つたない作文を読んでいただいた、ヒガシ様、ゴロ様ありがとうございました。
こんな駄作でよろしければ読んでください。
気がつくと二人は喫茶店の奥の片隅でお互いの近況を話していた。
失われた空白の時を埋め尽くすかのように、言葉が心を満たしてくれる。
酒の勢いとはいえ、一度の過ちが肉体だけではなく心までも変えてしまった。
私にとって彼女との関係は、大人の恋だと思っていた。
まじかに見る彼女の眼差しに、5年前のあの頃のやさしが蘇ってきた。
コーヒーカップの横に置かれた彼女の手にそっと寄り添う武骨な手。
視線を落として握り返す彼女の温かい手が、心を満たしてくれる。
時計に視線を落とす彼女の様子に思わず時間を忘れていた自分に気づく。
急ぎ、20分程はなれた彼女の家の近くまで車を走らせた。
家に帰っても単身赴任のこの身、彼女と別れた後の静けさが身にしみる。
穏やかに暮らす今の彼女には、彼女の生活がある。
それを脅かす権利は、私にはないと自警の念を肝に銘じた。
あれから何日が経過しただろうか?
彼女とのメールの交換は、やっと取り戻した平穏な日々の話だった。
彼女が会社を退職してから、DVのご主人とは離婚したこと。
子供の親権は彼女が取り得たこと。
男の子で今年から小学校に通っているとのこと。
再就職先の職場で知り合ったのが今のご主人とのこと。
今はご主人のご両親と同居生活であること。
子供の手もかからなくなった今は、コンビニで週5日のパート勤務。
メールを始めて数週間が経ったある日、いつもの時間にメールが送られてきた。
紅葉の季節になりましたね。
よろしければ、どこか近いうちに紅葉を見に行きませんか?
日時場所は、そちらの都合にあわせます。
楽しみにしています。
舞い上がる気持ちを抑えながら、場所と日時の選定を始めた。
紅葉の見頃の場所、距離から大分県の九重高原を選んだ
早速、メールを送るとすぐにokの返事が返ってきた。
メールありがとうございます。
こんなに早く連れて行ってもらえるなんてうれしい。
平日に仕事は大丈夫ですか?
あまり無理はしないでくださいね。
その日は心を込めた手作りの弁当を作ってきます。
会える日を楽しみにしています。
おやすみなさい。
よく晴れた平日の朝だった。
高速を走れば約1時間半、湯布院インターを出てやまなみハイウエイーを経由しての約40キロ程度のドライブコースになる。
紺のワイドパンツにスニーカ、長袖のブラウス、薄いピンクのカーデガンを羽織った軽装の彼女。左手にはピクニックバスケット。
時別の美人ではないが、彼女特有の暖かさと豊かさを感じさせた。
高速を走れば約1時間半で由布院へ。
湯布院インターを出てやまなみハイウエイーを経由しての約40キロ程度のドライブコースになる。
途中には、それぞれの山を目指す登山者の為の駐車場がある。
九重高原を左に見ながら牧の戸峠から中岳をめざして歩いた。
雲ひとつない一面の青空に、赤く染まったハゼの葉、散りかけの黄色のクヌギ葉、草紅葉などいろいろな植物の群生がそれぞれの終焉を知らせるかのように見事な色を見せつけていた。
手をつないだ彼女の横顔までが、妙に色づいて見えたのは気のせいか。
雄大な景色に澄み切った空気と青空、山の斜面を色づかせた草木に日頃のストレスが一気に吸い込まれていく。
この景色と時を共有できた高揚感が、二人の空腹を呼び戻してくれた。
約束どおり彼女の手作りの弁当にありつくことが出来た。
彼女らしい心づかいは、のり巻きおにぎりと卵焼きが添えられていた。
まさにこの景色と澄み切った空気の中で食するにはこれ以上の贅沢はなかった。
車に戻る途中、九重連山の山頂付近から徐々に湧き出す雲が瞬く間に山の斜面まで埋め尽くしてしまう。
車に戻ると同時にガラスに撃ちつける雨のしずくが強さを増してくる。
高速のインターに戻るにも約30キロほどの距離を有する。
しばらく走るうちに雨脚が弱くなるのと同時に霧が一帯を覆いはじめた。
平日にはほとんど走る車のないやまなみハイウエイ。
しかしこれ以上の運転は危険と判断し安全を確保する意味で本線から少し脇道に車を止めて霧が晴れるのを待つことにした。
みるみるうちに停車した車は、見事な霧のカーテンに覆いつくされたしまった。
不安げに見つめる眼差しに、今この瞬間を分ち合える幸せと喜びを伝えた。
絡み合った指の温もりが、二人の言葉を打ち消していく。
一線を越えまいとするいじらしさを引き合う指先がもみ消していく。
気持ちの整理がつかないまま理屈では押さえ切れない心が自然に反応していく。
車の曇りガラスからみる外の景色は、霧のカーテンに覆われている。
倒されたリクライニングシートの下から見つめる彼女の瞳みに頷く私。
触れ合うことの悦びと、分かち合えることを知る喜びに心が震えた。
自然と唇を重ねる。
切なげな声と同時に、彼女の醸し出す暖かい息が私の口に流れ込む。
ほのかに開かれた唇に誘い込むように侵入した私の舌に彼女の舌が絡みつく。
醸し出された二人の唾液が糸を引きながら吸い込まれていく。
私の熱い思いが、彼女の体を震わせ悩ましくうねる息づかい。
お互いに脱ぎ去って露出した下半身が妙に悩ましい。
恥じらいを隠すかのように膝を閉じて硬くなる彼女の体。
私のキスに抗うことで膝がゆるみ、私の腰を差し込み、いっきに膝を開かせた。
観念したかのように自ら脚を開き私を迎え入れてくれた。
めくるめく時の流れのなかで、狂おうしく声をあげ喜びに身悶えする彼女。
私の肩に両手を回し真っ直ぐ見つめながら訴える彼女の瞳。
その真剣なまなざしにたじろいでいると、耳もとで囁く彼女。
素の自分を受け入れてくれる彼女の囁きに、熱きエネルギーが満ちてくる。
私の中心部がぬめりとした彼女のなかで包まれていく。
耐え切れないように私の耳元で切なげに訴え続けた。
ゆっくり搬送される腰の動きに連れ添うようにぬめりが収縮へと変わっていく。
徐々に激しくなる動きに呼応するかのように、腰を打ち付けてくる。
汗で額に絡まる前髪、朱色に染まる彼女の頬が無性に艶かしく唇を重ねた。
舌を絡める瞬間のあっという間に、彼女の体奥深くに射精をしてしまった。
熱いうねりを生で感じながらこみあげる射精感に体の芯の痺れに戸惑う。
熱いほとばしりを受けた彼女は、体の奥で激しい脈動を繰り返し果てた。
余韻に浸る私たちを見透かしたかのように、外の霧はなくなっていた。
車の窓から吹き込む高原の冷気が、夢の世界から現実の世界へと導いてくれた。
山間の夕焼けを見ながら急ぎ車を走らせた。
心も体も開きあって私のすべてを受け入れてくれた彼女にどう感謝すればいいのかわからない。
出来ることならこのまま大人の恋を貫いていきたいと思う。
恋が愛に変わるには、自信がない。
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