すみません。続きです。
嬉しくなり、LINEトークを開いたものの、いざ書き込もうとしても想いだけが空回りをして話題も挨拶も、何もうかばず躊躇していた。
もう何年もの空白がある2人の間の距離を無視して再び会話をして良いものかどうか。
躊躇したまま数日が過ぎて、その間にもやはり気になり、度々プロフィール画面だけは開いて見てしまう俺。
1度会話をしてしまったら、どんかことになってしまうのか。
心の迷いを、越えるのには時間が必要だった。
意を決して、いざトークたけでもと思いLINEを開いてみたら、向こうから『こんにちわ、お話ししてもいいですか?』と言う固い感じの文面が来た。
重たい話をするよりは、少し軽めに返した方がいいと思い、そのようにスタンプを織り交ぜて返信してみた。
他人行儀な文面に、数年間の距離感を感じながら、相手の緊張している風な態度を察して、LINEトークを続けた。
固い話し方は、変化をみせずそのまま会話が流れた。
数回のやりとりで、あれ?っと思ったときに、その他人行儀さの意味が分かった。
俺が会話をしていた相手は、彼女の娘だったのだ。
始めのうちは、ふりをして、俺の出方を伺っていたのだった。
娘だと言われてからは俺もかしこまってしまったが、何故トークを求めてきたのかを娘は話だした。
娘曰く、彼女は俺のことを娘に話していたらしい。
その話に至る前に、彼女は夫と離婚をしていたのだった。
時間的には、俺と別れたすぐあとに夫との離婚話をしだしたときに娘には俺のことを話したようだった。
1年後、夫との離婚調停も終わり子供達と彼女はシングルマザーになったときに、俺との再会をしたのだった。
あの時、そんなことを微塵も口にしなかった彼女。
俺は何も察することはできていなかった。
彼女は娘に、ものすごく愛している人がいる。
娘の父親とは、もう一緒にいることは出来ない。
その人とは別れている。
生活を共にすることはない。
心に嘘はつけないから、離婚をさせて欲しい。と言ったようだ。
娘にしたら俺は父親と母親の間を引き裂いた仇。
始めの頃はそう思っていたとも言っていた。
俺と再会した後の彼女の様子を娘は俺に話してくれた。
そして、彼女の最後の日のことも。
彼女は、俺と再会した4ヶ月目に事故で亡くなっていたのだった。
愕然とした俺は何も話せなくなり、続きは後日にして欲しいことを娘に伝えるので精一杯だった。
俺の心の中を娘は知りたがっていた。
俺は包み隠さず心の中を見せた。
関係していた頃の俺、そして今の俺。
LINEトークは連日続いた。
そして、彼女の命日。
御線香をあげて欲しいと言われ、お墓の場所を教えてくれた。
仇である俺とは顔を合わせたくはないだろうと思い。
ご法事の時間はずらして、1人でお墓を探して行った。
涙が止まらなかった。
結局おれはお墓の前で3時間半ほど彼女に一方通行の話を語り掛けて、明日も来ることをお墓に話し、ホテルに戻った。
飛行機での移動を要する場所なので、一泊二日の予定で行ったのだった。
そして翌日、朝バイキングを食べてからチェックアウト。
すぐにお墓に向かった。
お墓を前に、彼女が好きだった花、好きだった飲み物に食べ物、そして2人で買ったキーホルダーを並べて、再び一方通行の語り掛け。
お墓の書かれてる彼女の旧姓名をなぞり見るたびに涙が溢れるようにでた。
離れたくない。何故かお墓なのに、そんな思いがあった。
しかし、飛行機の時間が近ずいていた。
もう一泊しようか。そんなことも考えだしていた。
ホテルを探すためにスマホを見ていたら、LINEトークが着信。
娘からだった。
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