俺は羽鳥と妻がラブホテルから出てくるところを押さえてやろうと考えた。2人が出てくるのをラブホテルの前で2時間近く待つのは虚しく、腹立たしい時間だった。
妻は俺と何故結婚したのだろう?毎日どんな気持ちで俺と生活していたのだろう。その前にそもそも何故?と俺は鬱々と考え込み、2人がセックスをしてる建物の前で寒さに身を縮こめながら、ひたすら待った。
缶コーヒーをラブホテル前の自販機で3本買い暖をとり、落ち着きたい一心で煙草に何度も火を付けた。
煙草が空になり、俺がスマホを取り出して時間を確認しようとした時にラブホテルから先ず羽鳥が出てきた。
俺が羽鳥さんと声を掛けて、羽鳥の前に歩み出た時にラブホテルから遅れて妻が出てきた。
妻は俺の姿を認めると目を見開いた。羽鳥は中根さんと言ったあと何かごちゃごちゃ口籠もり立ち尽くしている。
俺は羽鳥に、羽鳥さん、後日連絡します。
今日はとりあえず帰ってください。と言い妻に一緒に帰るぞと声を掛けた。
羽鳥はちょっと待ってください。誤解ですよ。とか口走って俺と妻の間に入ってくる。
俺は努めて冷静に誤解?と羽鳥に聞き返した。
羽鳥は慌てて誤解です。違うんです。ちょっと話を聞いて貰ってたんですアッコに。と答える。
アッコ。羽鳥はこの期に及んでなお、人の女房をあだ名で呼ぶ。俺は切れそうだった。妻はずっと俯き押し黙ったままだ。俺は明子と呼んだ。
明子、先ずは帰るぞ話を聞かせてくれ。と俺は言った。羽鳥が待って下さいよ。落ち着いて下さい!と叫ぶ。
俺は羽鳥に極めて落ち着いた声でゆっくりと言った。羽鳥さん、これは先ず俺たち夫婦の問題だ。俺は先ず夫婦で話し合いをしたい。その後貴方には聞きたい事がある。さっきから先ずは帰ってくれ。後日連絡すると言っていると羽鳥に言った。
いや落ち着いて下さい。違うんです。羽鳥はまだそんな事を言いながら俺に寄ってくる。
俺は明子どうするんだ、一緒に帰るのか
それとも羽鳥さんと帰るか?と聞く。
妻はすみません。帰ります。と消えいる様な声で絞り出した。羽鳥さん、聞いた通りだ。妻は帰ると言っている夫婦で話し合いたい。帰ってくれ。と言った。
妻に帰るぞともう一度言うと、羽鳥が何か言っているが構わずにズンズン歩き始めた。羽鳥がなお、話を聞いて下さいとにじりよってきたが俺は取り合わず歩を進めた。
暫くは羽鳥がまとわりついて来たが通りに出て人が増えたところで諦めたようだった。
妻は俺のずっと後ろを歩いてくる。
俺がタクシーを拾った。俺が乗り込むと妻は顔を伏せたまま俺に続いた。タクシーの中で俺たちは無言で通した。家に着き、俺たちは食卓のテーブルに向かい合わせで座った。
俺は開口一番、いつからだ?と妻に尋ねた。
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