あの日のあの夜。 俺は自販機にジュースを買いに出かけた。あの日の夜の月はとても明るかった。 自販機に通じる道の途中に神社があった。そこで聞き覚えのある声が聞こえた。それは妙に甘ったるい声だった。 「・・・!?・・・何?・・・この声・・・」 俺は鳥居の影からその声がする場所を探し、そして見つけた。 そこには男と女がいた。男は女を神社にある木に背をつかせて抱きしめていた。服装は男がズボンに白いタンクトップ、女は白いタンクトップに短いスカート。 男は女のスカートを捲りながら白いショーツ越しにお尻を揉んでいるようだ。その度に女の口から色っぽい声がした。 2人が何をしているのか、当時の俺にはそういう知識もそれに対する興味もあった。男女が神社で罰当たりな情事に耽っていた。 「あっ・・・は・・・・あん」 ただし、その情事をこうして目の当たりにするのは初めてだった。 「ごめんな。いつもいつも」 男が女に謝った。 「ううんっいいの・・・少しでも裕也君にいられたら、あっ、はっんん」 男は女のタンクトップを上に捲った。女はノーブラだった。剥き出しの白い塊が二つ、まろび出た。男は両手でそれを揉んだ。 「少しでも…身体に・・・触って欲しいもの・・・」 その声の主はミカさんだった。 そこには俺の知らないミカさんがいた。 裕也と呼ばれた男はミカさんの胸を揉みしだきながら、スカートとショーツ、タンクトップを脱がし、完全な素っ裸にした。 男はズボンのベルトとチャックを外し、自らのペニスをミカさんに・・・ 最初はミカさんの左足を持ち上げ、男は腰を前後に動かしていたが、やがて両足を持ち上げ、ミカさんの腰を突いた。 ミカさんの両足にはぶら下がる形になったサンダルがあった。裕也とミカさんは熱いキスをはじめた。 「あっ・・・ふっ・・・・ん・・・あぁ!あ!あんっ!はっ!あん!」 ミカさんの声は・・・甘く甲高いものになり、喘ぎ声へと変わっていた。
22/01/25 12:25
(IL14oZz8)
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蟹
◆AU/OjWxByc
俺はその場から逃げ出した。おじの家に帰っても頭と心の中にいつまでもいつまでも白い肌が焼き付いていて、どうしようもない感情が身体を動かしていた・・・・・
そして翌日・・・ 俺は言いしれない感情と見てはいけないものを見た罪悪感からミカさんに会う事もなく逃げるように帰った。 いや逃げたんだ。何もかも怖くて・・・・ 俺は10年ぶりにここに来たことで改めてその出来事を生々しく思い出していた。 しかし、ミーンミーンというセミの鳴き声が俺を現実に戻した。 「ミカさん、ごめんね。おばさんのお葬式にも来られずに・・・・」 「ううん、いいのよ。お墓参りに来てくれただけでも嬉しいわ。お線香上げてあげてね」 「うん・・・」 田舎の古いアスファルトを歩きながら、ミカさんは10年前と変わらぬ笑顔で俺を向かえてくれた。 周囲に緑が広がるお寺に俺とミカさんは向かった。そこにおじ夫婦の墓があるのだ。 俺は線香をあげ、お供えに好物だったおはぎをあげた。 俺はミカさんと彼女が住む家に向かっていた。ここではそこが俺の滞在する場所となっていた。俺にとってはもうひとつの実家だ。 「これであの家もミカさん一人だけだね」 「うん・・・」 「一人で住むに・・・・・・ちょっと広い?」 「んー・・」 「そうねェ・・・・・どうしようかな」 そんな会話をしながら帰路についた。
22/01/25 12:44
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蟹
◆AU/OjWxByc
「裕くん、しばらくいられるの?」
「うん。3日くらい・・・・・・・・いい?」 「もちろん!」 夜はミカさんと魚をメインとした晩飯にした。四角いテーブルの上に食事の他、ポッドを置き、床には炊飯器を置いていた。 都会では考えられない、昔ながらの風景がお茶の間に広がっていた。 「ゆっくりしてって。知っての通り何もないところだけどね」 「うん。そのつもり」 ミカさんの家はこの村でそれなり大きく、暮らしには不自由がないほどだった。 俺は10年ぶりに子供の頃、泊まっていた部屋で寝た。 この村に来た本当の理由もあった。あの日の、あの夜の、あの時のことを確かめたかったからだ。 本当にはあれはミカさんだったのか、ひょっとしたらあれは俺の見た夢じゃなかったのか・・・
22/01/25 12:55
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蟹
◆AU/OjWxByc
俺は悩みながら寝た。何度も考えた。
けれど、そんな事、どうやったら確かめればいいのか・・・・・ 答えが見つからないまま朝を迎えた。その日もいい天気だった。 俺は昔、ミカさんと遊んだ川を見に行った。 川には変わらず綺麗な清流が流れていたが、コンクリートで固められていた。 「ひゃー、そっかー・・・あの川もこんなになっちゃったのか」 周囲には駄菓子の代わりにそこを改装した小さなコンビニがあった。川の橋もよく見ると新しい。 「虫取りしていた横の林も、もうなくなっちゃったんだね。なんか、淋しいなー・・・・」 「言ったでしょ?田舎だって少しずつ変わっていくもの・・・仕方ないのよ」 俺とミカさんの心は複雑になり、そこに何とも言えない風が吹いた。 「ミカさんは・・・ずっとここにいるの・・・?他のもっと・・・街の方へ出ていくとか・・・」 「んー・・・正直考えてるよ。もう何もない村だからねー」 「そんな・・・」 自分で言っておきながら俺はなぜか残念な気持ちになった。 ミカさんは今、薄い長そでにズボンという出で立ちだ。仕草がほとんど大人の女だ。 「ほんとよ。自然も中途半端でさあ・・・かといって便利でもない・・・何より出会いもないしね・・・フフッ」 自虐的にそんなことを言うミカさん。俺と同じく彼女も淋しげだった。 「さっさと出ちゃえばよかったのかもしれない」 「でも・・・じゃあ・・・・なんで・・・?」 「んー・・・タイミング・・・かな。ここに残した思い・・・多すぎるの」 残した思い・・・そういうとミカさんは大きく背伸びした。 「・・・なーんてね。フフ・・・ただ臆病なだけなのかもね」 田園に立つ電柱と鉄塔がある道を歩きながら俺達は思い出話に花を咲かせ、今と昔の違いに憂い、そのまま岐路についた。 スズムシの鳴き声を聞きながら俺は寝ようとした。しかし、その夜は綺麗な月が田舎を照らしていた。それはあの日の夜と同じだった。
22/01/25 13:39
(IL14oZz8)
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蟹
◆AU/OjWxByc
俺は布団に入りながら、薄い長袖を着たミカさんがノーブラで二つの乳を揺らし、喘ぐ光景を想像していた。
俺はふと立ち上がり、スズムシの声が響く田舎道を歩いた。そしてあの神社に来た。神社は変わらずそこにあった。 鳥居をくぐり、狛犬の近くを見た。そこにあの木も変わらずあった。 「ここだ・・・あの時の・・・・場所・・・・」 俺はその木に触れた。木の樹皮はすべすべで10年前、この木に背を預けた彼女は前も後ろもいい気持ちだったのか。 「この木の下で・・・」 その時、俺の後ろでジャリッという擦れる音がした。それはサンダルが石の参道を踏んだ音だった。 「やっぱり・・・見てたんだ・・・」 振り向くとそこにミカさんがいた。
22/01/25 14:11
(IL14oZz8)
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蟹
◆AU/OjWxByc
「ミカさん・・・・!」
「だっておかしいもの。あの夜の翌日、急に帰ったと思ったら・・・それっきり10年だよ・・・?」 「あの時は裕也くんに愛されたくて必死だったわ。でも・・・気づけば周りは変わっていって友達はみな、いつの間にか村を離れ、裕也くんも自分の居場所を見つけて戻っていったわ」 ミカさんはこの田舎でかつてあった、俺のいない時間と思い出を語った。俺の知らない彼女の友人、一度しか見てない彼女の彼氏・・・ 「裕くんも大きくなって・・・逞しくなって・・・」 ミカさんを満月がある夜空を見上げた。 「変われないのは私だけ・・・・・」 ミカさんに目に涙を浮かべていた。 「気持ちを引きずったまま・・・・村を出る事さえできない・・・・なにも・・・・変われないの・・・・」 俺は胸を張ってそんな彼女に・・・・・ 「でも・・・変わらず良いモノだってあるじゃん」 「え・・・・・」 俺は・・・もう子供のままじゃない。
22/01/25 14:25
(IL14oZz8)
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