「譲さん、今日はご相談があります」
「ん?なんだい?改まって」
「私お見合いを勧められてるんです」
「ああ、そんな年頃だし、会ってみるだけでも会ったらいいんじゃないかな?」
「ええ、でも……」
「どうしたんだ?彼氏はいないんだろう?」
「はい、でも…」
「でも?」
「…私、好きな人がいるんです」
「そうなのか?それじゃその男にこの際告白したらどうなんだ?」
「そんなこと恥ずかしくてできません!」
「どうしてだ!せっかくのチャンスを逃してどうするんだ?当たって砕けたら見合いすればいいじゃないか」
「……」
「告ってみろよ!麻結」
「はい、じゃあ…」
「なに?じゃあ?」
「譲さん好きです!付き合ってください!」
俺はひっくり返るほど驚いた。
仮に好意を持ってくれてたとしても、妻子ある俺に対して付き合ってくれ、と言うことはあるまい。
余程俺のことが好きだったのか!
いや、俺も麻結が好きだ。
いゃ、しかし麻結は知り合いの社長の令嬢だ。
しかも俺には嫁と子供がいる。
不倫はダメだ。
色んな思いが頭を駆け巡る。
赤くなり俯く麻結を見て俺は可愛くて仕方がなかった。
俺は心と裏腹なことを言ってしまった。
「麻結、付き合おう。でも俺には家庭がある。不倫になる。それでもいいのか?俺とは結婚はないよ?」
「わかっています。それで結構です。譲さんと奥様にご迷惑をお掛けすることはございません。ですから付き合ってください」
麻結はキッパリと言った。今どきの女はこう割り切れるものなのか?
その夜、俺たちは結ばれた。
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