くも膜のおはなし、続きを始めますね。硬膜下血腫ができても、その症状は
血腫によって脳の外部から圧迫されたために起こったものです。ところが、
脳に血液が流れ込んだときの症状はまったく違ってきます。
ゆかり御母堂の今回の場合、まだ脳の実質は、ほとんど犯されなかったと
言っていい程度のアタックだったと思われます。ところが、脳の実質内まで
血液が流れ込んでしまうと毛細血管を通して酸素をもらうときと、まったく
異なって、血液は脳の組織に障害を残す毒として働いてしまいます。ここが
怖いところなんです。モロに血液が流れ込んだら、どこの組織に対しても、
ひたすら毒として働いてしまいます。脳の障害は一生ずっと残るんです。
硬膜下血腫の場合、血液は(外から第二番目の)くも膜の外側で留まって
います。くも膜はたしかに硬膜よりは劣りますが、それでも中に脳脊髄液を
たたえたプールの内張りに使われるほどですから、水分を簡単には通さない
ほどの丈夫さがあります。こうして解れば、硬膜下血腫で意識を失って昏倒
したよう場合でも手術して血腫を取り除けば一件落着、という先日の説明も
納得できますね。
ところが、くも膜下出血というのは、はるかに危険な病気です。くも膜の
内側で出血しちゃったわけですから、脳の実質を守るのは(もっとも内の)
脳軟膜しかありません。残念ながら、くも膜よりもっと弱く出来ています。
ごく少量の出血で済んだら守りうる可能性がある、って程度です。あなたの
お母さんはこうした幸運な場合だった、というわけですね。めっけものって
ボクが呼んだのは、こうしたいきさつがあるからなんです。
本日のお勉強はここまで。武勇伝を聞かせてもらう番ですぞ、フフ。
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