サブタイトル【初めてのデート】
彼と始めてキスをした日から、2週間がたちました。彼のいる本社と私の住む街では、高速道路で1時間かかる距離。
メールだけは、1日に何度もしている。週末だけは、主人が金曜日の夜に戻ってくる。時折、夜に私を誘ってくるが、私は何かと理由をつけ、
うまく拒んでいます。まだ彼とはキスまでだけど、彼に悪いし・・・
あの時の彼のキスが、今でも忘れられないでいる。週末は、キッチンで立っていても、お化粧を落としていても、テレビを見いていても、ベッドの中でも、彼のことを考えてしまう・・・重症だ。
眠る前には、彼から「おやすみ」メール。私もそっと、「あやすみ・・・」また彼が、「会いたいよ・・」とメール。なかなか眠れない私。
平日は、夕方に、彼から電話をくれる。ほとんどが外出中だ。話せても、5分くらいかな。「今、何してるの?」そんな会話。
二人で近い内にデートしようと決めていた。彼は、有給休暇を取ってくれる。私も、何とか平日なら、息子が帰ってくるまでの時間なら・・・そんなことを語り合っている。
初デートの日が決まった。今度の金曜日。場所は、中間地点の街で。
お昼過ぎ、駅を降りると、彼の車はすぐに分かった。助手席に滑り込む。なんだか悪いことをして、コソコソ気味。彼の笑顔で、私の緊張もほぐれた。
郊外へとドライブ。パスタを食べた。彼の正面で、ドキドキ緊張した。彼はお話で笑わせてくれた。
「その香り、前から俺好きだよ・・・」もう何年も変えていない香り。彼好みか・・・よかった。
峠を越え、ドライブ。陽射しに少し眠くなった。その横顔をずっと彼は見ていたみたい。なんだか恥ずかしい。
休憩所のような駐車場で、一休み。背伸びと深呼吸をした。少し散歩。彼と手を繋いで歩いた。嬉しかった。
「そうだ・・・忘れていた」と彼。{え?どうしたの?}「今日さ・・・まだキスしていないし・・」ええ~・・・そうだよね。
「でも人いるよ・・・」彼と、木のベンチに並んで座りました。手を繋いだまま・・・
目の前を、年配の夫婦がゆっくりと・・・
私の耳元で、「この人達が通り過ぎたら、キスしよう・・」と彼。ええ・・・
彼は私の肩に腕を回し、抱き寄せました。至近距離の彼。彼は、私のルージュの唇にキスをした。
二人で苦笑い・・・高校生だった頃を思い出してしまう・・・それだけ純粋なんだ、私。
しばらく彼の腕の中で、じっとしていた。
彼は、私の髪を優しく撫でてくれた。まるで愛撫するかのように・・・
まだ彼の呼び方も、私への呼び方もバラバラ。
「俺の行きたいところ、分かる?」「う・・うん・・・」「行こうか・・・」「はい・・・」彼に手を引かれ、車まで戻った。
ベッドの上、シーツの中、上から乱れた私の髪をかき分けながら・・・
「美奈子・・・」と呼び捨てで、初めて呼んでくれた。「はい・・・」「美奈子・・・」「健・・・」
初めて彼に抱かれたベッド・・・もう一度、すっかりルージュが取れてしまったまま、唇を重ねた。
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