裕之さんのお誕生日にお泊まりして、数日してからのことです。息子の嫁の麻由子さんとお茶していた時のことでした。いつも明るい麻由子さんが、何となくふさぎこんでいました。
『お義母さん…』
『どうかしたの?』
『最近、大輔さんが…』
『大輔が、どうかした?』
『仕事が忙しいからだと思うんですけど、全然私のことかまってくれないと言うか、相手にしてくれなくて…』
『もしかして、大輔浮気してるの?』
『いえいえ、それは無いと思います。』
『そう、ならいいけど、ビックリしちゃったわ。今度の週末、玲香も連れて遊園地でも行ってきたら?』
『う~ん、そう言う事じゃなくって…やっぱり、言いにくいなぁ』
『水くさいわね、麻由子さんたら。驚かないから、言ってごらんなさい』
『あの~今度の週末、玲香のこと、一晩預かって貰えませんか?』
『なんだ、そんな事ならお安いご用よ』
以前の私だったら、お嫁さんにこんな事を言われたら、はしたないと思い眉をひそめたかもしれません。
でも裕之さんとお付き合いするようになって、女として本当の悦びを知った今は、麻由子さんの気持ちは痛いほど分かります。
ましてや麻由子さんは女盛り、出来るなら毎日でも愛されたいと思っていてもおかしくないはずです。
どのくらい夜の生活が無いのかまでは聞きませんでしたが、麻由子さんが可哀想になりました。
その週末の夕食、食卓には大輔が好きなおかずが並びました。美味しそうなステーキ、クラムチャウダー、ポテトサラダ…
『オッ、今日は豪華だなぁ。何かのお祝い?』
麻由子さんははにかんで、顔を赤くしたままです。
『大輔、今日は玲香はあたしの部屋で寝ますからね』
『玲香、そうなの?』
『うん、今夜は玲香はおばあちゃんと寝るんだよ。だって、パパとママは大事なお話があるんでしょ』
『えっ?何の事?』
『大輔、あなた、ちゃんと麻由子さんの気持ちを分かってあげないと愛想尽かされちゃうわよ。あなたがボーッとしてるとどこかへ行っちゃうかも』
『パパ、ボーッと生きてんじゃねえよ』
『あらあら、チコちゃんじゃなくて、レイカちゃんに叱られちゃったわね』
『何だよ、二人とも、今夜は厳しいなぁ』
『玲香、パパにそんな口聞いたらダメよ』
『とにかく、今夜は麻由子さんとちゃんと話し合いなさいね』
そんな家族とのやり取りがあり、食事を済ませ、お風呂に入った後、私は孫の玲香とお布団に入りました。
孫が大好きな本を読み聞かせしているうちに、私もいつしかウトウトしてしまいました。
夜中に目が覚めたのでトイレに行くと、リビングは電気が消えて、息子達は2階の寝室に行ってしまったようでした。
階段の下から2階の様子をそっと伺った時でした。微かながら、麻由子さんの声が聞こえて来たんです。
『アン、アン、アン、アン…』という喘ぎ声が…
そして、高い声で
『アゥッ、アァ~』という押し殺したような叫び声も…
思わず聞き耳を立てていた私は心臓がドキドキしてきました。他人の、しかも息子夫婦の夜の営みを盗み見したような気持ちでした。
私は物音を立てないように自室に戻りました。
隣のお布団では何も知らない孫娘が愛らしい寝顔でスヤスヤと眠っています。
私も眠ろうとして目を閉じましたが、裸の麻由子さんが大輔の上になって、形の良い胸を揺らしながら腰を動かす様子が頭の中に浮かんで来ました。
モヤモヤした心持ちで寝付かれない私は、携帯で裕之さんに電話をしてしまいました。
何回かのコールの後、裕之さんが電話に出ました。
『裕之さん、こんな時間にごめんなさい』
『加代さん、どうしたの?何か有ったの?』
『実は…』
私はこれまでのいきさつを話しました
『なるほど。それで加代さん眠れなくなっちゃったんですね』
『そうなの』
『それじゃ、これから僕とテレホンセックスしましょう』
『エエッ!』
思いがけない成り行きに私は言葉を失いました。
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