続き。
十数年ぶりの再会。
どこか人目のつくところを避けるため、街中を避け、お互いに来るまで落ち合い、車の中で話すことに。
三十路を過ぎた彼女は、二十歳前よりも歳はとったが、その年齢なりの色気があった。
はじめて会った時は、どちらかと言えばポチャぎみだった彼女。
前の再会の時には中肉程度だったのが、今はスラッとしていて後ろ姿は別人のようだった。
彼女は我が子を俺の子かどうか確認したかったらしく、俺の血液型を聞いてきた。
俺の血液型は彼女の旦那(昔の彼)と同じらしく、血液型では判別できない。
俺は俺の子であることを画像から確信していたが、「俺の子供の頃とは顔が違いすぎる」と嘘をついた。
すると、なぜかガッカリする彼女。
初めて体を許した俺との間に子供がいることを幸せに感じていたはずだったのに、
それを否定されたことでショックを受けたことらしい。
さっきのは嘘だったと簡単に言えない俺に、彼女から「子供がほしい」とおねだり。
俺は全然意味がわからない。
こんなもうすぐアラフォーすら終わる親父のことなんて忘れた方がいいのに、
そんな説得に応じる様子もない彼女。
俺に寄り添ってきて泣き出す彼女に対し、ただオロオロしている俺。
動転していて会話は覚えていないが、結局は積極的な責めに勝てず、その場でカーセックスをしてしまった。
妻に対する罪悪感、W不倫という罪悪感、十数年前の自分の過ち、
色々な考えが頭の中で行ったり来たり。
「また会おうね」
もう逃げられないかもしれない。
家庭も壊れてしまうかもしれない。
彼女とまた会った。
またセックス。
再会から2ヶ月して、彼女から突然「もう会わないことにする」。
なんと妊娠したとのこと。
今度は間違いなく俺の子だから、俺の子を産んで育てたいという希望がかなったと。
旦那とも安全日を選んでここ2ヶ月はエッチしたのだと。
このとき、はじめて、俺は妻が不妊症なのだと理解できた。
別れ際、数十分泣いていた彼女。
複雑な気持ちの俺。
家に帰り、共働きの妻が俺に笑顔を見せた時、思わずトイレに行って俺は泣いた。
いろんな気持ちがいっぱいで、嗚咽が漏れそうなくらい泣いた。
そして、今月はじめの彼女のFacebookには、「夫の転勤で引っ越しました」。
もう簡単には会えない場所に行ってしまった。
残る数ヶ月に彼女は賭けたのだろう。
俺が一言、一人目の子を「俺の子だ」と認めていれば、
俺も彼女も不倫することなく、彼女は引っ越していったのだろう。
嘘をつくタイミングは難しい。
こんなダサい親父の俺に賭けてくれる人が一人いた。
こんな俺に笑顔を見せてくれる妻がいる。
会ったことはないが、彼女の旦那には本当に申し訳ないことをしていると思っていた。
彼女が引っ越したことをFacebookに載せた一週間後、彼女からメッセージが届いた。
一人目の子は俺の子だと彼女は信じて疑っていなかったが、
当時の彼と別れることもできず、俺にも相談できずに結婚してしまったこと。
結婚してからは真面目になった旦那の子を作りたいと何度も頑張ったが、
ついに十数年できなかったこと。
それなのに、俺と再会しエッチした瞬間に妊娠したこと。
一人目の子も俺の子だと確信できたのだ、と。
「大事にするね。もう二度とメッセージは送りません。さようなら。ありがとう。」
これが、彼女の最後のメッセージとなった。
俺は地獄に堕ちるのだろうな。
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