夫の独白 ラスト
初めてのスワッピング。
待ち合わせ場所のホテルで、ドアを開けた瞬間の衝撃は今も忘れられません。
妻の雪江がベッドの上で、私以外の男性の愛撫によって淫らな声を上げていました。
「どうも」
照れくさそうに挨拶をする博君に「こんにちは」と答えたのは、私の横にいる博君の細君で私の愛人でもある美穂でした。
私は、今回の企みが妻に極力露呈しないよう声を発しない予定でしたので、博君と目が合っても頷くだけにしました。
私たち同様、妻と博君も緊張しているのが見て取れたので、部屋に入ると私と美穂もすぐに服を脱ぎまじめ、隣のベッドで裸体を絡め合い始めました。
その間も、私はどうしても隣のベッドが気になってしかたありませんでした。それは美穂も同じだったようです。考えてみれば、美穂にとっても自分の夫が、他の女性と裸の体を重ねあっているのを見るのは初めてだったのだから当然でしょう。
そのことがかえって私たちの興奮を高めたのか、普段に比べればおざなりな愛撫にも関わらず、美穂はいつも以上に体をくねらせ、悦びの声を、まるで隣の夫に聞かせるかのように漏らし続けたのです。
その後、予定通り一回戦はお互いの妻とのセックスで果てることができました。
そこからも、私にとって気を失いそうになるほどの刺激の連続でした。
私と博君のペニスを交互にむしゃぶりつづける妻の姿。
私と博君、さらに博君の細君の美穂を加えた三人による愛撫に、後頭部が背中につくのではないかというほどのけぞらせて喘ぐ妻。
そして、肉付きの良いヒップを高く突き出した姿勢で、バックから私と博君のペニスで交互に突きまくられて、獣のような叫び声をあげる妻。
すべてが想像以上で、すべてが私の脳髄を痺れさせるような光景でした。
目隠しをしている妻は、不倫相手の博君が選んだスワッピングの相手が、自分の夫とその彼女であり、その彼女が博君の妻、美穂であることを知りません。
知らぬまま、私の前では見せたこともない妻の狂態を目の当たりにする刺激は、繰り返しになりますが、私の想像をはるかに超えていました。
それもそのはずです。
私の目にしている妻の姿は、博君という妻の愛人に抱かれ、さらに妻にとっては見も知らない他人に抱かれるという、二重の寝取られを体現しているからです。
ここで、私たち夫婦のことをもう少し詳しくお話しましょう。
私がごく普通のサラリーマンであることは以前お話しました。そして、人並みの浮気経験があることも前述のとおりです。
少し普通でなくなったのは、五年前に職場で鈴木美穂という人妻と不倫関係が始まったときからです。
きっかけは会社の部署の忘年会でした。直属の部下である鈴木君、今では博君と呼んでいますが、彼が酔いつぶれたのを自宅まで送り届けたのが私と美穂の出会いでした。
そのときは、小柄で肉感的で朗らかな彼女に「男好きのする女性というのは、こういうタイプなのかもしれないな」と思った程度だったと思います。
しかし、その後、偶然に彼女が勤める病院を私が受診した際に再開したのを機に、さほど時間をおかず私たちは親密な関係となりました。
二人の逢瀬は月に一度位、勤務の合間を合わせてラブホテルの近くの駐車場で待ち合わせ、二時間ほどホテルの部屋で愛し合い、その場で別れる。それの繰り返しでした。
三年ほど続いた関係が博君の知るところとなったのは、ある日わずかな違和感から博君が美穂のメールを覗き見たときからです。
後から知ったことですが、私はそれほどでもなかったにも関わらず、博君は私を会社の中で、信頼できる唯一の上司として慕っていたそうです。
それだけに、妻の不貞を知った彼の苦悩は大きかったのですが、ある日、意を決した彼は妻の美穂にではなく、不倫相手の私に事の真相を問いただしてきたのです。
そのときのことは今でもよく覚えています。十歳以上年の離れた彼が焦燥しているのがよくわかりましたが、私も同じ位に焦り、戸惑っていました。
どう答えたものか迷いましたが、数十秒考えた結果、私は事実を認め、彼に謝罪しました。
今にして思えばどうして、そのような行動をとったのかはわかりません。
しかし、その後の彼の反応は私の予想外のものでした。
それは要約すると、このまま私と美穂、つまり彼の妻の不倫関係を続けて欲しいというものでした。
私はその理由を聞きました。
彼は戸惑いながら、自分たち夫婦がここ数年セックスレスであること。自分の妻と私との不倫関係を疑いだしてから異常な興奮を覚えたこと。その相手がこの上なく信頼している上司であれば、この状態をできるだけ長く続けたいと思っていること等を私に告げました。
あまりに突飛な告白に、初めは我が耳を疑いました。しかし、彼の切実な話し振りや、普段の実直な勤務態度を思い起こし、私を陥れるような嘘はついていないと思い至ったのでした。
かくして、私と美穂の、夫公認の不倫関係は続くことになり今年で五年目を迎えました。その間、博君と私、つまり夫と、妻の愛人で職場の上司部下という不思議な関係は、一定の緊張状態を保ちながら相当親密な状態となっていました。彼が望めば、私と美穂の情事を録画したものを彼に送ったりして彼の寝取られ願望を満たしたこともありました。彼が職場内で不倫トラブルを起こしたときには、私が矢面に立って便宜を図ったこともありました。そのうち、月に一度は博君を私の家に招いて妻の手料理でもてなすようになりました。
そんな中、三年前に一つ大きな転換期があったのです。
それは吐く息が白くなり始めた初冬のことだったと記憶しています。
彼は、やけにもったいぶった文面のメールを繰り返し、最後には私の妻、雪江を抱かせて欲しい、と言ってきたのです。
彼とは十歳近く年齢の離れた妻への恋慕。最初は冗談かと思ったのですが、詳しく話を聞くうちどうやらそうではないことがわかりました。
私の家に招かれ、妻と接するうちに自分の妻とはタイプの違う女性に、性的魅力だけでなく純粋な恋心を抱くようになったこと。そして、信頼する上司の妻を蹂躙したいという、寝取り願望のようなものが沸きあがったことを語る彼の、語弊があるかもしれませんが真摯な態度が私の琴線に触れたのです。
数年来の寝取られ願望を抱えていた私にとって、彼の欲求が渡りに船だったことは言うまでもありません。
ただ、私が妻に直接、博君に抱かれてくれと話すことはできそうにありませんでしたので、あくまで、博君が妻にアプローチすることや、その後関係ができたとしても、それを阻害することはしないという約束をするに留まりました。
果たして、数日もしないうちに、博君から最初の報告がありました。私が頼んだわけではないのですが、彼は雪江とのやり取りのすべてを私にメールで伝えてきました。それは博君と妻が一線を越えるまで、そしてその後も逐一続きました。上司である私への忠誠心なのか、彼の寝取り願望の故なのかはわかりません。しかし、それが私の寝取られ願望を大いに刺激したことは間違いありませんでした。
メールの内容によると、最初はそっけなかった妻ですが、博君の熱意にほだされる形で、メールだけのやりとりが、次第に外での食事やお酒になり、半年後には遂に肉体関係を結
ぶようになりました。半年という期間は私にとっては短かく、博君にとっては長いものだったようです。
妻が博君の軍門に下ったことを始めて聞いたときの興奮はおそらく一生忘れられないでしょう。ただ、私の中の邪な欲望はそれに満足することはなく、さらなる刺激を求めたのです。
十年来の願望である、「妻が他人棒でもだえ狂う様を見てみたい」
考えようによっては簡単なことだったかもしれません。
博君に頼んで、妻と博君との情事を隠し撮りしたものを送ってもらえばよかったのですから。
しかし、私の膨れ上がった欲望はそれ以上のことを求め始めていました。
私の仕事上のパートナーである博君に抱かれるだけでは満足できない。妻が、雪江が見知らぬ他人棒に貫かれたならどんな反応をするのか。それをこの目で直接見てみたい。
そんなことを考え始めていたのです。
かくして、私の変態的な計略は始まりました。
まず、博君に計画の概要を説明します。博君も自らの妻美穂と、愛人雪江が自分以外のペニスに貫かれる瞬間を目の当たりにしたいという欲求を大いに理解してくれました。
ここまでは、それほど障害を感じていませんでした。
問題は次です。
私と博君が、お互いのパートナー、つまり愛人にスワッピングを承諾させなくてはなりません。
これについてはお互い苦労したようです。博君はアダルトDVDをみせることで徐々に雪江の欲望を解きほぐしていったようです。(第二章~四章参照)
私も彼の経過報告に習い、美穂に対して同様の仕込を続けました。(夫の独白 その一~四参照)
苦労の甲斐あってか、どうにかシティホテルの初めてのスワッピングに漕ぎ着け、その後目くるめく快楽を四人で味わえたのは既述のとおりです。(プロローグ、第六~最終章 夫の独白その五~ラスト参照)
長きに渡った私の独白もこれで終わりです。
拙い乱文にここまでお付き合いいただいた皆さんには感謝の言葉しかありません。
文中の「仕掛け」も技術不足で、かえって内容をわかりづらくしてしまったと反省することしきりです。
私と妻の絆が、初めてのスワッピングを契機に、より一層強く、淫らで、柔軟なものになったことを報告させていただくことで、皆様へのお礼の言葉に代えさせていただきたいと思います。
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