何冊かの専門書を立ち読みして、一冊の本を選びカウンターに持って行く。
奥の掛け時計をみると家を出てから40分が過ぎていた、会計を済ませ表に出て入り口付近の喫煙所でタバコを吸う。
頃合いを見て、ゆっくりと家に向かい玄関を開け家に入った。
リビングでジャケットを着込もうとして居た彼は、ビックリしたような表情で私を見、慌てた様子で腕を通しジャケットを着る。
そこに寝室の戸が開き手で髪を押さえた妻が現れた、瞬間、カッと目を見開き驚きの表情を見せ、その表情は直ぐに刹那気に変わる。
「お‥お帰りなさい」
多少、震え声で言う。
私が家を空ける時には彼のポロシャツの裾はジーンズの中に入って居てジャケットも着ていた‥それが今はポロシャツの裾は外に出されて居る。
寝室から出て来た妻‥
焦ったように彼は
「帰ります、すいません長居をしてしまって、失礼します」
「あ‥あぁ、ありがとうございました」
彼の声に私も、フッと我に返り返事を返す。
彼の後に付き見送りに出る妻のパンストの脹ら脛の部分に伝線が起きて居るのも見逃さなかった。
玄関に出た時、私は寝室の戸を開け中を見る。
敷かれたままの布団には乱れはなかった、ゴミ箱の直ぐ脇に避妊具の袋を破いた切れ端が落ちて居る、たった先に妻と彼は、ここで!
二階には子供が居るのに‥それでも妻は彼の物が欲しかったのだろうか‥?
私が寝室を出るのと妻がリビングに戻るのが同時だった。
「あ‥アナタ‥」
「風呂に入るから」
私は妻が何かを言おうとするのを遮るように風呂に入る。
私は結構、長湯が好きで、その日も、ゆっくりとお湯に浸り時間を掛けてから上がった。
ソファーに独りで座り何か思い詰めたような妻。
「お前も風呂を済ませてしまえば」
哀しげな表情を浮かべながらも、妻は風呂に向かう。
一時間ぐらい経っただろうか、毎回と同じように湿り気の残る髪を鏡の前でとく妻。
「お前から誘ったのか?」
「アナタが家を出てから直ぐに、先生がファスナーを下ろし出して来たの」
「それで‥」
「手を掴まれ先生のに‥」
「それから‥」
「暫くリビングで、でも先生の手も私のに‥ここだと、もし子供が降りて来たら‥と思って」
「それで、ここに入ったのか?」
コクリと頷く妻。
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