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2008/04/15 17:48:38 (R/DBfxjb)
私は、一人の女性を、深く、深く、愛したことがあります。本当に大好きでした。言葉でなんか、言い表せないくらい。
その人は、沢田優希さんといいます。
私と同じ高校の2つ上の先輩でした。
優希さんは、いわゆる不良でした。
私の母校は、女子高としては、県内トップクラスの進学校だったので、優希さんは、とても目立つ存在でした。
中等部の頃は、バレー部のキャプテンを任されるほど優れた選手でした。
でも、高等部に上がってすぐ、試合中に膝を故障してしまい、バレーを続けることができなくなってしまったのです。
それからです。優希さんが荒れてしまったのは…
髪はアッシュ系のメッシュを入れ、膝上のスカートで登校してきた彼女を見て、みんな大変驚きました。校則が厳しいことで有名だったので。
みんな、優希さんのことを避けてました。恐れていたといった方が正しいのかも知れません。私を含めて。
私が高等部に上がったばかりのことです。
学校からの帰り道、駅に向かう途中、私は背後から、強い口調で呼び止められました。声で女性だと分かりました。
振り返ると、制服姿の三人組でした。
その制服を見た瞬間、不安な気持ちになりました。 S女の制服だったから。
S女というのは、公立の女子高で、とにかく悪い噂の絶えないところなんです。
「金、貸してくれない?」
真ん中の、髪が錆び付いたような色の人が、いいました。
明らかに『カツアゲ』です。
スゴく怖かったけど、ただでさえ、少ないお小遣です。取られたくありません。
誰か、助けてくれないかな?って、すがるような思いで、辺りを見回しました。でも、誰も立ち止まってくれません。
一瞬、哀れむように、私を見るのですが、すぐに視線をそらし、通り過ぎてしまいます。みんな、係わり合いになるのが、嫌なのでしょう。
私が、なかなかお金を出そうとしないのに、イライラしたのか、その中の1人が私の腕をつかみました。
それに続くように、他の二人も肩や背中をつかんで、私を路地の方に連れて行こうとするのです。 足がすくんで歩けないのを、無理矢理引きずられるみたいに。
私は泣きだしそうでした。怖くて、怖くて……
もう一度、必死の思いで、辺りを見回しました。
でも、やっぱり、誰も助けてはくれません。
絶望感で、心の中がいっぱいになりました。
その時です。
『オィっ!、お前らっ!!』
後から声が聞こえました。男性のような口調だけど、その音色は女の人の声でした。
振り返ると、私と同じ制服。女性としては、かなりの長身。キリっとした目元。そして、アッシュ系のメッシュをいれた、ベリーショート!
あの優希さんでした。
『何、つまんねぇことしてんだよ。コラっ!!』
そういって、近づいて来ました。
そして、私の肩をつかんでる手を捻り上げたのです。それほど力を入れてるような表情じゃなかったけど、相手は悲鳴を上げました。
それからは、まるで、アクション映画のワンシーンのようでした。
 三人がかりの相手を、素早い身のこなしでかわし、相手の頬をひっぱたいていきます。そのたびに、すごい音がしました。
 さっきまで、あんなに怖く見えた三人組が、弱々しく地面に座り込んでしまいました。
その中の一人が、立ち上がろうとしましたが、優希さんが手を振り上げるような仕種をすると、逃げ出してしまいました。
それを追い掛けるみたいに、二人共、逃げて行きました。
優希さんは、何事もなかったように、歩いて行きます。
「ありがとうございました」
でも、優希さんは、振り返ってはくれませんでした。
家に帰ってから、ちゃんとお礼を言えなかったことに、とても後悔しました。
次の日、学校で優希さんの姿を探しました。
三年生の校舎で、顔見知りの先輩に優希さんのことを尋ねると、「今日は、来てないけど」と言われ、がっかりしました。
優希さんに再会できたのは、二日後のことでした。
その時、優希さんは体育館の裏でタバコを吸ってました。近寄って、頭を下げました。
「あの、私、一年の佐藤千尋っていいます。こないだは、助けて頂いて、ありがとうございました」
優希さんは、タバコを踏み消しながら、
『別に、あんたの為じゃないよ。あいつらが、ムカついただけ』
そういって、立ち去ってしまいました。
次の日も優希さんに会いに行きました。
でも、優希さんに叱られてしまいました。
『お前、ウザいんだよっ!』
 そう言われました。
それでも私は、また、優希さんに会いに行きました。あきれてましたね。かなり…。
『お前さぁ、あんな言い方されて、なんで、そんなにニコニコしてんの?』
「私、めげないです。優希さんに会いたいから」
『はぁ?』
優希さんは、プッと、吹き出しました。
私が初めて見た、優希さんの笑顔でした。
その日の帰り、校門の前で優希さんを待ち伏せしました。あんまりしつこくすると、嫌われちゃうかなって心配だったけど、どうしても一緒に帰りたかったんです。
優希さんの姿を見つけると、私は駆け寄りました。
『また、お前かよ。ホントにしつこい奴だな』
やっぱりなぁ。悲しい気持ちになりました。
『しょうがないなぁ。帰るか?』
「えっ…?」
『だからぁ、一緒に帰るかって、言ってんの』
「えっ!?…… あっ、はいっ!」
思いがけない言葉に、うれしさで、胸がいっぱいになりました。
それから、駅までの道のりを、二人で歩きました。
優希さんは、口数の多い方じゃないし、私も口下手なので、何を話すでもなく、ただ、優希さんの後ろをついてくように歩いてました。すると、
 『ホントにいいの? 私なんかといると、お前も目ぇ付けられんぞ』
優希さんは、私のことを気遣かってくれたんです。
 もっと伝えたいことが、いっぱいあったけど、出てきたのは、「大丈夫です」の一言だけでした。あまりのボキャ貧に、情けなかったです。
『そっか。なら、隣にきな』
優希さんと並んで歩けるのが、とてもうれしかったです。
駅に着くと、電車の方向が違うのが、とても残念でした。
別れ際、『じゃあな、ちひろ』って、名前で呼んでくれたので、ドキドキしました。
今思えば、この時から、優希さんに対して、特別な感情を抱いてたのかも知れません。
それからは、時間が許す限り、優希さんと一緒でした。私の行動は、すぐに学校中の噂になりました。
先生からも、そのことで注意されました。あんな奴と一緒だと、お前までダメになる、みたいなことです。友達も何人か離れて行きました。
でも、そんなこと、全然気になりませんでした。優希さんと一緒にいる時間が、何より大切だったから。
 優希さんの家にも、遊びに行くようになりました。優希さんのことを、たくさん知ることができました。
家はお花屋さんで、お母さんと二人暮らし。休みの日は、お店のお手伝いをして、とても、お母さん思いなんです。
そして今でも、バレーをとても愛しているんです。『今さぁ、願い事が一つだけ叶うとしたら、もう一度、バレーやりたいよ』
そう、ぽつりと言った時、私は泣きだしてしまいました。
『バカ。どうしてお前が泣いてんだよ』
そういって、優しく頭を撫でてくれました。
『気晴らしに、いいとこ連れてってやるよ』
優希さんのお気に入りの店だそうです。
そこは、ヒップホップとトランスをかけるクラブでした。
私は、こんなお店に来たのは初めてだったので、とても緊張しました。
この時の優希さん、すごくカッコよかったです。
ライダースJKがとてもよく似合ってました。
それにひきかえ、私はフリル付きのワンピースなんか、着ちゃってました。これでも、私にとっては、精一杯のおしゃれなんだけど、思いっ切り浮いてました。
ここにいる人は、みんな怖そうな人ばかりでした。その人達が、みんな、優希さんに声をかけるんです。とても仲良さげに。
優希さんは私のことを、『いもうとだよ』って紹介してくれました。びっくりしたけど、めちゃめちゃうれしかったです。
 すると、さっきまで、「なんだ、コイツ」って目で、私を見てた人達が、急に優しくしてくれたんです。 やっぱり優希さんってすごいなと思いました。
とても楽しかったです。ちょっと、大人になった気がしました。
次の日、私は、思いきって、美容院に行きました。さすがに、アッシュにするほどの勇気はなかったけど、軽くメッシュを入れてもらいました。
早く見てほしくて、優希さんに逢いに行きました。
でも、優希さんの反応は、私が期待していたものとは違ってました。
私を見て、優希さんはすごく悲しい目をしたのです。
『帰れ』
そう、ため息まじりに言われました。
「やだ…優希さん……なんで?」
『いいから帰れっ!!』
私を突き飛ばし、ドアをを閉めてしまいました。
どんなにドアを叩いても、開けてくれませんでした。
自暴自棄になり、街をさまよい歩きました。
優希さんのバカ。そう、何度もつぶやきながら…。
ドンっ!と、肩に何かが当たりました。
「ねぇ、今ぶつかったんだけど」
後ろで、女の人の声が聞こえました。でも、私は振り返りませんでした。
「待てよっ!!」
私は、腕をつかまれました。見ると、派手な格好の二人組でした。
「お前、人にぶつかっといて、シカトかよっ!!」
それから私は、コンビニとドラッグストアの間を抜けた所にある、洗車場まで、引っ張って行かれました。
髪をめちゃくちゃに引っ張られました。ブチブチと髪の毛の抜ける音がはっきり聞こえました。
鼻を殴るられました。頭の後ろの方まで、痛みが突き抜けて、その場に倒れ込みました。ドクドクと、口元が濡れていきました。特有の鉄臭さにめまいがしました。
お腹を蹴られました。何度も。生まれてから、こんなに痛みを感じたのは、初めてでした。あまりの痛みに吐き気がしました。死んじゃうって、本気で思いました。
いくら謝っても、なかなか許してくれませんでした。そのうち、声も出なくなりました。
顔に唾を吐きかけられ、ようやく解放されました。でも、息をするのも苦しくって、全然動けませんでした。
必死でポケットの携帯に手を延ばして、優希さんにかけました。壊れてないか心配だったけど、大丈夫でした。
優希さんは、直ぐに駆けつけて来てくれました。
『ちひろっ、ちひろっ!?』
強張った表情で私の名前を呼びながら、優しく抱き起こしてくれました。
「せっかく美容院行って来たのに……こんなになっちゃったぁ……」
何を言っていいか分からず、口をついて出たのは、そんな言葉でした。
『バカ……似合わないんだよ……バカ……』
優希さんの声、震えてました。こんな優希さん、初めてでした。
「だって…優希さんに近づきたくて……私…優希さんのこと……大好きだから……」
『もう、しゃべらなくていいから……』
そういって、キスしてくれました。私の初めてのキスでした。
身体中、痛かったけど、最高に幸せでした。

(レスに続きます)
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7
投稿者:同級生
2008/04/17 06:17:24    (aldugZsY)
実名なんだよ!



6
投稿者:花梨 ◆xF/JAvXKgA
2008/04/16 23:41:20    (rUENENMR)
あなた、ヒマですねぇ
(;´・`)
茶化していい話じゃないでしょっ!(●`ε´●)
5
投稿者:同級生
2008/04/16 15:38:58    (ukRaWgLR)
笑っちゃいけないよ!

ビックリしました!


まさか実名で投稿するとは・・・!




4
投稿者:しおん ◆B1d752U0BY
2008/04/15 23:46:41    (R/DBfxjb)
実名じゃないでしょ(笑)
3
投稿者:(無名)
2008/04/15 23:02:50    (3n8IZxn3)
止めましょう!


亡くなった彼女が可哀想・・・




2
投稿者:ちひろ ◆yhctnRM1LY
2008/04/15 17:54:06    (R/DBfxjb)
それから私を、病院に連れていってくれました。
病室で、ずっと手を握っていてくれました。
しばらくすると、私の両親が飛び込んで来ました。
お父さんは、優希さんを見るなり、
「お前みたいなのと一緒だから、娘がこんな目に遭うんだっ!!」
そう、怒鳴りつけたのです。
「違うよっ。優希さんは、私を助けてくれたんだよっ!」
でも、私の言葉に耳を貸そうとしません。
「二度と、娘に近づかないでくれっ!」
優希さんは黙ったまま、お父さんに頭を下げ、病室から出て行きました。
ドアを閉める間際、私に微笑みかけてくれました。

しばらく、お父さんとは、口を聞きませんでした。
その日から、優希さんと連絡が取れなくなってしまいました。いくら、電話をかけても、繋がりませんでした。
数日後、優希さんが、警察に逮捕されたと知らされました。その理由に私は愕然としました。
優希さんは仕返ししてくれたのです。私のために…。それで、相手に大怪我を負わせてしまったのです。
私のせいだ。私のせいで優希さんの人生が、めちゃくちゃになってしまった。自分を責めました。
謝りたい。もう一度逢って、心の底からお詫びしたい。 でも、それは叶いませんでした。
私が拘置所に駆けつけた時、優希さんは少年院に送致された後でした。

それから、一年後のことです。優希さんが、少年院を退院したことを知りました。
私は優希さんに逢いにいきました。
一年ぶりに逢った優希さんは、私に微笑みかけてくれました。いつもと変わらない笑顔でした。
写真の中で……
優希さんは、お母さんを手伝うため、得意先に配達に行きました。
その途中、トラックに巻き込まれ、命を落としたのです。居眠り運転でした。
優希さんのお母さんから、こんな話しを聞かされました。
『ちひろに逢いたい。退院したこと1番知らせたい。でも、逢わないほうがあの子のためだから』

私は泣きました。ひたすら泣きました。涙が枯れ果てるなんて嘘です。涙はいつまでたっても、あふれてきました。

あれから、二年の月日が流れました。
今でも、優希さんのことを思い出すと、胸が痛くなります。心が痛くなります。もうすぐ、優希さんの命日です。
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