第二章
博さんの独白はその晩一時間以上続きました。
その内容を要約すると、つまるところ私がほかの男性に抱かれているところを一度でいいから見てみたい。それは決して愛情が薄れたわけではなく、それを見て嫉妬することで改めて私への愛情を実感したい。そんなところです。
世の女性がどうなのかわかりませんが、私は激しく拒絶しました。
というよりその欲求の意味がわかりませんでした。
スワッピングという言葉は知っていましたが、それを現実のものとして考えたことは一度もありませんでした。
私は彼との性交渉に十分満足していましたし、彼が他の女性を抱くのを見たいとはまったく思えませんでした。
何より、彼がそんなことを考えていることの当惑が大きすぎました。これまで知っている彼と目の前の人は別人なのではないか、そんな思いがまずあったので、承諾するとかしないとか以前の問題で、私は半ば涙目になりながら、ソファの傍のベッドに飛び込みシーツを頭から被りました。
翌日の朝は彼と一言も言葉を交わさず会社に向かいました。
仕事中もどこか上の空でしたが昼休みに彼からメールがきました。その文面は平謝りの言葉が並んでいました。私はすぐには返信できませんでしたが、終業時間になると、こんなことで彼と育んだ二人の時間を終わりにしてしまうのも惜しい気がして、もうあんな話はしないことと、来年の誕生日のプレゼントに少し高価なレストランを予約することを条件に、和解のメールを送信しました。
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