身体のことまでご心配いただき、ありがとうございます。まずその弁解から
はじめますネ。ボクの酒量なんてかわいいもんです。昨宵は家人もいなくて
つまみの勢いもあって2合プラスアルファでしたが、そんなことって一月に
一度もないと思いますよ。普段は一合にとどきませんね。若い頃みたいに、
飲まなきゃ損だって感覚もなくなりましたしね。
雪国のメリットのひとつに酒の美味さがあります。地下水が豊富な事情に
よること、いうまでもありません。雨量がいくらあっても地表を流れさって
しまいますが、雪の下では数ヶ月もかけて少量ずつ吸収されます。よけいな
ことまで喋ってしまってすみません。その辺はさておき。
今宵のメインテーマは写真以外の趣味の紹介です。この2年ほどあっちの
英文小説の翻訳にはまっています。たまたま、いま取り掛かっている短編に
雪、お風呂、でエッチなこと、とそろってますので紹介しますね。
出典はアメリカにある性文学HP "literotica" でみつけた "Clohi" 著
の "Anticipation Ch. 2" です。どう訳したもんかなあ。予兆とか予期って
とこだけど、ただ予想するだけじゃなくて、それに備えた動きをもふくめた
ニュアンスの言葉ですしね。まだ実は訳し終わってないので、少しずつって
ことで勘弁して下さい。いたずらで一人称を「ゆかこ」と書き直しました。
だれもいないとき、声音を美しく、と意識しながら、鏡を見て朗読してみて
下さいますよう:
お遊びの旅、ってことで彼氏がゆかこを山の方に連れてってくれたのよ。
彼の妻が、誰かと一緒に誰かさんとこへ行ってたのかな。彼もヒマになる。
そう思うと彼も都会をぬけ出たくなったのね。ゆかこにはどうでもいいこと
だったもん。ゆかこはただ旅行したかっただけ。ところがね、山の宿に腰を
落ち着けた途端よ。電話が入って、彼が仕事を始めてしまう。ゆかこのこ
と、置き去りになっちゃうんだけど。
ふと窓を覗くとゆぶねがあるじゃない。でもね、いかにもへんてこりん。
あたり一面に雪が積もってるっていうのに、まるい木のお風呂からは湯気が
立ち昇っているって感じなの。そんな中で彼の運転手ケビンが、湯気の出る
お湯にのびのびとひたっている格好。肩越しに振り返ってみれば、ゆかこの
彼はドア締め切って向こうに閉じこもったまま。そうっか、片方がダメなら
次を相手にすればいいって訳ね。
何分か後、もうゆかこは通路を歩いていたわ。あたり一面につもった固い
雪を長靴でざくざく言わせてね。ケビンは湯槽の淵に腕をだらーんとかけて
頭を後ろにもたれてるの。ゆかこの靴音を聞いて見上げてきたわ。ゆかこは
襟のとこで毛皮のコートをぎゅっとつかんで笑ってみせたのね。
「ケビン、ご一緒したらイヤかしら?あったかくって素敵そうね。」
ケビンは二階の窓をちらっと見上げたわ。気持ち分るな。ゆかこには愛人
でも、彼にしてみりゃ仕事上のボスでしょ。気になるわよね。で、それから
もう一度ゆかこを見つめてきたの。
「いや...別段。そうなさりたいんでしたら。」
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