俺は妻に言った。お前は馬鹿な女だよ。お前だって羽鳥と言う男に人生振り回されている。
最初の結婚だって不倫を続けて自分自身が惨めになって不倫を断ち切る為に結婚したようなものだ。結局はそれが離婚原因の一つじゃないか。
その後も不倫関係を長年続けて。結局今回もそれが原因で離婚する。お前を許す気にはなれないが、お前だって羽鳥の被害者だ。あいつだけは何も失っていない。
お前の若さや、婚姻生活を駄目にしたのに、羽鳥だけは家族を守り、子供、妻を失わず、店だって上手くやって連日儲けている。
俺はあいつを許せない。お前はフリーランス仕事、はっきり言って大した慰謝料など取れない。
俺はあいつに代償を払わせたい。お前だって同じ筈だよ。俺に協力しろ。
今度はお前が羽鳥を裏切れ。結婚して強いて言えば初めて俺たちは夫婦として心合わせて事を成し遂げようじゃないか。それに俺はこの期に及んでもまだ、お前に未練がある。
あなた。妻が呟く。
俺は黙って頷く。最後に俺の望みを叶えてくれ。羽鳥を落とし込めたい。協力してくれ。
お前だって俺と別れた後、羽鳥と不倫を続けていく様なら人間として終わる。
お前も羽鳥にケリをつけて、一からやり直して前に進め。良いか?俺が妻に尋ねると妻は
はい。分かりました。
と俺を見つめて素直に答えた。俺は十何年初めて妻の顔を見ながら話している気になっていた。
※元投稿はこちら >>