一目見て彼だと気付きました。あの頃と変わらぬ容姿、お互い少し老けましたが、あの時の記憶が一気に戻りました。ですが、あの時とは違ってお互いパートナーが横にいました。私が彼に気づいた後すぐ彼も目を大きく開いて私の顔を見ました。そして、すれ違い様に彼は私のお尻に触れました。それが、二人の合図だったように…
ここの旅館の露天風呂は24時間開いていて、2時間ごとに男女が入れ替わりました。お食事の広間で彼の家族と私の家族が鉢合わせになりました。奥様は…お世辞にも美しいとは思えず尻にひかれているような感じがしました。このチャンスを逃すわけにはいかない…そう思った私は女湯から男湯に変わる0時頃にお風呂場に行くことをトイレに行った際、割り箸の紙の裏にそのことを書いてトイレから帰った時に彼の座っている席の横に落としました。
あとは神様のみが知る…
私は子どもがいませんでしたから、旦那に地酒をたくさん飲ませて酔わせました。23時頃に旦那が寝ると私は気持ちがそわそわしていました。旦那と旅行とは言え一応女なので、綺麗な下着を用意していました。本当なら旦那と…でも、彼がいる…そんな気持ちのまま23時45分頃にお風呂にいきました。お風呂には誰も入っていませんでした。平日ということもあり、広間で晩御飯を食べている人たちもご老人の方々が多く、遅い時間なると寝ているだろうと予測していました。私は露天風呂で一人彼が来るのを待ちました。そして、ついに0時を回りました。
お湯でのぼせているのと興奮で頭が熱くなっている…そんな感じで彼が来るのを今か今かと待ちました。でも、しばらくしても彼は来ませんでした。もう我慢の限界と思ってお風呂から上がった時、脱衣所に人影が見えました。彼だ。そう思った私はもう一度お風呂に入りました。湯気の中から人の姿が現れました。それは紛れもなく彼でした。私は「◯◯くん…」と声をかけると「紀美江…」と私の名前を忘れておらず、私はその言葉を聞いた瞬間涙が溢れてきました。
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