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女神讃歌
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:女神讃歌
投稿者: 子犬
どんよりと曇った日だった。
少し汗ばむ様な気温の中、行き交う人々は皆無口で、今日を生きるのに必死な形相で歩いている。
誰も楽しそうじゃない。いやそれどころか、生きるのに疲れている様に見える。
その人ごみの中、浮浪者が倒れている。死んでいるのか、寝ているのか解らない。
ピクリとも動かないその体からは、かつて男が一世を風靡した人物である事を誰が気付くであろう
か。
都会の雑騒の中、他人に無関心な流れが、男の周りを過ぎ去って行く。
男の名は秋葉浩介。3年前までは知らない人間がいないほど、各種マスコミ、メディアを席巻した人
物であった。
企業の買収を繰り返し、巧みな株価操作で資産を増やし、瞬く間にセレブの仲間入りをした立志伝中
の人物だ。
プロ野球球団やホテルの買収などで、彼は度々マスコミに登場し、独自の理論を展開した。
彼の主張は若者に支持され、時代のカリスマとして、講話の依頼や番組への出演をこなした。
日本で一番高いマンションの最上階に住み、全ての人々を見下ろしながら成功者の喜びを満喫してい
た。
そう・・・あの日までは。

秋葉浩介は東京の下町で生まれた。父親は左官職人であったため地方出張が多く、少年時代は母親と
2人きりでの
生活だったが、その母親も浩介に手がかからなくなった時期から家を空ける事が多くなっていた。
趣味で始めたデザインの仕事が大手広告代理店の目に止まり、今では社員20人余りの企業を統括し、
忙しい毎日を送っていた。
浩介についてはしっかりした子との認識で、小学生低学年の頃から自立させようとしていた。
放任主義といえば聞こえはいいが、父母ともに浩介に対しての愛情が欠落していたのかもしれない。
浩介にしても、両親に対する感謝の気持ちは希薄だったし、むしろ憎しみさえあった。孤独を埋める
術を知らなかったからだ。
現在まで、父・母・息子それぞれが自分の意思だけで生活する。そんな家庭環境であった。
後に父親がマスコミのインタビューで、当時の事から現在までのわが子への接し方について、反省の
言葉を口にしていた。
もう取り返しはつかないのに・・・・・。

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2010/11/19 13:11:56(PxgNwsJZ)
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