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2013/10/05 13:59:18 (Bm9qTPcA)
「私、行きたいところ、あるんだけど、再来週、講義、休める?」
倉田さんのお誘いは、いつも唐突だ。

「休めなくはないですけど、何曜日ですか?」
本当は、どの講義も1回くらい休んだって、どうってことなかったのだけれど、僕はちょ
っと勿体をつけて言った。
いや、それだけではない、どうってことあっても、倉田さんのお誘いなら、単位のひとつ
やふたつ、いつでも犠牲にする覚悟があった。倉田さんは、許してくれないだろうけど。

「全部」
「え?」
「だから、全部」
「それって、一週間サボれるかって、訊いてます?」
「直訳すると、そうなるわね」
「・・・それって、学生の本分に反しませんか?」
僕が、意地悪く言うと、倉田さんは、『言うわね』と言う顔をしながら、ひと言、
「特別に、許す」
と言って、僕のじゃれあいを切って捨てた。一刀両断というやつだ・

『うわっ、でたっ・・・、倉田さんお得意のー私が、ルールブックです宣言ー・・・』
こんなところで、強権発動するとは・・・。

「それで、どこへお供すれば、いいんでしょう?」
「ディズニーランド」
「え?」
正直、拍子抜けして、『そんなとこ?』という顔をしたら、
「アナハイムの方ね」
と言われて、混乱した。

『え? アナハイムって、なに? ケーキ?』と、戸惑っていると、
「加州のディズニーランドだけど、何か?」
『加州と言わず、せめてカリフォルニアって言ってくれよ』と思いながら、『いや、いや、
ポイントは、そこじゃない』
と思い直して、

「あの・・・、なんで、その加州?、のディズニーランドなのか、教えてもらっていいで
すか?」
「うん、私の知り合いが、旅行代理店に勤めてて、突然のキャンセルが出たから、格安で
いかないか、って」
「もう、決めたんですか?」
「だから、こうして、都合を訊いてるんじゃない」
「でも、僕が、ダメだったら・・・?」
「行くの? 行かないの?」
「行きます!」
「わかった。じゃぁ、パスポート探しといてね」

『すごい・・・、どうして僕がパスポートを持っていると知っているの?』って顔をした
のだろう。
「去年、高木くんたちと海外旅行行ったでしょう?」
と、サラッと言われた。
『探偵かっ!』

それから慌ただしく、旅行の準備を整えて、僕たちは『加州』へと旅立った。
飛行機を降り立ったところまでは、よかった。

タクシーの行列の中で、倉田さんは、僕に紙を差し出して、
「このホテルへ連れていってもらって」
と、これまた、サラッという。

「ぼ、僕が?」
「僕のほかに誰がいるの?」
「・・・いや、運転手さん、日本語、わかるかな・・・」
「わかるわけないじゃない。ここは、アメリカよ」

『そうだよ、そうですよね、倉田さん・・・。そのアメリカで、僕にどうしろと・・・。
どうして、そんな無茶振りをするかなぁ』」

「倉田さん・・・、英文なんだから・・・」
「私がやってるのは、中世の英語なの」
「いや・・・、それでも、僕よりは・・・」

その時、僕たちの順番が回ってきて、黒人のお兄さんに、
「○×△#$☆?」
と言われたが、さっぱり、わからない。倉田さんに、助けを求める視線を送っても、何
も言ってくれない。
あわあわしながら、紙を差し出して、『ヒア』と『イエス』を交互に繰り返すと、『乗
れ』といってるようだったので、取り敢えず、タクシーに乗り込んだ。

ドッと嫌な汗をかいて、いきなり疲弊してしまったが、倉田さんは涼しい顔をしている。
『中世の英語って、古文くらい違うの? 何とかそうろう、っていうくらいなら、まだ、
僕より通じると思うんだけど・・・』 そんなことを、思っていると、目的地についた
ようで、何とかお金を払って(チップを要求されてるのがわからずに、ひと悶着あった
のだが、割愛)、次に待っていたのが、ホテルの受付だ。ここも『イエス』だけで乗り
切って、部屋に入ると僕はもうそれだけで、ぐったりだった。

「田中くん、ごくろうさま」
部屋に入ると倉田さんが背中から抱きついてきて、耳の後ろからささやく。
『ずるいよ、倉田さん』、文句のひとつも言ってやろうと思っていたのに、僕は、途端
に懐柔され、『シャワー、浴びよっか』、と言われたときには、即行で、服を脱いでい
た。

アメリカでの、初エッチ。それは、濃厚で、倉田さんは、『ご褒美』と耳元でささやき、
僕をベッドに押し倒して、折り重なってくると、蕩けるようなキスをした。身体中に、
倉田さんの愛撫を受けて、痛いくらいに屹立した僕に、いつの間にか用意されていたゴ
ムをかぶせると倉田さんが仰向けになって、『来て』と誘われた。

倉田さんにも、できるだけ気持ちよくなってもらいたかったけれど、入ってしまったら、
もう、コントロールが効かなくて、倉田さんの中で、暴れまわった。

倉田さんに抱きついたまま、ビクビクと震え、やがて萎えていっても、倉田さんは、僕
の背中にしっかりと腕を回して、熱い吐息を漏らしながら、
「田中くん、すっごい、よかった」
と言ってくれる。倉田さんに巡り合わせてくれた神様に感謝。

でも、気づかなかった。それから、一週間、僕は、毎晩、倉田さんと一緒だったのだ。
倉田さんは、僕の唇の端に、優しく口付けをしながら、言った。

「田中くん、私、ステーキが食べたい」

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2
投稿者:夢追人
2013/10/05 18:56:41    (Sb65zLDs)
お待ちしておりました。羨ましいというか書き込みが楽しみというか。
3
投稿者:enzzob   enzzob
2013/10/06 21:09:53    (frkJeMjn)
奥さん本当にくせあるね笑 楽しみにしてるから次もお願い田中君。
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