その後もサークルの帰りには僕が由美を送る事は当たり前のようになり、ある時には少し寄り道をするまでになった。
寄り道と言ってもクルマの中の会話で、元彼と観た映画が話題になれば、主演女優の他の作品で僕がオススメの映画の話をすると由美がどうしても観たいと言い、ツ■ヤに立ち寄ったり、僕がどこどこのレストランの何かが美味いと言えば、それが食べたいから連れて行ってと強請られて食事に行ったりと言う程度でそれ以上のステディな関係にはなりそうにはなかった。
だが、オススメの映画がスゴく良かっただの、他のオススメを観たいからツタ■に寄り道してくれだの甘えられて、僕自身の帰りが遅くなろうとも送る事に不満はなかった。何よりも由美の白いうなじや胸元を間近に見られる事や甘い髪の匂いを感じられるのがワクワクする。そして、毎週末サークルの最中も帰り道も共に過ごすうちに僕らはプライベートな事まで話すようになった。そして、共通の知り合いである高橋女王様wの会社での横暴ぶりまで聞かされ、僕も女王様のワガママっぷりは良く知ってるけど、社会人になったら不用意に人の悪口を言わない方が良いと咎めたりした。(笑)
或る時、若いし綺麗なのに新しい彼氏は欲しくないのか、という質問に答えるまで由美は随分と沈黙した。僕はそれほどマズい事を訊いたと思っていなかったが「なんだか、悪い事訊いたかな…」というと、以前の恋人と別れた理由や気になる男性が二人いる事を話した。
「じゃあ新しい恋がもうじき始まりそうな感じなんだね、そうなればサークルなんか来てる場合じゃないだろうけどイイ事だ」そういうと強く否定する由美。つまり、彼女が彼と別れたワケは「短気な人だと、もうデートも会話も楽しく思えなくなりますよね、ドライブの時は渋滞でイライラ。ご飯を食べに行けば並んでるお客さんの列でもイライラ、料理が出てくるのが少し遅いだけでイライラですから。映画に行っても前の人の頭の動きでカリカリしちゃってるんですよ。若い男はもうイヤなんです、その前の彼氏も付き合いが長くなるとだんだん素が見えて来るっていうか、すぐ私にあたると言うか、そんな感じなんですよ、渋滞なんかハマる度に私が緊張して気を使うなんてオカシイでしょう?だから気になる人のうちの若い方と付き合ったら経験から学べよ!って自分にツッコミ入れるみたいな」と言いながら寂しそうに笑った。
僕は歴代の彼たちを弁護するつもりはないけど、と前置きをして「若いから短気だと言うのは正しい見方じゃない、だけど若い男にはそういう時期もあるさ」と宥める。
すると由美は少しムキになったような口調で「そうですか、恋人じゃなくても私が知り合いの子たちはほとんどそんな感じですよ、仕事の不満なんか私がグチると、簡単に《そんな上司にはハッキリ能力ねえのに偉そうな事言うなって言ってやれよ》とか《そんな会社辞めちゃえばイイよ》って言いますからね…玉さんみたいに落ち着いてて、正直に相談とかできる人がイイな」と言った。
僕は予想してなかった言葉に内心喜びつつ、もう少しだけ由美ちゃんが我慢できたら元彼たちも皆落ち着いてきて僕みたいなイイ男になってたのに、惜しい事しちゃったね、と笑った。
いつも由美がクルマを降りる場所まで行かず、いくつか手前の信号脇にある路肩でエンジンを止めたのは、由美の口調の僅かな変化に、もしかしたら…と感じたからだった。
助手席の由美を見た。夕日が綺麗な髪や瞳や唇を照らす。その目線は窓の外の空をじっと見ている。
思い切って僕は、おいで。とだけ言った。
由美は僕を見た。僕からの誘う言葉に驚いてもいない、潤んだような瞳だった。
由美は静かに「どこに?」と訊いた。
僕は黙ったままで僕自身の膝を指して両手を由美に向ける。ゆっくり履いていた白いヒールを脱ぐ由美の胸元の奥が見える。狭い車内で助手席にちょこんと上がると僕の両手を掴んで白い太ももを見せながら膝の上に渡り、横を向いた姿勢で柔らかな尻をそっと下ろす。
細い腰のくびれに僕が腕を回した瞬間に由美が素早く唇を求めて来た。そうなってしまうと僕には迷いも遠慮もなかった。長いキスの間、僕の手は由美の尻を、背中を、脇腹を、優しく強く這い、時折由美が「んんっ」と身を硬くして反応するポイントを往復して、やがてワンピースの上から乳房を掴むと唇を離した由美の口から深い吐息が漏れた。まさかの展開だったが彼女が期待するであろう年上の男の味を由美の身体の奥に教えてやる!とミョーな決意をしている僕がいた。(まだ、つづくw)
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