そして、入社式の日に現場主義という社長の理念の元、経営陣も含めての会食があった。
社長は俺と同じ歳くらい。もうお分かりかと思うが、俺が入った会社は良美の父親がかつて社長をしていた会社だった。
父親は数年前に亡くなり、次期社長が娘の旦那というわけだ。
その横には社長夫人ということで良美が座っていた。俺は目を疑った。
30年近い時が良美も俺もそれなりに老けさせてはいるが、笑顔に当時の面影がある。
当然良美も気づくことになる。
「まさか陽君?」
「良美だよな?」
「どうしてここに?」
「いや勤めてた会社が潰れちゃって…、正社員にしてもらえてありがたいよ」
「びっくりしたわ~! でもそんなことなら楽な部署を推薦してあげようか?」
「それは助かるわ!」
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